唯一無二の声優アーティストとして不動の地位を築いている上坂すみれさん。7月24日にはアーティスト活動10周年を記念したベストアルバム「SUMIRE CATALOG」を発売した。この10年を振り返りつつ、選曲や作詞曲に込めた思いなどを聞いてみた!
※こちらは「GetNavi」2024年9月・10月合併号に掲載された記事を再編集したものです。
【上坂すみれさん撮り下ろし写真】
場数を踏んで、徐々に楽しめるようになってきたアーティスト活動
──アーティスト活動10周年、おめでとうございます! この10年を振り返ってみて、いかがですか?
上坂 どうもありがとうございます。 活動を始める以前は人前での歌唱経験が全くなく、素人同然でした。完全にゼロベースからのスタートだったので、最初は本当に手探り状態で……。最初の5年ぐらいはまだ学生だったこともあり、余裕のないところが多かったですね。ライブやイベントを重ねていくうちに、アーティストとしての活動を徐々に楽しめるようになってきました。不安なこともたくさんありましたが、“次のライブも楽しみにしています”と言ってくださる同志(ファン)の方々も出てきて、“みんなに会えるように、もっと頑張ろう!”という気持ちが強くなっていきました。
私は声優とアーティストの活動をほぼ同時期に始めたんですけど、様々なキャラクターとの出会い、同志の皆さんと時間を共有していくなかで、表現することの楽しさ、そして声が与える力の強さを実感してきた10年だったと思います。
──ゼロベースからのスタートとなると、デビュー当初のライブはかなりプレッシャーがあったのでは?
上坂 プレッシャーもありましたし、とても緊張しました。ダンスも一切やったことがなかったので、根気よく振り付けの練習をしていた思い出があります。あと最初は、本来ライブを組めるような曲数がなくて……同じ曲を複数回セットリストに入れたり、キャラクターソングを入れたりしていました。
──ターニングポイントとなる出来事はありましたか?
上坂 やはりコロナ禍ですね。それまでは正直、キャパオーバーになりつつ取り組んでいたときもありました。でも、コロナですべてが断絶されてしまったとき、ライブを通して同志の皆さんと時間を共有することは、自分にとってかなり大切な要素なんだなぁと痛感したんです。ライブが復活した2023年……会場での声出しが解禁された3月のソロライブは、一生忘れられないと思います。“ライブってすっごく楽しい!!”と、改めて心から感じました。そういう意味でいうと、「EASY LOVE」(21年発売のシングル曲)は、とても印象深い1曲ですね。コール&レスポンスが激しめで、同志と作り上げる楽曲なのですが、声出しで披露できるまでに時間がかかりすぎて(笑)。2年の時を経て、ようやくコーレスが完成しました。この曲をライブで歌ったとき、“ああ、やっと、ライブという文化が日常に戻ってきたんだなぁ”と、感慨深いものがありましたね。
──「EASY LOVE」はもちろん、ベストアルバムに収録されていますね! 新曲「ファーストピリオド.」は、上坂さんが敬愛する声優アーティスト・桃井はるこさんが作詞・作曲を担当されています。
上坂 桃井さんは、私が声優を志すきっかけをくださった方なんです。そんな憧れの桃井さんに、セカンドシングル「げんし、女子は、たいようだった。」という、素敵な曲も書いていただいています。当時は、こんなに早く夢が叶ってうれしいと思う反面、自分の未熟さがもどかしく……。歌い続けることで表現や理解度が少しずつ深まり、私の10年を支えてくれたとても大切な曲です。
ベストアルバムに収録する新曲は、もともと桃井さんにお願いすることが決まっていました。最初のワンコーラスのデモテープを、桃井さんが3種類も用意してくださったんです。これはとても異例なこと。3つの中から、桃井さんのイチオシであり、私自身もとても気に入った1つを選ばせていただいたのが、「ファーストピリオド.」になります。曲調はちょっと懐かしいような、2000年代のアニソンを感じさせるような編曲にしていただいて、詞は桃井さんにいただいたそのままを使わせていただきました。“これからの10年も頑張って!”というエールを桃井さんからいただいている、そんな詞になっています。昔から桃井さんが書かれる歌詞が大好きで、ずっとパワーをもらってきました。末永く歌い続けていきたい曲です!
──ディスク02には上坂さんがセレクトされた曲が収録されているそうですが、特に印象深い曲は?
上坂 「海風のモノローグ」(5thアルバム収録曲)です。こちらも“夢が叶った!系の楽曲になります。菊池桃子さんや中森明菜さんなど、幼少期から林 哲司さんが書かれた歌謡曲が大好きで、そんな林さんに作曲していただき、自分で作詞をしたということで、かなり思い入れの強い曲です。
──同じくディスク02に収録されている新曲「見参!革ブロ☆ふぉーえばー」も、上坂さんがご自身で作詞されていますね。どんな思いを込めて書かれたのですか?
