十代の女の子を中心に若者から絶大な支持を集め、昨年末は日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞、今年5月に開催した初の日本武道館公演も好評だったFRUITS ZIPPERから月足天音さん、仲川瑠夏さん、真中まなさんの3人が登場。「わたしの一番かわいいところ」のヒットを皮切りに、着実に知名度を上げ、結成から2年で大躍進を遂げた彼女たちに、武道館までの道のりを振り返ってもらいました。
※こちらは「GetNavi」2024年8月号に掲載された記事を再編集したものです。
【月足天音さん&仲川瑠夏さん&真中まなさん撮り下ろし写真】
結成当時から大きいグループになるんだろうなという予感はあった
──今年5月18日・19日に開催した日本武道館単独公演までの道のりを振り返っていただきたいんですが、FRUITS ZIPPER結成前からアイドルやタレント活動を行っていたメンバーも多いです。この7人が集結して、結成当時はどんなことを考えていましたか。
真中 最初から「この子たちとやっていけば大丈夫」みたいな根拠のない自信があって。きっと大きいグループになるんだろうなという予感はあったんですが、こんなに早く結果を出せるなんて思っていなかったです。
月足 以前、私が所属していたグループが大きめだったので、テレビに出演させていただく機会も多かったんですが、「またテレビに出られたらいいな」くらいの気持ちでした。私は上京の準備もあって、遅れてレッスンに合流したんですが、初めてみんながレッスンを受けている姿を見たとき、「レベル高っ!」と焦ったんです。そのときに、「このメンバーなら大丈夫!」と思いました。
──2022年4月24日に初ライブを開催、その5日後の4月29日に「わたしの一番かわいいところ」(以下、「わたかわ」)を配信リリースします。
月足 「バズるといいね」くらいの軽い気持ちでTikTokに投稿していたんですが、アイドルファンの方は一緒に大きい声を出して盛り上がる曲が好きなので、当初はライブでもそれほど盛り上がる曲ではなかったんです。
仲川 セトリを組むときも、真ん中に入れることが多くて。ところがTikTokで有名なインフルエンサーさんや芸能人の方々が「わたかわ」を踊ってくれて、この曲を見たいがために、ライブに人が集まるようになって、気づけばラストで歌う曲になりました。
真中 バズったからこそのプレッシャーもありました。一発屋みたいに「あんな曲あったよね」と言われないように頑張らないといけないなと思っていたら、アイドルファン以外の方にも浸透して、いろんなフェスやイベントに呼んでいただけるようになって。そこでFRUITS ZIPPERを知って、ライブに来てくれる方が増えました。そしたら「わたかわ」以外の曲もTikTokで踊っていただいて、素敵な連鎖が生み出されていったのでうれしい驚きでいっぱいでした。
──槙田紗子さんによる振り付けも話題になりました。
真中 紗子さんには最新曲の「NEW KAWAII」の振り付けもしていただいたんですが、振り付けの1つひとつに意味を持たせることが多くて、振り入れのときに丁寧に説明してくださるので曲の理解も深まるんです。
念願だった「ロッキン」出演が決まって言霊ってあるんだと思った
──昨年末、第65回日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞して、さらに勢いが加速します。
真中 いろんなメディアで紹介していただくときに、「日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞したFRUITS ZIPPER」と言ってもらえるのが誇らしいです(笑)。
──2024年前半で、特にうれしかったことを一人ずつ挙げていただけますか。
仲川 昨年はアイドルイベントにたくさん出させていただいたんですが、「来年はバンドさんやアーティストさんが出る夏フェスにも出まくりたいね」という話をメンバーとしていたんです。そしたら次々と夏フェスの出演が決まって。中でもうれしかったのが今年8月3日に開催する「ロッキン」(ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024)の出演でした。というのも昨年、お休みだったのでまなふぃ(真中まな)と二人でロッキンに行って、事務所の先輩のきゃりーぱみゅぱみゅさんと新しい学校のリーダーズさんのステージを観させていただいたんです。そのときに規模の大きさに圧倒されて、「来年ロッキンに出られたらいいね」と話していたら、本当に夢が叶って。言霊ってあるんだなと思いました。
