グルメ
お酒
2024/10/18 18:00

いま話題の「日本酒ハイボール」を味わい、和食とのペアリングを楽しむ噺

提供:宝酒造株式会社

 

日本酒の飲み方といえば一般的に“冷や”か“燗”か、いわゆる温度の違いだけでしたが、最近は日本酒を炭酸水(炭酸)で割る「日本酒ハイボール=酒ハイ(SAKEハイ)」が話題になっています。そこで今回は「日本酒ハイボール」を中心に、若い女性に人気の「スパークリング日本酒」など新しい日本酒の飲み方について紹介していきます。

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です

 

新しい日本酒の飲み方

日本酒は、昭和の時代から「サムライ」というカクテルや氷を浮かべたオンザロックなど、一部では多様な飲み方で親しまれてきました。なお、加水して飲みやすくする風習は、実は江戸時代から存在しています。魚のヒレや骨などを入れて飲む文化同様、昔から様々な手法で嗜まれてきたお酒でもあるのです。

 

【関連記事】
夏はひんやり“日本酒ロック”の噺

 

情報化社会となった近年ではSNSの進化や嗜好の多様化、またハイボールの浸透などもあり、日本酒ベースのレモンサワーが登場するなど、日本酒を炭酸水で割る飲み方も見かけるようになりました。本稿ではこの「日本酒ハイボール」を主役に、その特徴や楽しみ方などを、日本酒ライターの関 友美さんをガイドに招いて深掘りします。

関 友美/地元の札幌でOLとして働いたのちに上京。飲食店勤務、日本酒アドバイザー、酒蔵での勤務などを経験し、現在はライター業のほか、日本酒をはじめとした製品造りのアドバイザー、酒蔵コンサルタント、日本酒事業に精通した数々の仕事を手がけている。

 

《酒噺のオススメ記事はコチラ》

日本酒の新時代を拓く「然土」の噺
江戸時代のお酒事情の噺

 

日本酒ハイボールとは

「日本酒ハイボール」は日本酒を炭酸水で割った飲み物のことであり、「酒ハイ(SAKEハイ)」とも呼ばれます。2024年に日本酒の魅力を伝えたいメーカーと流通業者の任意団体「日本酒需要創造会議」は、業務用市場を中心に需要喚起策として「日本酒ハイボール」の飲み方提案をスタートしました。

 

「日本酒ハイボール」のルーツのひとつには、スパークリング日本酒があるといえるでしょう。共通点は、炭酸ガス。チューハイやビールなど、日本には炭酸の効いたお酒を楽しむ文化が根付いており、その親和性からスパークリング日本酒が生み出されたといえます。

 

スパークリング日本酒の元祖といわれているのが、『月の桂』で知られる増田德兵衞商店(京都市伏見区)が1964(昭和39)年に発売した『月の桂 にごり酒』です。

 

以降、徐々にスパークリング日本酒が他の蔵元からも発売されていきました。エポックメイキングといえる商品が、宝酒造が2011年に発売した松竹梅白壁蔵「澪」です。

 

フルーティで華やかな香りと、ほんのり甘い味わいがほどよい酸味とともに調和し、20~30代の女性を中心に大ヒット。「澪」の華やかなおいしさはパーティーシーンでも重宝され、ワインにおけるシャンパーニュのような存在になりました。人気を集めている根本的な理由は「炭酸」と「低アルコール」にあります。

 

日本酒を炭酸水で割る「日本酒ハイボール」も、「炭酸」「低アルコール」という特徴をもっており、スパークリング日本酒のように、若い世代に人気になる可能性を秘めています。

 

若い世代は成人になった時点ですでにハイボールが定着していた層ですし、情報感度が高く好奇心も旺盛。日本酒を炭酸水で割るという新しい飲み方にも抵抗感がなく、飲みやすさという点ではむしろ好意的に受け入れる人も多いといえるでしょう」(関さん)

 

日本酒ハイボールの楽しみ方

そして先日、宝酒造から飲食店向けに先行発売されたのが、松竹梅「瑞音(みずおと)」。“炭酸割りで楽しむ日本酒”がコンセプトで、炭酸割り専用に酒質設計されています。

 

