YouTubeチャンネル「職人社長の家づくり工務店」の職人社長こと、平松建築代表の平松明展氏が、25歳以上55歳未満の既婚者全国300人に「電気代の値上げと節電対策」について調査。みんなが実践している節電対策って? さらに、プロが教える“光熱費高騰対策”とは?
現在の電気料金についてどう思うか?
「現在の電気料金についてどう思うか?」と尋ねたところ、どの居住形態も4割弱が「非常に高い」(戸建て:36.0%、集合:35.6%、賃貸:36.3%)と回答し最多に。「やや高い」(戸建て:22.0%、集合:20.7%、賃貸:23.0%)、「どちらかと言うと高い」(戸建て:24.0%、集合:28.7%、賃貸:20.4%)も含めると、高いと思っている人は8割程度(持ち家:82.0%、集合:85.0%、賃貸:79.7%)おり、「適正額」と思っている人は1割台(戸建て:14.0%、集合:11.5%、賃貸:15.9%)でした。
どのような節電対策をしているのか?
それでは、「どのような節電対策をしている」のでしょうか? 最も多かった対策は「電気や電源をこまめに消す」(戸建て:63.0%、集合:56.3%、賃貸:68.1%)となり、以下「エアコンの設定温度を上げる」(戸建て:36.5%、集合:35.6%、賃貸:37.2%)、「長時間使わないものはコンセントを抜く」(戸建て:32.0%、集合:27.6%、賃貸:35.4%)と続きました。
また、現在、省エネ家電の促進を目的とした補助金制度を導入している自治体は多くありますが、「省エネ家電に買い替える」はどの居住形態も1割未満(戸建て:9.0%、集合:9.2%、賃貸:8.8%)という結果でした。
電気料金の値上げは家計にどのくらい影響するか?
今度は、「電気料金の値上げは家計にどのくらい影響するか?」と尋ねました。どの居住形態も4割弱が「非常に大きい」(戸建て:37.5%、集合:37.9%、賃貸:37.2%)と回答し最多に。「やや大きい」(戸建て:21.0%、集合:20.7%、賃貸:21.2%)、「どちらかと言うと大きい」(戸建て:29.0%、集合:25.3%、賃貸:31.9%)も含めると、大きいと悩んでいる人は非常に多く(持ち家:87.5%、集合:83.9%、賃貸:90.3%)いることがわかりました。
電気料金高騰の対策としてすでに実践しているものは?
最後に、「これからも続くだろう電気料金高騰の対策として、すでに取り組んでいるものや検討したいものはあるか?」と尋ねました。4割が「特にない」(戸建て:41.0%、集合:40.2%、賃貸:41.6%)と回答しましたが、6割は何かしらの対策に取り組んでいる、または検討していることがわかりました。そして、そのなかで多かったのは「電力会社の見直し」(戸建て:29.5%、集合:27.6%、賃貸:31.0%)、「省エネ家電への買い替え」(戸建て:21.0%、集合:24.1%、賃貸:18.6%)、「省エネ照明へ変更」(戸建て:19.0%、集合:18.4%、賃貸:19.5%)など比較的取り組みやすい対策でした。
<調査概要>
調査期間:2024年6月19日
調査手法:インターネット調査
調査対象:25歳以上55歳未満既婚者全国
有効回答者数:300人(持ち家戸建て居住者:100人、持ち家集合住宅居住者:人、賃貸住宅居住者:113人)
調査機関:Freeasy
※「平松建築株式会社 調べ」
光熱費高騰対策を教えます!
