DJ機器の世界トップシェアを誇る、AlphaTheta。オフィスの受付や通路さえ、音楽制作を愛する人なら「おっ」とトキめく空間になっています。
GetNaviが運営する、”モノ好きのための、モノ好きによるコミュニティー”、GetNavi Salon(以下、サロン)は、メンバー向けの限定イベントとして「AlphaTheta 会社訪問&新製品体験会」を11月に行いました。特別に、見学可能エリアを案内いただき、新製品のタッチ&トライを実施。
9月開催のMakuake体験会で展示され、Makuakeのプロジェクトで約3500万円超の応援金額を集めて話題となった音楽制作ギア「Chordcat」をはじめ、魅力的な製品の数々が待ち受けていました。制作者の思いに触れ、中にはその場で購入を決めてしまったメンバーも……。模様をレポートでお伝えします。
まるでDJ機器の博物館。ユーモア溢れる会議室
体験会は、社内見学からスタート。会議室や社内展示エリアを、同社の新規事業開発部・古谷昭博さんに案内してもらいました。
各会議室は「ロック」や「ジャズ」など、音楽ジャンルで命名されており、個性的です。内装も名称に呼応する形でしつらえられており、部屋ごとに独特の世界観を放っていました。古谷さんによれば、「パンク」の部屋で会議する時は、パンクなアイデアが浮かぶのだとか……!?
社内レイアウトを変更中らしく、全てはお伝えできませんが、同フロアに開発・技術スペースを完備。広さは、今回見学した会議スペースの10倍以上だそうです。
DJ機器で目にする「Pioneer」の文字。実は深いつながりが……
続いて会社説明タイム。AlphaTheta 商品企画部・村井佑史さんが、同社の歴史と商品展開について、スライドを使いながら話してくれました。DJ機器の世界シェア70%を占める同社。実は、ある会社の一部門だった歴史があります。
ある会社というのは、「パイオニア」。1994年に世界初のCDJ(CDディスクを読み込んで使用するDJ機器)を開発し、2015年に「Pioneer DJ株式会社」として事業部が独立後、2020年にAlphaTheta社として再編されました。
社名には「アルファ波からシータ波まで、音楽を通じて気持ち良い体験をしてもらう」という思いが込められているのだとか。DJ・音楽体験をもっと身近なものにするために、アプリケーション、ハードウェア、オーディオデバイスといった商品を展開しています。
DJへの第一歩はこれで決まり。超お手軽なエントリーモデル
同社が開発に懸ける熱い思いを知ったところで、いざ体験会です。DJデビューを後押ししてくれる「DDJ-FLX2」、新時代のDJ機器「OMNIS-DUO」、音楽制作のベストパートナー「Chordcat」の3製品が登場しました。
まずは、誰でも簡単にDJになれる「DDJ-FLX2」から。商品企画部・新井庸介さんが、実際に目の前で使って見せてくれました。DJ機器と聞くと「複雑そう」と感じる人ほど、イメージが覆されるかもしれません。
同社が手掛ける、数あるDJ機器の中でも「初心者向け」として設計されているだけあって、基本的なDJ機器の機能を踏襲しつつ、直感的な操作が叶うシンプルなレイアウトになっています。しかも、初心者に優しいポイントは「見た目」だけではありません。
お手軽に曲をMIXできる「SMART FADER」機能
DJの醍醐味の1つは、曲と曲を掛け合わせる技「ミックス」。
従来の操作では、曲と曲に繋ぐには楽曲同士のテンポ(BPM)や音量を手動で調整する必要がありました。例えば、少しでもテンポの調整をミスすると「ドタドタドタ」とリズムの歩調がズレて音楽が崩れてしまいます。
ですが、このSMART FADER機能を使えば、フェーダーのつまみを横に動かすだけでOK。テンポや音量の調整は自動でやってくれるので、違和感なく楽曲を繋ぐことができます。ミックスのハードルが一気に下がりますね。
楽曲にメリハリをつける「SMART CFX」機能
「ミックス」だけでなく「アレンジ」もまた、DJの楽しいポイント。
例えば、シュワシュワと空気が抜けるような音を追加したり、重低音のみを抜き出してみたり……。DJがパフォーマンスで使う複雑なエフェクト操作を、ノブ(つまみ)を回すだけで再現できる機能がついています。
ダンスミュージックで一度は聴いたことがあるような、音楽のエフェクトを自分でかけられるようになるので、つい没頭してしまいそうです。
対応する音楽ストリーミングサービスとDJアプリケーションは、画像の通りです。
USB Type-Cケーブルでスマートフォン、タブレット、PCと接続ができ、Bluetooth接続にも対応。主要なDJアプリにも対応しているので、音源との接続も簡単です!