上坂 客観的に見た“上坂すみれのライブ”が表現できたらいいなと思いながら、書かせていただきました。“すみぺ(愛称)のライブはこんな感じだよ!”というような光景を、この曲を聴いたらリアルにイメージしていただけるのではないでしょうか。この曲はコールがたくさんあるので、ライブでも楽しめそうです。
──9月の公演で披露するのが楽しみですね! ライブに関しては、今は緊張やプレッシャーよりも楽しみのほうが強いですか?
上坂 そうですね。ただ、今はそれ以上に、体調管理の大切さを身に染みて感じています。いかに好調な状態を保つか……。そういった面を頑張りたい気持ちが強いです。これはアーティスト活動に限ったお話ではないのですが、声優っていざやってみると、すごく体力勝負なんですよね。
──好調をキープするために、なにか積極的にやっていることはありますか?
上坂 ボクササイズやストレッチなどをしています。あとは、深く呼吸をするように気をつけたり。アフレコなどでは同じ姿勢で大きな声を出すので、首肩が凝って寝付きが悪くなりがちなんです。そういうところをストレッチなどでしっかりとカバーしつつ、毎日疲れを残さないように……と、ようやく気を遣えるようになりました(笑)。
あと、プロテインを飲んでいます。舞台のお仕事をやらせていただいたときに、プロテインを飲んでいる演者さんが多かったんです。“タンパク質を摂取すると、疲労が取れやすくて良いよ”とオススメされて、私も飲むようになりました。お気に入りは、ソイプロテインのラテ味。ソイプロテインは“筋肉をムキムキに”というよりも美容寄りのプロテインだと聞きまして、ソイを好んで飲んでいます。
私の“頑張り”を計算してくれているApple Watchが、面白くてお気に入り
──多趣味であることでも有名な上坂さんですが、最近購入した中でお気に入りのものはありますか?
上坂 とても気に入っていたOMEGAの時計をうっかり失くしてしまって、久しぶりにApple Watchを買ってみたのですが、“今日はこのぐらい活動しました”とか、心拍数などを教えてくれるのが面白くて気に入っています。けっこう大声を出すキャラクターを演じることが多いんですけど、一度大声を出した後に心拍数を確認してみたら、「137」と表示されたんです。それを見て、“私すごく頑張ったんだなぁ”と思って(笑)。頑張りをしっかり計算してくれていて、とても勇気づけられました。
──137はかなりの運動強度です(笑)。ほかに、気に入っているものや“これはオススメ!”というアイテムはありますか?
上坂 知り合いにオススメしてもらって購入したのですが、黄えんどう豆100%で作られた「ゼンブヌードル」がお気に入りです。小麦粉の麺を食べるとすぐ眠くなってしまうのですが、これはグルテンフリーなので食後に眠くなりません! なんにでも合うもっちりとした麺で、私はパスタにして食べるのが好きです。おうちでランチをするときに、よくいただいています。
あと、これはアイテムではないのですが、最近私の中で特撮戦隊モノブームが起こっていまして、よく観ています。“主題歌がかっこいい!”という入口から、今年ちょうど放送開始30周年を迎えた「忍者戦隊カクレンジャー」を観始めたら、夢中になって全話観てしまって……。特撮戦隊モノってすごく面白いなと思って、もっと手を広げようとしています(笑)。
──戦隊モノはたくさんシリーズがあるので、長く楽しめそうですね! 9月からは東名阪ツアーが控えていますが、どんなライブにしたいですか?
上坂 最終日のLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)は、コロナで一度中止になってしまった会場なんです。そこで改めてライブができるのは、万感の思いですね。みんな楽しい気分で、明日も頑張ろう! と思えるようなツアーにできたらうれしいです!
<Information>
SUMIRE CATALOG
発売中
GD+Blu-ray盤(写真) 4950円
完全限定生産盤 9900円
通常盤 3630円
発売元:キングレコード
アーティスト活動10周年を記念したベストアルバム。これまで発売してきたシングル15曲のほか、本人セレクトの12曲と本人作詞曲を含む新曲3曲を加えた全30曲を収録。リード曲「ファーストピリオド.」は、上坂が敬愛するアーティスト・桃井はるこが楽曲を提供している。
SUMIRE UESAKA BEST TOUR 2024 すみぺの大理論
9月28日(土)NHK大阪ホール(大阪)
9月29日(日)Niterra 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール(愛知)
10月12日(土)LINE CUBE SHIBUYA(東京)
撮影/映美 取材・文/えんどうまい ヘアメイク/澤西由美花(Kurarasystem) スタイリスト/佐野夏水