昨今、電気代はどんどん上がっています。たとえ、高性能・省エネな家に住んでいても、電気代の単価が上がっているため、どうしても電気代が高くなってしまいます。無用に電気代が掛からないよう、しっかり対策しましょう。長いスパンで考えると、対策次第で数百万から数千万変わる可能性も。今回は上記調査を行った平松明展氏が「光熱費高騰対策9選」を解説してくれました。
1.電力会社を見直す
最初にできる一番簡単なことは、電力会社の見直しです。電力会社は、電力大手10社だけでなく、ポイントが付いたり、太陽光発電とのセットで割引があったりなど様々な特徴を持つ電力会社もあります。現在契約している電力会社に比べ、お得な会社があるか一度比較すると良いでしょう。もしかすると、使い方を何も変えずに電力会社を変えるだけでコストが下がることもあります。
2.省エネタイプの家電に変更する
環境省の「しんきゅうさん(https://ondankataisaku.env.go.jp/shinkyusan/)」がオススメです。このサイトでは、現在使っている家電から新しい家電に買い替えるとどれくらい電気代が下がるか、シミュレーションできます。省エネ家電に買い替えたら、何年で元が取れるかもわかるため、高い家電も買いやすくなります。様々家電製品を比較できるので、このサイトを使って検討してみてください。
3.照明をLEDに替える
白熱灯からLEDに替えると、消費エネルギー量は10分の1、寿命も10倍になります。トータルコストを下げる効果はかなり大きいため、白熱灯を使っていたら速やかにLEDに替えた方がよいでしょう。長寿命で省エネ性も高く、電気代の節約に繋がります。但し、LEDは白熱灯に比べると目にやさしくないので、使い方・使用量などは調整してください。
4.高断熱カーテンを付ける
「ハニカム・サーモスクリーン」という断熱効果の高いブラインドカーテンがあります。横から見ると、ハチの巣のような筒状になっているので、そこが断熱層となり、断熱性が非常に高く、費用対効果も高いものになります。但し、使い方を間違えると逆効果になることがあります。冬場は陽を取り入れたいですが、夏場は冷房負荷が増えるため、陽を取り入れたくありません。冬の日中は、南面で断熱性の高いハニカム・サーモスクリーンを閉めてしまうと暖かい空気を止めてしまうため、開けておきましょう。日中は陽を取り入れて温度を上昇させますが、夜になると窓から熱が逃げてしまうため、下まで降ろして温めた空気を逃がさないようにすることが必要です。夏は、東・西・北側でも陽を取り入れないよう日中閉めておくと日射遮蔽になり、外からの熱い空気が伝熱してくるのを止める効果があります。
5.シーリングファンを付ける
シーリングファンは、天井に取り付けるプロペラのような送風機で、吹き抜けのある家にオススメな節電方法です。吹き抜けの天井にシーリングファンを付けると、空気を撹拌し上下の温度差を減らす効果があるため、冬場は暖房の設定温度を下げても快適な室温になります。リビングと階段が繋がっている家は、階段の上に付けるとよいでしょう。また、賃貸で天井に穴を開けられなくても取り付けできる簡易的なシーリングファンもあります。
6.内窓を付ける
内窓は一番節電効果が高いです。なぜなら、断熱性能が低い家の一番の弱点は窓だからです。今ある窓の内側に内窓の枠を取り付け、ガラス障子を入れると内窓が付きます。工事が簡単で他の工事と比べたら安く、断熱性能を上げる効果は一番大きいです。そのため、光熱費高騰の原因が冷暖房の場合は、まず内窓を付けましょう。補助金も出ます。
7.高性能住宅を選ぶ
家を建てる時に高性能の家を選ぶことが最もスムーズですが、その分費用が掛かります。また、今住んでいる家を高性能住宅にそっくり変えようと思うと、断熱性能や耐震性能を高めるために、性能向上リノベーションというかなり大掛かりな工事になり、1500万円~2000万円、場合によっては3000万円掛かってしまうこともあります。とても取り組みやすいとは言えません。しかし、まだ建てていない、長く大事に住みたいという方は、高性能住宅に変えることを検討してもよいかもしれません。
8.オール電化・太陽光発電
家の性能が高いという条件下でオール電化・太陽光発電を導入すると費用対効果は高くなります。仮に、電気代を月3万円払っているとすると年間で36万円になりますが、その電気代が0円になれば、10年で360万円、20年で720万円、30年なら1000万円以上変わります。そうするためにも、高性能、高耐震などの条件が揃った家には、太陽光発電とオール電化は非常にオススメです。
9.蓄電池・V2H
蓄電池は、太陽光発電で発電した電力を貯められ、夜間や電気代が高いなど必要な時に電気を供給できる装置で、V2H(Vehicle to Home)は、「クルマから家へ」という意味の通り太陽光発電で発電した電力を電気自動車などのバッテリーに充電し、家で使えるようにする機器で、災害対策にもなります。どちらも150万円~300万円する高価なものなので、災害・停電対策をしたいという方にはオススメです。
平松建築 代表/平松明展
新築住宅建築数は180棟超。また工務店経営をする傍ら、より良い家づくりを提案する工務店をテーマに全国で同業に向けて講演会を開催。2022年に静岡県庁の依頼で、「住宅会社の建設DXの進め方研修会」を開催。2023年、『住まい大全 ずっと快適な家の選び方、つくり方、暮らし方』(KADOKAWA)を出版。YouTubeチャンネル「職人社長の家づくり工務店」は365日連続投稿を達成。チャンネル登録数14万人突破、総再生数5000万回。