昨今の腕時計で18Kゴールドといえば、ピンクゴールドやローズゴールドなどの赤味を帯びた金が主流ですが、2016年のオーデマ ピゲが注目したのはイエローゴールドでした。ラグジュアリー・スポーツウオッチの金字塔「ロイヤル オーク」に採用された、王道素材なのに新感覚という逆説的なタイムピース。その魅力に迫ります。
金無垢に回帰するというオーデマ ピゲの決断
イエローゴールドは、言わずと知れた懐中時計以来の時計の王道素材。しばらく他社の新作では目玉製品として取り上げられることがなかっただけに、2016年のSIHHでオーデマ ピゲが発表した際は大変に注目を集めました。
ブレスレットまでの「フル金」仕様は、デザインを間違えるとギラギラとして嫌味っぽく見えてしまうこともありますが、ヘアライン仕上げが多用されるロイヤル オークでは不思議と落ち着いた印象に仕上がっています。
素材の柔らかさを生かしてメリハリを効かせる
SSモデルと同じく、全体では光沢感を抑えながらもベゼルやブレスの面取りを鏡面仕上げ。イエローゴールドの柔らかさが生かされたメリハリの効いた仕上げが、素材の持つ高貴な雰囲気を盛り上げます。
かなりの量のゴールドを使っているにも関わらず、フル金ロイヤル オークがいやらしく見えないのは、名門ならではの高度な技術力のなせる技、というほかありません。
合わせる文字盤色はブルー or ホワイト
文字盤は特徴的なグランド・タペストリーダイアルで、三針とクロノグラフは白と青、パーペチュアルカレンダーは青のみの展開となっています。金と白の相性の良さはすでに歴史が証明していますが、それに現代の定番色である黒を加えず、青のみを選択したところにオーデマ ピゲのこだわりが感じられます。
8角形ベゼルにフル金というと、かなり押し出し感の強い時計に思えますが、オーデマ ピゲは時計と素材の持つ特徴を巧みに融合させて新たな世界観を作り上げました。とはいえ、価格もデザインも着ける人を選ぶ時計であることに変わりはありません。本物の価値を知る成功者にこそ相応しい一本といえるでしょう。