具体的な特徴は、炭酸割りにして高い香りを実現する酵母の育種技術による“吟醸酒並みの香り高さ(※)”、米の魅力を引き出す技術による“日本酒らしい甘み”、3種類の香りの最適な組み合わせを実現する技術による“ボリューム感のある味わい”。この3点がバランスよく共存する味わいです。

※宝酒造吟醸酒比。このお酒は吟醸酒ではありません。

 

ターゲットは、アルコール度数の高さから日本酒を敬遠しているものの、刺身など和食に合わせるなら日本酒で楽しみたいと考えているチューハイユーザーなど。「瑞音」のアルコール度数は14%ですが、炭酸水と1:1で割る飲み方をベストな味としており、推奨のとおりに割れば7%のアルコール度数で軽やかに楽しめます。

 

新たなコンセプトのもとに生まれた松竹梅「瑞音」。まずは、プロのご意見を聞きたいということで、協力頂いたのは、松竹梅「瑞音」を発売と同時に導入した「魚錠 池袋店」(東京都豊島区)。「魚錠」は明治40年に海産物の行商からスタートし、創業から110年以上にわたって、お寿司や海鮮丼、海鮮居酒屋などを通じて「美味しい食」を届けています。そんな「魚錠」の池袋店店長にお話を伺いました。

 

「炭酸の爽快感と低めのアルコール度数によって、飲みやすい味わいになっているのが魅力です。お酒を飲み始めた若い方や、これから日本酒を嗜みたいという方の入門としても、松竹梅『瑞音』の日本酒ハイボールは最適だと思います。実際、うちの若いスタッフにも大好評でしたし、気軽に試していただけたらうれしいですね」

 

関さんも「瑞音」を飲むのは初めて。さっそく飲んだ感想を伺いました。

 

「香りは、青りんごを思わせる果実味豊かな香り。シャキッとしたみずみずしいイメージで、すごく爽やかですね! 加水されて味わいが軽やかになり、炭酸ガスが弾けることで、より印象的に香る効果もあると思います」

 

そして味わいとしては、米の甘みと麹のニュアンスを豊かに感じるといいます。

 

「麹のやわらかい風味は、日本酒ならではですね。おだやかな米の甘みがふわっときて、そこからまたフルーティな香りが広がります。酸のタッチも絶妙で、余韻はすっきり。それに、炭酸水で割っても味が薄まった印象はありません」

 

これまで何度も日本酒ハイボールを飲んでいる関さんですが、どこか淡く、ぼやけた印象に感じることも少なくなかったとか。その点「瑞音」は炭酸水で割っても日本酒らしいおいしさをしっかり楽しめると大絶賛。

 

「飲んでみて、日本酒ハイボール専用という意味がすごくよくわかりました! 氷と炭酸とがとけあうことで、調和するように造られているんですね。クリアでバランスがよく、飲みごたえもちょうどいいです」

 

続いてはフードペアリングをレビュー。刺身の盛り合わせなど、いくつかの和食と合わせてもらいました。

↑「【名物】本気の刺盛り」(1099円)、秋さばと秋茄子の茸あんかけ(968円)、「あん肝」(858円)、「松竹梅「瑞音」ハイボール」(638円 ※お試し価格)

 

「過度な果実味や吟醸香は、ものによっては刺身と合わないですけど、瑞音は適度な香りでしっかりと寄り添いますね。お米のうまみがしっかりあるから、白身魚にも赤身にも貝類にもよく合います。また、あん肝も好相性! 炭酸が適度にこってり感をリセットするので、脂がのった魚介類にもマッチします」

 

続くペアリングは、「秋さばと秋茄子の茸あんかけ」。さばのフライとなすの素揚げに、ほんのり甘酸っぱい味付けの、きのこのあんを絡めた一皿です。

 

「和食としては濃厚な料理ですけど、こちらも『瑞音』のハイボールは合いますね。すっきりしたキレが脂や濃い塩味を打ち消しつつ、フルーティで甘やかな酒質は甘酸っぱいあんかけにマッチ。天ぷらや野菜の揚げ浸し、ほかには照り焼きや味噌煮込みといった甘じょっぱい料理とも相性がいいと思います」

