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2024/4/5 11:30

正直ガジェット・AVとしての実力はどう? その道のプロが最新「サイバーナビ」を試したら……

先進の機能を満載して多くの人を魅了しているカーナビゲーションが、パイオニアのカロッツェリア「サイバーナビ」です。その最新モデルが発売されたのが2023年10月のこと。

 

従来モデルにも備えられていた使い放題のインターネット接続サービスなど、ネットワーク機能はそのままにカーナビ機能を極め、新たにサイバーナビ史上最高峰と言われる高音質設計までも取り込んだ最新型へと進化したのです。

 

でも、いまやスマホのアプリを使えばカーナビだって簡単に使えてしまう時代。先進機能を満載しているとはいえ、サイバーナビは本当に魅力的なのか、懐疑的になる人も少なくないでしょう。

 

そこで今回は、サイバーナビのカーナビ機能を紹介しつつ、デジタルガジェットとしての良さや、史上最高峰となった高音質再生機能を、“その道に詳しい人たち”にチェックしていただくことにしました。

↑試乗車に搭載された最新のサイバーナビを、“その道のプロたち”がチェック

 

まずは基本性能をおさらい

今回取材したのは、サイバーナビの中で最も画面サイズが大きい9V型で、ネットワーク機能を備えた「AVIC-CQ912Ⅲ-DC」です。ラインナップにはほかに8V型モデルや7V型モデルの計8モデルがあり、7V型ではボディサイズを幅200mm/180mmから選ぶことができます。また、全モデルでネットワーク機能対応機を選択できるのもポイントと言えるでしょう。

 

そして、サイバーナビたるゆえんなのがこのネットワーク機能なのです。

 

ネットワーク機能の最大の特徴は、市販カーナビ初の通信量無制限、使い放題のインターネット接続サービス「docomo in Car Connect」に対応したことにあります。これはドコモの高速データ通信を使ったネットワークサービスで、地図の自動更新やYouTube動画の再生、車内Wi-Fiスポット化といったサービスが無制限でいつでも楽しめるようになるのです。

↑サイバーナビ本体でネットに接続できるうえに、Wi-Fiスポットとしての利用も可能。もちろん、ネットワーク名やパスワードを任意に設定できる

 

しかも、サイバーナビのネットワークスティックを標準付属しているモデルを選べば、最初の1年間は無料で使い放題となる使用権をゲットできます。この1年間、じっくりとdocomo in Car Connectのサービスを使い倒し、それ以降は自分に合ったプランを用意された3つの中(1日550円、1か月1650円、1年1万3200円/各税込)から選べばいいというわけです。

 

加えてサイバーナビ本体にはYouTubeを直接再生できる機能も備わっているので、スマホのように見たい動画を探して好みのコンテンツを再生できます。もちろん、docomo in Car ConnectによるWi-Fiスポットに接続して、同乗者が自分のスマホで楽しんでも構いません。

↑サイバーナビでYouTubeを表示。9V型だと運転席から見える画面はわりと大きく、コンテンツの視認性がいい

 

また、サイバーナビならエンジンさえ動いていれば停車中であってもこのネットワーク機能を楽しめます。なので、車中泊などで利用するのもOK。いろんな使い方ができるのもメリットなのです。

↑休憩中にちょっと動画を楽しんだり、あるいは運転中に音声コンテンツを再生したりと広い用途が考えられる

 

さらに、サイバーナビには出掛けた先で自宅のレコーダーにアクセスできる機能もサポートしています。録画済みの番組を見られるのはもちろんですが、見逃せないのが自宅で受信中の地デジ以外に、スポーツ中継が多いBSやCS放送までも楽しめるところ。スポーツはリアルタイムで見るからこそ価値があるわけで、サイバーナビなら場所にとらわれず、出掛けた先で見られるわけです。

↑自宅のレコーダーにアクセスできるRecorder Accessの画面。スマホアプリで自宅のレコーダー、スマホアプリとサイバーナビ「DiXiM Play for carrozzeria」アプリとそれぞれペアリングし、docomo in Car Connectの通信回線を使えばレコーダーのコンテンツを再生できる

 

こうした便利な機能を備えたサイバーナビですが、ガジェットとしての実力はどうなのか。日々多くのガジェットをレビューしているヤマダユウス型さんがチェックします。

ヤマダユウス型

楽器、カメラ、ゲームなどを好むフリーライター。平時はガジェットに生かされつつも、休日は登山やキャンプで魂を漂白している。最近は塊根植物にハマっている。

 

ディスプレイは精細で操作性が明快。Wi-Fiはゲームも快適(ヤマダユウス型)

まず印象的だったのは、ディスプレイの発色の良さです。解像度は1280×720ドットのHDサイズですが、パネルの光沢感や色の鮮やかさも相まって、非常に精細に感じました。また、昨今は大画面のディスプレイを見る機会も少なくありませんが、画面サイズに対する物足りなさは感じませんでした。

