毎日に行き詰ったとき、新たな挑戦を志したとき、「旅」はいつも新鮮な風を人生に送り込んでくれます。いよいよ幕が開けた2017年、新しい年に新しい何かを始めたいと考えるなら、“旅に出たくなる本”はいかがでしょうか? ただのガイドブックじゃない、そんなトラベルブックをセレクトしてくれるのは、南青山のブックカフェ「brisa libreria(ブリッサ・リブレリア)」で、訪れる人たちと会話をしながら、その人が本当に欲している本をまるで薬を処方するように提案してくれる、“ブックセラピスト”の元木忍さんです。
旅はいつも冒険と成長を促してくれます
「今年こそ本当の自分探しの旅をしてみませんか? でも与えられた旅ではなくて、まずは旅の目的を探して自分でプロデュースして、自分のためだけに実行に移してみる。私はそんなチャンスを常に狙っています。いつ行けるタイミングが訪れるかわからないからこそ、旅に関する情報収集は常に怠らない。この先生きている限り、旅に行くことで成長し、知恵を蓄え、学びの楽しさを必ず実感できる、という気がしています。そんな感覚を養ってくれるお役立ちのオススメ6冊をご紹介しますので、是非とも旅のヒントにしてみてください」(元木さん)
Selected Books
「旅の報酬 旅が人生の質を高める33の確かな理由」
成瀬勇輝(著)
いろは出版 1512円
「Webメディア『TABI LABO』創設者の成瀬勇輝氏による旅の哲学が詰まった一冊。まず、この本のタイトルが好き。シェイクスピアやゲーテのような作家や、さまざまな人の“旅に関する名言”が散りばめられていて、旅行に行ったとき、実感できる言葉がたくさんあります。スティーブ・ジョブズやチェ・ゲバラに関する逸話など、旅へ出ることでスケールが大きくなったり、考え方が変わったりすることを、きちんと教えてくれる本ですね。作中の『本当の旅の発見は新しい風景を見ることではなく、新しい芽を持つことにある』。旅の哲学本といっても過言ではないでしょう」
「TraveLife クリエイティブに生きるために旅から学んだ35の大切なこと」
本田直之(著)
マガジンハウス 1296円
「ビジネス書で有名な本田直之氏によるトラベル本ですが、実は彼の著書の中でこの本が一番好きです。旅のマネージメントに関する必要性、何のために旅に行くのか、という目的意識についてなど、旅から学べる35のことをコラム形式で展開しています。旅って、いつも冒険ですし、自分自身を鍛えられる。だから作中の『旅をしない者は、本の最初のページだけを読んで、閉じてしまうようなものである』みたいな言葉って、すっごく共感できるし、旅を行動へ移すひと押しになる言葉が揃っている本です。2017年、自分を変えたいと思うひとは是非ともこの本を読んで旅に出て!!」
「神社に泊まる 日本全国癒しの宿坊ご案内」
畑中章宏(著)
亜紀書房 1728円
「神様の近くに少しでも寄り添いたい時に、一度神社に泊まってみませんか? とっても癒されそう! とにかく縁起も良さそうですし、2017年はいいホテルに泊まるより、神様を感じながら宿泊してみたい。神社に泊まるための志も書いてあります。食費は別途かかりますが、基本的に宿泊費は最小限に抑えられており、ありがたいお値段です。この本を読むまで、そんなことも知りませんでしたが、パワースポット、エネルギーチャージ補給としてチャレンジしたいですね」
「両親に贈りたい旅 (TABI‐GUIDE SERIES)」
A-Works (編)
A-Works 1620円
「“両親に贈る”をテーマにしているだけあって、スタンダードな旅の仕方が盛りだくさん。両親じゃなくて自分自身へのご褒美旅行プランにも役に立ちます。旅は、スケジュール立案からがもう旅の始まりで、少し余白を用意してこそ面白い。例えば、はじめてのフランスなら、誰でもパリから行くでしょう! でも、まずは自分が好きなニースへ行き、モン・サン・ミッシェルに行く、なんてフランスを満喫できる計画を立てて、さらに楽しみ方を広げてくれます。素敵な旅をコーディネイトするなら、この本をオススメします」
「イギリスの歴史が2時間でわかる本」
歴史の謎を探る会(著)
河出書房新社 670円
「アーサー王伝説など、時代背景ごとにイギリスの長い歴史がわかりやすくまとめられています。こんなに簡単にまとめられたイギリスの歴史を読んだらもう、今すぐ、イギリスに行きたくなりますね。歴史を整理できるのはもちろん、イギリスに関する雑学にますます興味をそそられます。旅先での買い物もいいですが、歴史を探求することがどんなに楽しいかを教えてくれます。例えば、“郵便制度を創ったのはイギリス”なんてこと、知っていましたか? ちょっとした雑学を知ることでさらに旅への意欲を駆り立ててくれる。超オススメ本です」
「世界 伝説と不思議の物語 不思議と驚き、逸話がつづる魅惑の名景」
アフロ、アマナイメージズ(編)
パイインターナショナル 1944円
「世界中の美麗な写真と、それにまつわる不思議な逸話を集めたビジュアル重視の写真集のような一冊。恋人たちが歩くと願いが叶うという“愛のトンネル”や、人の骨だけで装飾された“骸骨教会”など、普通のガイドブックにはない驚きと感動が詰まっています。この本を持って訪れたのが、チェコ・スロバキアにあるストラホフ修道院。行ってみると、そこはとても小さな図書館ですが、内部に描かれた絵が本当に綺麗でした。歴史や遺産に触れるには、ちょっとした逸話を知っておくこと。さらに新たな一面に出会えるはずです」
取材・文=三宅 隆 撮影=田口陽介
Profile
元木 忍
brisa libreria 代表取締役。大学卒業後、学研ホールディングスで書店営業やマーケティング、楽天ブックスではECサイト運営や物流、CCCでは電子書籍ビジネスの立ち上げと、一貫して書籍にかかわる仕事を担当。東日本大震災を機に人生を見直し、2013年、サロンを併設したブックカフェ brisa libreria を南青山に開業。オーガニックスパサロン spa madera も経営している。
【URL】
何気ない日常を、大切な毎日に変えるウェブメディア「@Living(アットリビング)」