月足 私は 2月9日に出演させていただいた「ミュージックステーション」(テレビ朝日系)です。以前のグループでも出させていただいたんですが、出演者は番組オリジナルのティッシュをいただけるんです。そのティッシュのパッケージが新しいデザインになっていて、記念に実家に送ったら、お父さんが喜んでくれました。今の目標の一つが、このティッシュを惜しみなく使えるくらい「ミュージックステーション」に出演することです(笑)。
──「ミュージックステーション」出演後の反響はいかがでしたか。
月足 生放送で2曲も披露させていただいたんですが、たくさんの感想をいただきましたし、ライブやイベントにも「ミュージックステーション」をきっかけに来てくれる方がたくさんいてうれしかったです。
真中 昨年から「TGC(東京ガールズコレクション)」や「ガールズアワード」などのファッションイベントに呼んでいただくんですが、この半年で、私たちのファン以外の方も立ち上がってくれたり、立ち止まってくれたりすることが増えたんです。正直、昨年はファッションイベントに呼んでいただいても、そこまで注目はされていなくて、私たちのファンの方が浮いてしまうような状態が多かったんですよね。最近は私たちがステージに立つと、方々から「FRUITS ZIPPERだ!」という声が聞こえてきますし、ペンライトを持っていなくても一緒に踊ってくれたり、手を振ってくれたりして、こんなに私たちのことを知ってくれている人が増えたんだと感慨深いです。
──日本武道館単独公演のときも感じましたが、女性ファンが多いですよね。
月足 デビュー当時は女性ファンは少なくなかったんですが、すごく増えたなと実感したのは昨年10月28日に東京体育館で開催した全国ツアーの最終公演で。黄色い歓声も多かったですし、私たちのカラーに合わせたファッションでかわいく着飾った女の子もたくさんいました。
真中 ご夫婦やカップル、家族3世代で来てくださる方もいらっしゃいますし、リリースイベントにはキッズもたくさん来てくれます。
お父さんを武道館に連れて行きたかった
──結成当時から日本武道館に行ける自信はありましたか?
仲川 私も前にアイドルグループ経験があるんですが、現実的じゃない夢を語れないタイプだから、そのときは一度も「武道館に立ちたい」と言ったことがなかったんです。だけどFRUITS ZIPPERのメンバーだったら、大きな夢も言っていいんじゃないかという気持ちになれて。デビューライブ前のお披露目配信で、夢を語るコーナーのときに「武道館に立ちたい」と言ったんです。メンバーそれぞれ持っている武器があったから、「売れんじゃね?」みたいな気持ちもあったんですが、このスピード感で武道館単独公演の夢が叶うとは思っていなかったからビックリでした。
──しかも2デイズですからね。
仲川 初めてのセンターステージだし、2周年でファンの方々も期待してくれているから、絶対にヘマはできないし。良いものを見せなきゃというプレッシャーは本番当日まで伸し掛かかっていました。
月足 長くアイドルをやっているんですが、それまで武道館は観に行ったことも立ったこともなくて。昔からアイドルさんが好きで、大好きなアイドルさんは絶対に武道館公演をされていたので、私にとっては神聖な場所でした。上京前に両親と交わした会話でも、お父さんが「武道館に行けるようになったら俺泣くわ」と言ってて。いつかお父さんを武道館に連れて行けたらいいなと思っていたのもあって、いろんな気持ちが詰まった場所でもあるんです。
──実際にステージに立った感想はいかがでしたか。
月足 すごく広いイメージがあったんですが、実際に立ってみると、意外とファンの方との距離が近くて。最初は緊張していたんですが、センターステージで、どこからでもファンの方の顔が見えるので、安心してパフォーマンスすることができました。
真中 どこに行っても、ファンの方の誰かと目が合うって楽しいんですよね。
──センターステージならではのフォーメーションも多かったですよね。
真中 今まで円形のステージでやったことがなかったので一から構成を考えました。
──初日の本番前はどんな雰囲気でしたか?