 

視野角も広く、運転席からも助手席からも画面がクッキリと見えます。カーナビは斜め方向から見るのが基本となるので、そこをキッチリ抑えているのはさすが。本モデルはどこから見ても情報を受け取れます。ガジェットのディスプレイスペックで見るとやや控えめですが、カーナビとして見たときにスペック以上の作り込みがなされていることを感じます。

 

操作性やインターフェースのデザインも明快で、初めて本機に触った筆者が説明を受けずとも、設定画面やブラウザー操作までこなすことができました。特に、地名を入力すると検索候補を表示してくれる「サジェスト入力」は、タッチ操作での入力にとっても便利! 音声入力の精度も高く、音声操作とタッチ操作のどちらからもアプローチできるのは、最新ガジェットにも通じるインターフェースでしょう。

 

スマホなどでは当たり前と言えるかもしれませんが、カーナビでも“その当たり前”を実現しているところは注目すべきところです。

 

またWi-Fiスポットにできるユニークな機能を使えば、たとえば自宅で使っているタブレットや、携帯ゲーム機のオンライン対戦などもじっくり楽しむことが可能です。回線速度を測ると下りで約20Mbps、上りで約11Mbpsとなり、動画視聴はもちろんオンラインゲームも快適に楽しめるでしょう。

↑スマホやタブレット、ゲーム機をネットワークに接続できるので、たとえば渋滞にハマってしまっても退屈はしのげそう

 

Wi-Fiスポットの利用に必要なdocomo in Car Connectも利用期間を選べるため、たとえば旅行や帰省のときに3日間だけ利用する、といった柔軟な使い方もできるのは便利だと感じます。

 

高品質なパーツ、最適な音場でたどり着いた史上最高峰の音質

続いて“サイバーナビ史上最高峰の高音質”について紹介しましょう。これは発表されたリリースで、「原音再生にこだわった高音質を実現する設計思想『マスターサウンド・アーキテクチャー』のもと、新『サウンドマスタークロック』をはじめとした高音質パーツを惜しみなく採用し、サイバーナビ史上最高の音質を実現」したというものです。

 

特に注目なのが、デジタルオーディオの要ともなる基準クロック信号の生成において、最新サイバーナビでは従来よりも高品質かつ高精度なものを採用していることです。これがジッターを低減し、音質劣化を抑えてより高品質なサウンドを提供可能としたのです。

↑新しくなったサウンドマスタークロック

 

さらにハイエンドオーディオ機器・プロ用オーディオ機器用の日清紡マイクロデバイス製「MUSES8820」を採用。これは高級オーディオ製品向けに開発されたもので、車載器でありながら、まさに素材からして高音質を徹底して極めたというわけです。

↑高音質オペアンプのMUSES8820。これらの高音質パーツを採用し、“サイバーナビ史上最高峰の高音質”を実現したという

 

ただ、カーオーディオの場合、本体で音作りを極めても取り付けた状態によってその能力を活かせないこともあります。そこで役立つのが、サイバーナビが以前から搭載してきた車内の音響を最適な状態に調整する「オートタイムアライメント&オートイコライザー」です。調整に必要なマイクは別売りとなっていますが、これによってわずか4~5分で取り付けたクルマに最適化した音場をもたらしてくれます。

↑各スピーカーから音が出るタイミングを調整するタイムアライメントの設定画面

 

調整を終えた後でこの効果をON/OFFでチェックしてみるとその違いは歴然! まさにこの機能は高音質化されたサイバーナビの実力を引き出すのに欠かせない機能であることを実感させられます。サイバーナビを取り付けたら、高音質を存分に楽しむためにもぜひ調整しておくことをオススメします。

 

では、これらのこだわりを詰め込んだサイバーナビ史上最高の音質は、具体的にどういった音質なのか。オーディオ・ビジュアル専門のライターである山本敦さんがチェックします。

山本 敦

オーディオビジュアル誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。ハイレゾに音楽配信、スマホなどポータブルオーディオの最先端を徹底探求。海外の展示会取材やメーカー開発者へのインタビューなども数多くこなす。

 

原音に忠実。クルマの中が本格的なオーディオルーム&ホームシアターになる(山本敦)

音質はこれまでパイオニアがオーディオで培ってきた傾向に似て、原音に忠実ですごくピュア。車の中が専用のオーディオルーム、ホームシアターに早変わりします。

 

サウンドはとてもフラットなバランスでむやみな味付けがないぶん、再生する音楽や騒音の多いドライブ環境などによっては低音が若干物足りなく感じるかもしれません。そんなときにはイコライザー機能が活躍してくれます。たとえば「Vocal」を選ぶと歌声が前に出てきますし、「Powerful」に変更すればビートが効くなど、ドライブシーンや楽曲に合わせた音の作り込みができてすごく楽しめます。

