2019年11月、アシックスはトップアスリートが勝てるシューズを開発すべく「Cプロジェクト」を発足させました。そこで開発された「METASPEED(メタスピード)」シリーズが、パリオリンピックを目前にした今、最強形態となる「METASPEED PARIS(メタスピードパリ)」シリーズとして進化しました。
「METASPEED」シリーズの最新作にして最強形態
2020東京オリンピック・パラリンピックに伴って新設された有明アリーナにて、アシックスのトップアスリート向けランニングシューズ最新作の発表会が行われました。アシックスは2019年に社長直轄組織「Cプロジェクト」を発足し、「METASPEED」シリーズを設計しましたが、今回発表された「METASPEED PARIS」はそのシリーズの最新作にして最強形態となっています。発表会では、はじめにミッションのリーダーであるCプロジェクト部長の竹村周平氏から製品開発の背景が語られました。
「年末年始に行われた各種駅伝大会をご覧になられた方も多いと思いますが、アシックスのシェアは着実に向上し『METASPEED』シリーズを着用した選手が好成績を残しました。本日新たに発表させていただくのがシリーズ最新作、『METASPEED SKY PARIS(メタスピードスカイパリ)』『METASPEED EDGE PARIS(メタスピードエッジパリ)』となります。本商品の開発にあたっては、世界中の100人以上のエリートアスリートとともに、何時間にも及ぶミーティングを通じ、熱い議論を重ね、各部位の形状や機能の向上を進化させました。その結果、さらなる軽量化に加え、反発性やクッション性の向上を実現しました」(竹村氏)
「Cプロジェクト」の“C”は、同社の創業者である鬼塚喜八郎氏の言葉「まず頂上を攻めよ」の“頂上”の頭文字をとっています。METASPEEDシリーズ発表後は多くのアスリートに注目され、測定できるアスリートの数も何倍にも増えたことで集約に苦労したそうです。
ここで、METASPEEDシリーズを履いて1月28日の大阪国際女子マラソンで日本記録更新の2時間18分59秒のタイムを出した前田穂南選手から届いたビデオメッセージが紹介されました。ビデオの中で、前田選手は「記録更新をさらにチャレンジしたい」「世界を目指す」と抱負を語りました。
竹村氏は前田選手の言葉を受け「私達もまだまだ現状に満足はしていません。足を止めることなく、引き続きアスリートとともに、商品開発を行いながら、頂上を目指していきます」と力強く語りました。
シューズがアスリートのスタイルに寄り添う
METASPEEDシリーズは、一歩一歩の歩幅をより伸長させ、早く走ろうとするストライド型と、上下動を少なく抑え、小さなステップを踏むのが特徴のピッチ型の走法の違いに着目し、ランナーが日頃のトレーニングで身につけた走り方を維持しながらパフォーマンスを向上できるよう設計されています。最新作、METASPEED SKY PARISとMETASPEED EDGE PARISの詳細について、Cプロジェクトの立野謙太氏から説明がありました。
「アスリートがシューズに合わせるのではなく、シューズがアスリートのスタイルに寄り添うことで、最大限にパフォーマンスを発揮できることこそが、アシックスのソリューションではないかと考え、2モデルを展開しました」(立野氏)
初代のMETASPEEDシリーズは2021年3月に誕生し、その翌年の2022年6月にはより反発性を向上させた「METASPEED +(メタスピードプラス)」シリーズが発売されました。そして2024年、新たに設計されたMETASPEED PARISシリーズのプロダクトコンセプトが姿勢でした。
従来のシューズでは、走行距離が30kmを越えるあたりで疲労により走行姿勢が崩れ、パフォーマンスが低下していました。そこでアシックスが着目したのが、適切な姿勢と、蹴り出し時の角度です。
「適切な蹴り出し角度を安定させることで、レース後半の疲労時にも、体が後傾することを防ぎます。この課題をクリアするために、私達はアスリートの声を聞き、議論を重ね、各シューズの部位の形状や機能構造を進化させました」(立野氏)
