部屋で大きな面積を占める窓周りは、インテリア次第で全体の印象がガラリと変わります。窓を覆うものといえばカーテンが一般的ですが、スタイリッシュな空間に憧れて、ブラインドを検討する人も多いのではないでしょうか。とはいえ、ブラインドは幅サイズが決まっていたり、賃貸物件では取り付けが難しいものも多かったりするのがネック。
窓装飾プランナーとして活躍する小松装飾代表の百瀬純子さんに、ブラインドのメリット・デメリットなど基本的な知識と、賃貸物件でも取り付けられるアイテム選び、さらに掃除方法について教えていただきました。
部屋がシャープな印象に。
ブラインドのメリット・デメリットとトレンド
憧れのブラインドというと、木製のウッドブラインドが思い浮かびますが……?
「木製ブラインドは、住まいによく使われていますね。最近はこの木製ブラインドにも、定番の茶系や白以外に、流行りの色が豊富に取り揃えられるようになりました。例えば、カラフルなダスティブルーやあえてアンティーク調の風合いを演出した、くすみ色などがあります。また、スラット(ブラインドの羽根)を束ねるテープの色も豊富になりました。アクセントとしてスラットとは異なる色のテープをあえて選んだり、ラグの色と合わせたりと、カラーコーディネートを楽しむことも広まりつつあります」(窓装飾プランナー・小松装飾代表 百瀬純子さん、以下同)
ブラインドには次のようなメリットとデメリットがあります。
【メリット】洗練された空間づくりから換気のしやすさまで
1.空間をスタイリッシュに演出する
「ブラインドは直線で構成されたデザインのため、お部屋をすっきりと洗練された印象にしてくれます。また、カラーバリエーションが豊富なので、どんな部屋にも合う色を見つけることができるでしょう。リモートワークが普及した昨今では、ブラインドをビデオ会議の背景にアクセントとして取り入れるのもおすすめですよ」
2.日差しや視線をコントロールできる
「スラットの角度を動かすことで、光を調整することができるのは大きなメリットです。とくに西日の入る部屋ではこのメリットを実感することができるのではないでしょうか。水平にスラットのある『ベネシャンブラインド』は上から入る光を、垂直のスラットのある『バーチカルブラインド』は横から入る光をコントロールすることができます。
また、外からの視線を遮る効果も。ベネシャンブラインドであれば、隣家や外部からの視線を、角度をつけることで遮ることができます。日光を取り入れながらもプライバシーを守ることができるのは、ブラインドならではの良さですね」
3.下ろしたままでも換気できる
「スラットを窓に対して垂直に調整することにより、ブラインドを下ろした状態でも外からの外気を取り込むことができます」
4.キッチンやバスルームなど水まわりにも使える
「布製のカーテンはカビが生えやすいため、湿度の高い場所では不向きです。そこで、各メーカーでは耐水性・耐湿性にとみ、防錆処理をしたパーツを使用したブラインドを揃えています。バスルームはとくに湿度が高くなる場所で、部品によっては錆びてしまう可能性もあるので、そのようなアイテムを選ぶようにしましょう」
【デメリット】ホコリの溜まりやすさや大きな音がネックに…
1.床まである掃き出し窓の場合は出入りがしにくい
「サイズの大きなブラインドは重みもあるため、上げ下げがたいへんで煩わしく感じることも。そのため、床まである窓にはあまり適していません。ベランダや庭に出る回数が多い窓には、この点に注意してブラインドの採用を検討いただくといいでしょう」
2.スラットにホコリが溜まりやすい
「ベネシャンブラインドは水平にスラットが並んでいるため、こまめに手入れをしないと、ホコリが溜まりやすくなります。アルミ製のブラインドの場合はスラットが鋭利なこともあり、掃除のときにケガをしないように注意が必要です」
3.遮光性・断熱性に欠ける
「スラット同士の間に隙間があったり、スラットにはコードを通す穴が開いているため、完全に光を遮ることや外からの冷気を断熱することはできません。寝室など、しっかりと暗くしたい空間での使用は検討が必要です」
4.窓枠にあたることで大きな音が出やすい
「風の強い日にブラインドを下げたまま窓を開けておくと、風でブラインドが揺れ、窓枠にあたると大きな音が出ます。多少の風であれば、スラットを床に対し水平にすることで解決しますが、強風の日にはブラインドを完全に上げきるか、窓を閉めるようにしてください」
5.木製ブラインドやバーチカルブラインドは壁や窓枠に穴を開ける必要性がある
「木製ブラインドやバーチカルブラインドは重いので、ビスを使ってブラケット(取付金具)で固定するのが一般的です。賃貸住宅の場合は、壁に穴を開けられないケースが多く、導入は難しいでしょう。アルミブラインドであれば、オプションパーツを使うことによりカーテンレールにブラインドを取り付けることが可能です」
日常的に行えば意外と簡単!