 

先述の「魚錠 池袋店」店長にも日本酒ハイボールと料理の相性について伺ってみました。

 

「松竹梅『瑞音」は当店のほぼすべてのメニューに合うと思います。通常の日本酒にもベストマッチのお刺身はもちろん、てんぷらなどの揚げ物に関しては、日本酒ハイボールのほうが通常の日本酒よりも好相性ではないかなと。

決め手はやはり、炭酸の爽快感ですね。すっきりした後口が油を流す効果もありますので、また次のひと口へと箸が進みやすくなると思います。一方で、炭酸水で割ることによってアルコール度数が下がり軽快な口当たりになりますので、繊細な味付けの和食にもよく合いますね」

 

お刺身から揚げ物まで、幅広い料理との相性も抜群な「日本酒ハイボール」。自分なりのマリアージュを見つけるのも楽しいかもしれません。

 

《酒噺のオススメ記事はコチラ》

「晩酌は最高のリラックス」食の伝道師・ラズウェル細木に聞くー酒と肴と酒場の噺
「居酒屋」の歴史と大衆酒の変遷を深掘りする噺

 

日本酒ハイボールの作り方

「瑞音」は飲食店向けの先行発売ということで、自宅などで「日本酒ハイボール」を楽しむにはほかにどんな日本酒が適しているのでしょうか。オススメの酒質については関さんに教えてもらいました。

 

「炭酸水で割ることを考えると、お米の甘味やコク、酸が豊かなしっかり系のほうが調和する気がします。また、生酒、生貯蔵酒、生詰め酒といった、ピュアな力強さをもったタイプも向いていると思います。生貯蔵酒で香り高い松竹梅「昴」は「日本酒ハイボール」にも合うのではないでしょうか」

 

ここからは、松竹梅「昴」をベースに「日本酒ハイボール」の作り方を実践します。まずは冷やしたグラスに氷を投入。次に、キンキンに冷やした日本酒と炭酸水を1:1で入れ、軽くステアして完成です。

↑キンキンに冷えたグラスに氷を入れて、日本酒を注ぐ

 

↑1:1になるように炭酸水を入れ、軽くステアをして完成!

 

コツは炭酸ガスが飛んで爽快感が失われないよう、注いだり混ぜたりする際はやさしく行うこと。味の濃淡は、日本酒と炭酸水の割合を変えて調整しましょう。

 

ではあらためて、「日本酒ハイボール」を身近なお店のおつまみと合わせるなら、どんなものがオススメなのでしょうか? 関さんに伺うと、牛すじ煮込み、豚汁、鉄火巻きを挙げてくれました。とはいえ、その日の気分や好みで選んでも構わないといいます。

 

「例えば仕事から疲れて帰ってきて、立ち寄ったお店でとりあえず惣菜を買ってきたとしましょう。となると、ペアリングを考える余裕もないですよね。そんな晩酌でも日本酒ハイボールならあまり料理を選ばないので、頼れる食中酒になってくれると思いますよ!」(関さん)

 

好みの味わいに調整できて、おつまみとの相性も幅広い、新たなスタイルの日本酒。それが「日本酒ハイボール」なのです。ぜひ本稿を参考に試してみてください。

 

 

撮影/我妻慶一

 

<取材協力>

魚屋の居酒屋 魚錠 池袋店

住所:東京都豊島区南池袋1-20-9 第一中野ビル 2F
営業時間:月~金曜11:30~14:30(L.O.14:00)/17:00~23:30(料理L.O.22:30/ドリンクL.O.23:00)、土・日曜・祝日16:00~23:00(料理L.O.22:30/ドリンクL.O.22:45)
定休日:不定休

※池袋店のほか、池袋東通店、芝大門店、金山店(名古屋)の3店舗を展開
※価格はすべて税込みです

 

記事に登場した商品の紹介はこちら▼

・松竹梅「瑞音」
https://www.takarashuzo.co.jp/products/seishu/mizuoto/

・松竹梅白壁蔵「澪」
https://shirakabegura-mio.jp/

・松竹梅「昴」
https://www.takarashuzo.co.jp/products/seishu/subaru/