↑イコライザーの設定画面。真ん中下でプリセットされている設定を選び、右側の数字でイコライザーの効きを選べる

 

また、ハイレゾ音源にも対応しています。試乗車にはハイレゾ対応スピーカー「TS-C1730SⅡ」が搭載されていることもあり、楽曲の情報量がしっかりと出ていて、クラシックや声楽系の曲でも細かいニュアンスを感じ取れました。パイオニアらしい、ハイレゾ高音質に妥協なくこだわり抜いたシステムと言えます。

↑ハイレゾ音源は主にUSBかSDメモリーカード経由で再生。試乗車ではサイバーナビ液晶の裏側にSDカードスロットがありました

 

一方、普段スマホで聞くようなBluetoothオーディオも、ハイレゾ相当に高音質化する「マスターサウンドリバイブ」のおかげで、音楽配信やビデオのオーディオトラックも断然リッチな音質で聴けます。臨場感がとても豊かで、ひとつひとつの音像を明確にとらえることができます。生々しさがケタ違いです。

↑マスターサウンドリバイブの画面。CDなどの圧縮率の低い音源用の「MODE1」と、圧縮率の高い音源用の「MODE2」が用意されて、音源によって選べる

 

これらに加えて、オートタイムアライメント&オートイコライザーで調整すれば、運転席のポジションに合わせて最高の音質が楽しめます。こうしたオーディオファンの琴線に振れる作り込みはさすがパイオニア。オーディオコンポやホームシアター商品の開発により、培ってきたノウハウがしっかりとカーサウンドにも生きています。

 

通信機能でカーナビ検索が便利になり、地図データの自動更新も

ここからは、カーナビ機能について触れていきましょう。はじめにお伝えしたネットワーク機能の搭載はカーナビ機能にもメリットをもたらします。サイバーナビ内にあるデータ以外に通信機能によるオンラインを活用した便利な目的地検索も実現。「フリーワード音声検索」「フリーワード検索」を用意し、サイバーナビのデータに反映されていない、たとえばオープンしたばかりのスポットなども探し出して目的地に設定できます。

↑フリーワード音声検索は、はっきりと発声すればちゃんと聞き取ってくれるので、たとえばドライブの途中で近くのコンビニなどのスポットを検索する際にも便利

 

ルート案内時には、長年にわたって蓄積してきた膨大な渋滞予測データやリアルタイムの走行・交通情報が「スマートループ渋滞情報」として反映され、ドライバーに最適な情報を提供。専用サーバーの情報を活用して膨大なルート候補から、時間と料金まで考慮して導き出す「スーパールート探索」は、その能力をいかんなく発揮したものと言えるでしょう。

 

地図データもこの通信機能を使って自動で更新してくれます。最新の道路や施設情報を自動でダウンロードしてくれるのはもちろん、費用も最大3年分(最大年6回配信で、期間は発売時~2026年10月31日まで)が無料で付いてきます。

 

また、パイオニア製カーナビをより便利にする会員サービスのMapFanスマートメンバーズに加入すれば、この期間を最大3年から4年(2027年10月31日まで)に延長してくれる特典まで用意されているというからうれしいところです。

↑MapFanスマートメンバーズになると、カーナビの地図や各機能を最新状態で利用できるほか、カーナビの周辺機器をお得に購入できたり、渋滞情報やガソリン価格などをリアルタイムで把握できたりします

 

充実の基本性能にネットワークが加わった新時代のナビ

サイバーナビならではの真骨頂とも言えるのが、カーナビとしての高精度な測位能力。ビルが建て込んだ都会はもちろん、長いトンネルが続いてもサイバーナビは常に正しい位置を表示する優れた能力を備えているのです。

 

たとえば高架道路と下の一般道のどちらを走っているのかも自動的に認識するので、仮に案内されているルートを間違えて高速道路を降りてしまってもすぐに新しいルートで案内してくれます。さらに地下駐車場に入って周回しても出口を見失うことはありません。この優れた能力が運転中の安心感や快適さをもたらし、まさにスマホのナビアプリと決定的に違う点なのです。

 

今回、コメントをいただくのに識者の方と駅周辺で待ち合わせしたわけですが、駅前は開発が古く、道路が狭くて一方通行をうまくクリアしてアプローチする必要がありました。そんな場所でもサイバーナビは分岐ポイントを的確に案内してくれました。

↑カーナビの根幹であるルート案内はもちろん的確

 

サイバーナビはそうしたカーナビとしての基本機能をしっかり押さえ、そこに最先端の技術を取り込んで進化し続けてきたと言えます。しかもそこにはネットワークとリンクする新たな時代のサイバーナビの姿があります。カーライフをもっとグレードアップするにも、サイバーナビは大きな手助けとなることは間違いないでしょう。