本・書籍
2024/10/10 6:00

「バーガー族」あったかも……? 「生成AI×昭和のカオス」が記憶を惑わす『架空昭和史』

昭和が終わって35年。平成も終わり令和の世となった現在、昭和は歴史になりつつあります。

 

経済は右肩上がりで、様々なカルチャーが生まれた昭和の時代。コンプライアンスなんて言葉もなかった時代ですから、現在で考えればとんでもないものも多く生まれました。

 

そんな昭和のカオスな空気感を、「架空の昭和」というコンセプトのもと画像生成AIによって表現したのが『架空昭和史』(プロハンバーガー・著/辰巳出版・刊)です。

 

架空なのに、あったかもしれない?

本書の面白さは、昭和を知る人の郷愁を誘い(架空だけど)、昭和を知らない人には「こんなトンデモな時代だったんだ」(架空だけど)と思わせる絶妙なリアリティーにあります。

 

たとえば、バンズのような帽子をかぶって街を歩く「バーガー族」。表紙の画像を見ればわかりますが、「ありえないでしょ……いや、でも、いたかもしれない」と、我々の記憶を誤認させるデザインではありませんか。

↑右下の「ホタル族」は令和の現在、実際にいてもおかしくないファッション

 

また、特撮ヒーロー番組「突撃! バーガー7」も、さすがにこんなヒーローいるわけないとツッコミつつも、狂乱の70年代特撮番組を思い返すと「あったかもしれない」と考えてしまうわけです。

↑解説の文章がまたリアリティーを補完している

 

本書では、そんな我々の記憶を混乱させる“架空”な昭和の風俗が、「食生活」「ファッション」「教育」「芸能」など18のジャンル別に紹介されています。

 

じつは、プロンプトが気になる

さて、この画像はすべて画像生成AIで作られているわけですが、そのためにはプロンプトが必要になります。プロンプトとは、作りたい画像のイメージを伝えるテキストのこと(「呪文」とも呼ばれる)。

 

やってみるとわかりますが、自分が意図している画像にするためのプロンプトを入力するのは意外と難しいです。例えば、「女性が公園で立っている」イラストを生成するには、髪型や表情、服装や、どんな公園なのかなど、細かく指定しなければいけません。

 

そんななか「架空昭和史」は誰も見たことのない昭和の風俗をAIに生成させました。いったい、どういうプロンプトを入れたらこんな奇想天外なものが出来上がるのか。そんなことを考えてながら本書を眺めるのも面白いかもしれません。

 

【書籍紹介】

架空昭和史

著者:プロハンバーガー
発行:辰巳出版

「ChatGPT」といったAIチャットサービスが盛り上がっている中、画像生成の分野でもAIは格段の進歩を見せています。本書は、プロハンバーガー氏が、“架空の昭和”というコンセプトを思いつき、AIによってその画像を生み出し、さも実際にあったかのような文章も考えて、X(旧Twitter)上にアップした「#架空昭和史」の作品をまとめた一冊になります。

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