ブラインドのお手入れ方法
「ホコリの溜まりやすいブラインドは、定期的にお掃除することをおすすめします」と百瀬さん。続いて、ブラインドのお手入れ方法についても教えていただきました。
日常的な掃除方法
「毎日の掃除では、はたきやハンディモップを使いさっさと払うようにしましょう。この作業をするだけでもホコリを溜め込まずに済みます。日頃こまめに行っているだけでも手入れがグンと楽になります」
念入りな掃除方法
「1年に1-2回ほどは、スラット一枚一枚をていねいに拭き取りましょう。100円ショップでも柄の付いたブラインド用の掃除道具などが売られていますが、私は手で触れて細かなところまで拭くことができる軍手やマイクロファイバー素材の手袋をおすすめしています。幅の広いスラットの場合は、上向き、下向きに完全にスラットを閉め一面にした状態で、雑巾で拭き取るだけでもじゅうぶんきれいになります」
賃貸でも取り付ける方法と
サイズオーダーの基礎知識
ここでは賃貸物件でも取り付けられる方法と、窓の大きさにあった寸法の測り方を紹介します。
「賃貸物件に取り付けるのであれば、カーテンレールに取り付ける方法がおすすめです。この方法であれば、壁に穴を開けることなくブラインドを取り入れることができます。注意して欲しいのが、アイテムは軽いアルミブラインドを選ぶこと。木製ブラインドやバーチカルブラインドは重みがあるので、カーテンレールへの取り付けは基本的にはできません。最近ではアルミブラインドにもさまざまな色や質感が揃っているので、インテリアにもなじみます」
カーテンレールへの取り付け方法
「カーテンレールに取り付ける際には、まずカーテンレールから両脇にあるキャップを外し、ランナーをすべて取り出します。そして、カーテンレールに上の画像のような取り付けナットを入れ、取り付けナットの下よりブラケットを押し当ててネジで固定。あとは、ブラケットにブラインドを付け、カチッと音がしたら取り付け完了です。
賃貸物件の場合、ランナーは退去時に戻さないといけませんので、忘れずに保管しておいてくださいね」
カーテンレールに取り付ける場合の採寸のポイント
続いて、ブラインドを取り付ける際の採寸のポイントを教えていただきました。
1.幅を測る
「窓枠外側の幅サイズを測ります。隙間や光の漏れが気になるようであれば窓枠の寸法よりも左右3cm〜5cm程度大きくすることをおすすめします」
2.高さを測る
「カーテンレールのブラケットから窓枠下端の高さサイズを測ります。隙間や光の漏れが気になるようであれば、窓枠の寸法よりも3cm〜5cm程度大きくすることをおすすめします。床まである掃き出し窓の場合、床にブラインドがあたることを考え、マイナス1cm程度短くすることをおすすめします」
「お部屋により、窓の近くや窓のある場所に干渉する家具や家電がある場合など、採寸に困ったときは、販売元にご相談してみてください。プロの視点から必要なサイズを提案してもらえますよ」
窓装飾プランナーが紹介する
賃貸でも使えるブラインド 6選
最後に、賃貸物件でも取り付け可能なブラインドを百瀬さんにおすすめしていただきました。
■ カーテンレールに取り付けるタイプ
1.インテリアに馴染む木目調のアルミブラインド
ニチベイ「セレーノグランツ25・35」
参考価格3万1,300円(税・梱包輸送費別)※幅1800mm×高さ1800mm、スラット35mmの場合
「木目調のプリントでアルミブラインドでありながら温かみのある印象です。従来のアルミブラインドはスラット幅25mmが主流でしたが、こちらのシリーズではスラット幅を25mm、35mmと幅広いタイプを選べます。木製ブラインドの幅が広いものが多いため、35mm幅を選べばより木製ブラインドに雰囲気を近づけることができ、ぐっとおしゃれな印象になるでしょう」
2.窓枠にあたる音を気にせずにブラインドを下げられる
タチカワブラインド「パーフェクトシルキー」