また、METASPEED SKY PARISは、前のモデルより約20g(片足27cm)軽量化。METASPEED EDGE PARISは、前のモデルより約25g(片足27cm)の軽量化を実現しています。
また、両モデルとも軽量のクッションフォーム材の中でも優れた反発性を発揮する新素材「FF TURBO PLUS(エフエフターボプラス)」をミッドソール全面に搭載しています。着地と同時に変形、圧縮し、素早く元の形状に戻ることで、跳ね返るような感覚が得られます。
2モデル特有のアップデートポイント
ここで特別ゲストとして、ハーフマラソン合計タイム日本最速の兄弟、兄の太田智樹選手(トヨタ自動車)と弟の直希選手(ヤクルト)がリモート出演。それぞれのモデルについての概要が説明されました。
太田智樹選手はMETASPEED EDGE PARISのプロトタイプを着用し、ニューイヤー駅伝では2区で区間賞。直希選手はMETASPEED SKY PARISのプロトタイプ着用し、同駅伝1区で区間賞を取りました。
太田直希選手が履いたMETASPEED SKY PARISのアップデートポイントが、大きな反発力を生み出せるように幅を広くしたカーボンプレートの配置です。
「カーボンプレートは足に近い位置にフラットに配置し、カーボンプレート全体でフォーム材を圧縮。蹴り出し時の荷重が最も加わりやすい母指球直下を含む関節の部分までエリアの幅を広げることで、より広い面積、広い範囲でフォーム材を圧縮し、高反発を得られる設計にアップデートしました。これにより、前のモデルに比べて約12%の反発領域向上を実現しました」(立野氏)
直希選手は「前作より反発性を感じやすく、体が跳ねるような感覚。接地した時の安定感は増したように感じましたし、接地した時にぐらつきとかもなく、とても走りやすかった」と感想を述べました。
智樹選手が履いたMETASPEED EDGE PARISアップデートポイントは、ミッドソールの厚みとカーボンプレートの傾斜をつけた配置です。
「ミッドソールの前足部を前のモデルよりも約3mm厚くし、反発性を向上。これにより、前のモデルに比べて約20%の反発領域向上の実現となりました。また、つま先に向かって下がるような傾斜をつけてカーボンプレートを配置することで、前方向への推進力を生み出しました」(立野氏)
智樹選手は「前作のいいところはすごく伸ばされています。以前だと、つま先の方に走り終わった後ダメージがあったんですけど、今回のレースではなくなっていたのは非常に良かった」と手応えを感じています。
「過去の自分を越える」「自分史上最速」
発表会の最後には、太田兄弟の母校でもある早稲田大学競走部の現役選手も参加したトークショーが行われ、後輩からの悩みに太田兄弟がアドバイスを送りました。
そして最後に、METASPEED PARISシリーズのキーコピー“挑もう。最速の自分へ。”について、太田兄弟からランナーの皆さんにメッセージをいただきました。
「練習や試合できつい部分があると思うけど、自分の目標だったり過去の自分を超えた時の達成感は一番大きいと思うので、ぜひ『METASPEED PARIS』シリーズを履いて昔の自分、過去の自分を超えていってほしい」(太田智樹選手)
「ランニングは楽しいことなので、きつい練習などもあるとは思いますが、まずは楽しんでほしい。そして自分の目標を越えられるように、自分の自分史上最速を目指して頑張ってほしい」(太田直希選手)
METASPEED PARISシリーズは、3月11日からアシックスオンラインストアで一般発売し、3月21日よりアシックス直営店(一部店舗を除く)、全国のスポーツ用品店でも順次発売されます。
“挑もう。最速の自分へ。”。ランナーにとってはレベルの違いはあっても、今日の自分を越えたいという思いは永遠のテーマです。あなたも、お近くのアシックス直営店、全国のスポーツ用品店でMETASPEED PARISシリーズを体感すれば“最速の自分”へのヒントが見つかるかもしれません。
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