トレンドのくすみカラーを採用したモバイルバッテリーなど、おしゃれでかわいいアイテムを製造・販売しているMOTTERU。同社の公式WebサイトはまるでコスメのWebサイトのように洗練されていて、無骨な製品が多いデジタル分野の中で、ほかにはない輝きを放っています。
店頭で見かける機会も増えるなど、注目を集めているMOTTERUですが、働きやすい環境ができていたり、女性社員が多かったりするそうで、実は「働く」視点でも注目すべき部分がありそうです。そこで、中で活躍しているのはどんな人たちなのか、お話をうかがい、その姿に迫りました。
経歴がまったく異なるメンバー
──さっそくですが、みなさんがMOTTERUに入社された経緯を教えてください。
二梃木 最初Webデザインの世界に入り、制作会社に勤めた後に、3年ちょっとフリーランスのデザイナーをしていました。当時は徹夜でがむしゃらに仕事をしていたのですが、出産してからは「もうこういう働き方は無理だな」と思って、また組織に入ってWebディレクターになりました。サイトのデザインから始まって、Web広告系、解析や計測系など、いろいろと経験を積んだうえで「メーカーもいいかも」と思って入社したのがMOTTERUです。
大坪 私は新卒で家電量販店に入社し、スマートフォンや周辺機器の販売を担当していました。家電量販店に入ったのはスマートフォンが好きだったからなのですが、子どもができたときにどうしても両立するのが難しくなってしまったんですね。それをきっかけに生命保険の営業や建設業の事務に転職しました。でも事務はルーティーン作業が多く、次第に飽きてしまって……。その頃にMOTTERUの採用サイトを見かけて応募しました。
松下 私はもともと関西で自動車のディーラーで働いていたのですが、家族の事情で神奈川に移ることになったので、MOTTERUに入社しました。転職自体はずっと考えてまして、MOTTERUはかわいいモバイルバッテリーを目にしたことをきっかけに知りました。
──それぞれまったく異なる経歴をお持ちですね。MOTTERUのどのようなところに魅力を感じたのですか?
二梃木 設立したばかりの会社の方がいいのかなという思いがあったんですね。私は組織というものがちょっと苦手で、できたばかりの方がいろいろな意味で入り込みやすそうかなと。自分で仕事を進めていきたい私に合っていると感じました。あと「ベンチャー企業」っていうのもかっこよくて惹かれました。
松下 私は企画や設計から、サポートなどのアフターフォローまで全部自社でしているところです。最初は「かわいい」というところからMOTTERUを知りましたが、自分で調べていく中でそこを知って、応募を決めたと思います。それから、“自分のスキルで貢献できることをする”つもりで応募したら、「ECの担当をやってみないか」と面接の中で言ってもらえて。未経験のことを任せてもらえることに衝撃を受けました
──未経験のお仕事に不安はありませんでしたか?
松下 当時「私を信じて任せてもらえた」っていうのがすごく印象に残っています。長年働いてきて、そんな経験はなかったので。私の気持ちとしては「やるしかない」「やってやろう」でした。実を言うと、産休明けのいまはECを担当していますが、以前はECだけでなく、お客様のサポート対応や、広報担当としてプレスリリースを執筆したりもしていたんです。想像以上にいろいろな経験をさせてもらっていると思います。
大坪 未経験でもフォローしてくれる人がいて、あとは「好きにやってもいいよ」という部分もあるので試行錯誤もできます。社内で別の仕事に就いても手厚く教えてもらえるのは大きな特徴ですね。
仕事の話はもちろん、子育ての会話で盛り上がることも
──MOTTERUの男女比は男性4:女性6で、この分野のメーカーとしては珍しいですよね。男女比は仕事の環境にも影響していますか?