参考価格3万3,800円〜(税抜)※幅1800mm×高さ1800mm、ベーシックカラーの場合
「一般的なブラインドを下げるときに窓枠にあたるとガシャンと大きな音が出てしまうのですが、こちらは減速降下機能が搭載されているので音を気にせず下げることができます。また、スラットにコードを通す穴がないので、光の漏れを防ぎ、寝室での使用にも適しています。万が一、スラットが折れてしまった場合も、コードを外すことなく手軽に交換できます」
3.光媒体コーティングと防汚・抗菌、消臭機能で清潔に使える
TOSO「一般窓用ワンポールタイプ ベネアル25・15(光触媒遮熱シリーズ)」
参考価格2万9,400円〜(税込)※幅1800mm×高さ1800mmの場合
「ブラインドを操作する紐がループ状ではなく、1本の棒状になっているので、握りやすく操作性の良さが特徴。さらに、光触媒コーティングにより、室内の照明の明かりで臭いや汚れを酸化分解します。また、抗菌・消臭効果がある優れもの。遮熱機能付きなので、省エネで電気代節約にも貢献してくれます」
■ テンションタイプ
4.ビスいらずで場所を選ばず取り付けられる突っ張りタイプ
ニチベイ「セレーノオアシス25 テンションタイプ」
参考価格2万9,900円(税・梱包輸送費別)※幅1800mm×高さ1800mmの場合」
「窓枠の内側にブラケットを貼り付け突っ張る力で固定ができるので、浴室のタイルやカーテンレールのない小窓などに適しています。また、耐水性に優れているため、浴室、洗面所、キッチンなどの水まわりにも気兼ねなく使えます。色展開は200色以上と豊富にそろっているので、お好みのカラーを見つけることができるでしょう」
5.水まわりのほか、結露対策にもおすすめ
タチカワブラインド「シルキーアクア ノンビス RDS」
参考価格3万1,700円〜(税抜)※幅1800mm×高さ1800mm、ベーシックカラーの場合
「耐水加工が施されているので、サッとシャワーで流したり、水拭きするだけで掃除が完了します。また、スラットを挟むコードが上と下にあり二重になっていることで、水分によるスラットのくっつきを防いでくれます。結露が多くてお困りの窓には布製のカーテンではなく、防水性に富んだブラインドを検討するといいでしょう」
6.お好みの本数を気軽に取り付けられる
ブンカ「ツッパルーバ」
参考価格3,000円〜(税抜 / 1本)
「工具はいっさい不要で簡単に取り付けることができます。1本単位で購入することができるので、必要な本数をカスタマイズできるのもポイントです。スラットが単独で取り付けられているため、上下のスラット同士が連動していないので、窓の上半分で太陽光を遮り、下半分で部屋の下からの視線を遮るなど、目的に合わせて使い分けることができます」
洗練されたインテリアにしたい人はもちろんのこと、汚れ防止機能や耐水性能など、部屋の悩みに合わせて窓装飾を整えたい人にもブラインドはおすすめです。賃貸物件でも使えるブラインドのバリエーションが広がり、軽量で機能性にも富んだブラインドも豊富に。すっきりとした快適なお部屋にするために、まずは居室の窓装飾を変えて気分一新してみてはいかがでしょうか。
Profile
インテリアコーディネーター・窓装飾プランナー / 百瀬純子
インテリアコーディネーター、窓装飾プランナー、福祉住環境コーディネーター2級、住宅収納スペシャリスト。長野県松本市で先代の父から営む小松装飾を引継ぐ。創業56年、地元のお客様を中心に、全国からカーテン縫製や特殊加工のご依頼を受けている。インテリアコーディネーター・窓装飾プランナーなどの資格を活かし、カーテンに限らない窓装飾の提案から施工までを手掛ける。プライベートでは三姉妹を育て、現在は介護の真っ最中。「楽しく、豊かに、丁寧に」をコンセプトに主婦、子育て、介護の経験を活かしてライフスタイルに合ったご提案を心掛けている。
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