仲川 初日はまだ平気だったよね?
真中 緊張はしていたけど、どちらかというと二日目の方がみんなガチガチでした。
月足 私は二日間とも緊張しました(笑)。一日目は手が震えるぐらいでしたからね。
──仲川さんと真中さんは、どうして二日目のほうが緊張したんですか。
仲川 一日目の反省点や課題が自分の中であったから、「もっとこうしよう!」みたいな気持ちが強かったんですよね。現実的な話で言うと、二日目はリハの時間も短かったんです(笑)。一日目は通しリハができたので、それで不安が大きくなった面もあります。
真中 私も二日目は通しリハがなかったから、何かが頭の中から抜けているんじゃないかと心配になっちゃいました。あと「一日目を超えたい!」みたいなプレッシャーも自分の中にありました。
──二日目の公演を観させていただいたんですが、そんなプレッシャーを感じさせないほど皆さん堂々としていて、ラストまでは必要最小限のMCで一気に突き進んでいったのが印象的でした。
真中 全てを出し切るということで持ち曲を全て披露させていただいたんですが、ノンストップに近い形でやらせていただきました。前半は息が上がる曲をぶっ続けでやったので、いつもより呼吸が浅くなりましたし、汗もすごくかきました。床面がLEDだったので、温度も高かったんですよね。広いステージだから、いつも以上に動き回って、ファンの方々の顔やペンライト、うちわなども見ていたので、脳みそもフル回転で、大量のカロリーを消費した感覚がありました。
──二日目のラストのほうで、一人ずつ手紙を読むコーナーがありましたが、号泣するメンバーが続出しました。
月足 もともと私は涙もろくて、二日間ともステージに出た瞬間から最後まで、気を抜いたら涙が出ちゃうぐらいの状態だったんです。だから手紙を読むときは一気に感情が昂りました。
──皆さん長文で心のこもった手紙でしたよね。
仲川 お互いに手紙の内容を知らなかったので、こんなことを考えていたんだって驚きもありました。
真中 一日目は心の中で思っていることをお話させていただいたんですが、事前に短めにと決めていたのにも関わらずメンバー全員がどうしても長くなってしまって。二日目の手紙も、みんな絶対に泣くから、気持ちがまとまった状態で読もうと話していたんですが、やっぱり長くなりましたね。
月足 いつも私たちは気持ちを伝える場になると、スタッフさんから「さくっとお願いします」と言われていたのに長くなってしまうんですよね(笑)。それぐらい、みんな感情が前面に出ちゃうんです。
──武道館単独公演が全て終わった直後の気持ちはいかがでしたか。
仲川 達成感! だけど次の夢を叶えるために切り替えなきゃなと思いました。FRUITS ZIPPERにとって武道館は通過点だし、私から「さいたまスーパーアリーナで3周年を迎えたい」と宣言したので、言っちゃったからには本気で目指さないといけないなと。9月からは初のホールツアー「FRUITS ZIPPER JAPAN TOUR 2024 – AUTUMN -」も始まりますし、気を引き締めて、みんなで頑張っていきたいです!
<FRUITS ZIPPER・月足天音さん&仲川瑠夏さん&真中まなさんインタビューは後編に続く>
7/20(土)午前6時30分公開
FRUITS ZIPPER(月足天音&仲川瑠夏&真中まな)が語る2024年上半期ベストバイ&オフの過ごし方とは?
FRUITS ZIPPERの最新情報は公式HP(https://fruitszipper.asobisystem.com/)をチェック!
撮影/中村 功 取材・文/猪口貴裕