松下 男性の比率が多かった前職と比べてみると、ちょっとした会話がパッと広がることが多いように思います。たとえば、デザイナーが商品のカラーで悩んでいるときに「この色よくないですか?」と誰かが言って、そこから和気藹々とした話し合いになり、最後にはかわいい色が決まるですとか。
二梃木 “類は友を呼ぶ”なのか、MOTTERUの女性社員ってみんなさっぱりしていて、自分を持っている人が多いような気がします。
松下 芯が強い者同士、業務上でぶつかることももちろんありますが、その分お互いに柔らかく受け取ってくれる感じもありますよね。
二梃木 子どもがいる女性社員も多いので、子どもの話で盛り上がることも多いです。「うちの子は今日遠足なんだよー」とか。
松下 3月からは一軒家のような新しい社屋になったので、お昼ご飯などは、ダイニングに集まって話をしながら食べられるとか、アットホームな環境があるところも気に入っています。子どもの保育園の話とか、家庭の話とか、けっこう仕事を離れた会話で盛り上がることが多い印象です。
サポート体制がしっかりしているから「仕事で返したい」
──子育てをしながらのお仕事や、会社のサポート体制についてはいかがですか。
二梃木 弊社は基本的に出社体制ですが、子どもが体調を崩してしまったときなどは「すみません、子どもがどうしても不調で……」と話して在宅に切り替えてもらったりすることもありますね。
松下 私の場合、夫が体調を崩してしまったことがあって、そのときもすぐに「今日は在宅でいいよ」と言ってもらえたことがありました。出社体制の会社なので、普通ならその日はお休みになってしまうと思うのですが、こちらの都合に合わせてくれつつ、ちゃんと仕事の責任も果たせるようにしてくれます。
大坪 私は産休でお休みをとらせてもらったことがあって、そのときに社長の櫻田が電話で会社の状況を伝えてくださったり、相談に乗ってくださったりしたのが印象に残っています。すごく従業員思いなんだなと感じました。
二梃木 MOTTERUのそういうところ、かなり働きやすいし魅力に感じています。だからこそ、「私も会社に何かを返せたらな」って思わせてくれます。
勤務形態は人や事情に合わせて決める
──みなさん子育てをしながら17時までの時短勤務をされているとうかがいました。定時は18時終業だそうですが、なにか制度はあるんですか。
大坪 一律で決まっているわけではなく、出産や育児などで勤務形態を変える必要が出たときに、社長と人事担当者と話し合って、その人その人に合った形態に決めています。私は当初パートで入社してから正社員になっているのですが、産休後に戻られて働いている先輩社員が、柔軟に勤務時間の相談に乗ってもらっているのを身近に目にしていたので、「こういう働き方ができるなら、ここで長く働いてみたいな」と思って正社員になりたいと改めて要望を出しました。
もちろん社長だけじゃなくて、まわりのみなさんの理解があって、この会社の“働くママにとって働きやすい環境”が成り立っていると思います。ママさんが多いから、子どもが体調を崩したときも、ママ同士で理解し合ってカバーしようとする意識があったりします。
──あえて会社に要望するとすれば、どんなことをお願いしたいですか。
松下 これは社長が言っていて、私もいいなと思っていることですが、この一軒家の中に保育できる場を作るアイデアですね。いま、隣の市の保育園に子どもが通っているのですが、やっぱり送迎の時間がすごくもったいないなーって思っていて。ギリギリまで仕事に時間を当てたいとも感じているので、そういったサポートが今後生まれたらすごくいいですよね。
二梃木 会社内に保母さんとか保育士の資格を持った方がいてくれて、子どもを見てくれる体制があったら最高ですね。
大坪 人事担当としては、そうした働くママに対する優しいサポートも充実させていきたいです。さらには、パパをフォローする制度や、未婚の社員、お子さんを持たない家庭に対しても、仕事とプライベートのバランスをサポートするような制度を設けていきたいとも思っています。
女性が働きやすい会社を作るのがMOTTERUのコンセプト
女性、特に子育てをするママが働きやすい環境になっていることがわかりますが、代表取締役の櫻田 良太さんとしてはどういう思いがあるのか。お話をうかがってみました。
──櫻田さんは「子育てがしやすい環境」や「女性が働きやすい会社」に対する特別な想いがあるのでしょうか。
櫻田 子どもができるのは特別なことだと思うんですね。一方で子どもを大きく育てていくには大変なこともあります。そんな中で社会全体を寛容なものしていくためにできることのひとつが、“女性が働きやすい会社を作ること”だと思います。それは弊社のコンセプトのひとつでもあるんです。
──制度として時短勤務があるとお聞きしましたが、その制度も「女性が働きやすい会社を作ること」の一環でしょうか。
櫻田 時短勤務については、女性社員が多い会社の方とお話ししていて「幼稚園とか保育園の送迎が……」というお話が多かったことから採用しています。ほとんどの会社は時短になるとその分給料がカットされると思いますが、私は生産性で考えていて、時短に切り替わってもお給料は下げない方針にしています。私自身の経験を振り返ると、遅くまで働いて子どもとの時間を大事にできていなかった時期があります。そういうことを自分の会社のスタッフにはさせたくなくて、プライベートを大事にしてもらうにはどうしたらいいんだろう? といつも考えています。
──ほかに制度や体制の面で、現在お考えになっていることはありますか。
櫻田 一時期は少数精鋭で生産性を上げていく方向で経営していましたが、最近は有休の取得もしやすいように人員を増強して、みんなで分担してカバーしていく方向に進んでいこうとしています。ただ、仕事には責任も必ず発生すると思うので、自由であっても生産性をみんなで向上させていく高い意識は必要ですし、両者のバランスを考えていく必要もあるとは思っています。
──最後に、これからどんな人に入社してほしいですか。
櫻田 人生は一度きりで楽しんだ方がいいので、仕事も楽しんだ方がいいと思うんですよ。楽しいことは、自分でできるようになって初めて楽しくなってくると思っていますし、私たちはその手助けができると思います。自分でいろんな経験をされたい方に、熱い思いを持って“早く帰れる”会社で楽しんでいただきたいなっていうのが、私たちの願いです。
撮影:松川忍