さらに、RCA端子の有線ケーブルからスピーカーにも接続可。これなら、屋外の広いスペースで使う場合も音量がネックになりません。
USB接続から電力が供給できるのも魅力です(※一部のAndroid製品を除く)。例えば、ドライブ中の助手席やキャンプなど、友達との外出中にもDJプレイが捗りそうですよ。
GetNavi Salonメンバー・コウさんコメント
パソコンよりも断然軽くて、持ち運びがすごくしやすそう。音量とテンポを機器側が自動で調整してくれるので、音楽が自然につながって気持ちがいい。DJ体験が2万7000円ちょっとで買えてしまうのは嬉しいですね。
DDJ-FLX2
価格:2万7500円(税込)※2024年12月現在は在庫切れですが、再販の予定はあるそうです。
どこでもパーティフロアに早変わり。電源要らずの次世代DJモデル
次に体験したのは、どこでも本格的なDJパフォーマンスができる「OMNIS-DUO」。商品企画部・山本 惇貴さんが説明してくれました。
カラーは、青を基調とした「インディゴ」。使うシーンを選ばず、フォーマル、カジュアル双方に溶け込めるようにデザインされています。DJ機器のカラーはブラックが大半を占める中、独特の存在感を放っています。
PCもスマートフォンも不要で、この機器1つでDJができるという「オールインワンDJシステム」を搭載した本機。オールインワンタイプのDJ機器は数多くありますが、他機器との違いはどういったところにあるのでしょうか。
場所を選ばないバッテリー内蔵型
一般的なDJ機器は「電源の確保」が絶対条件。ですが同製品はバッテリーが内蔵されているので、どこでも電源不要でDJパフォーマンスができます。しかも最大5時間も連続使用可能!
USB-C端子の接続も可能なので、もし充電が必要になってもモバイルバッテリーがあればOKです。
Bluetoothで外部オーディオと接続可能
この特徴こそ、まさにOMNIS-DUOの真価。低遅延のワイヤレススピーカーと合わさることで、新世代のDJ機器に化けます。
Bluetooth接続可能なスピーカーは星の数ほどあれど、動作の遅延が課題でもありました。一般的なワイヤレススピーカーを使うと、遅延によって楽曲の繋ぎがズレてしまうそう。ごくわずかであっても、DJにとっては由々しき問題なのです。
ですが、 AlphaTheta社の超低遅延ワイヤレススピーカー「WAVE-EIGHT」を組み合わせると、音声出力に一切の遅延がなくなります!
会場ではOMNIS-DUOとWAVE-EIGHTを使用したDJパフォーマンスを体験しました。機器の操作は即座にスピーカーへと繋がり、有線のものと遜色なし。 サロンメンバー全員が違和感なく、シームレスな操作を実感しました。
ワイヤレス機材が揃うと、設営はまさに置くだけ。配線を気にせずに済むので、ロケーションに縛られない、文字通り「自由」なパフォーマンスができますね。
Bluetoothからの音声入力も可能なので、操作をしている人だけでなく、リスナーからの楽曲提案もできます。友達同士で好きな曲を出し合いながら、DJを交互にやってみるのも面白そうです。
GetNavi Salonメンバー・ゆうさんコメント
スマートフォンに入っている音声ならほぼなんでも再生できるみたいなので、子供の合唱コンクールなんかも流してみたいです(笑) 操作の遅延もほぼ感じなかったので、マジックみたいでした。
OMNIS-DUO
価格:23万1000円(税込)WAVE-EIGHT
価格:13万5300円(税込)
楽曲制作入門の決定版! Makuakeで目標金額7000%超の音楽制作ギア
最後に体験したのは、音楽制作ギア「Chordcat」。同社の電子楽器ブランド「TORAIZ(トーライズ)」の製品です。新規事業開発部・古谷昭博さんが使い方を説明してくれました。
コード提案機能「Chord Cruiser」
「Chordcatを初めて使う際は、 まずはChord Cruiser機能を使ってみてください」と古谷さん。本製品の代名詞とも言える、コード(和音)のレコメンド機能です。
Chordcatには、1万個ものコードが内蔵されており、コードの組み合わせは「約11万通りもある」とのこと。コードを一つ入力するだけで、音楽的にスムーズにつながる次のコードの組み合わせを、製品右部のパッドのランプを光らせて複数提案してくれます。
「パズル気分で音のピースを組み合わせていくように、自分の好みの音を探してみる。このシンプルなコード演奏ができることで、楽曲制作に広がりが出てきます」(古谷さん)
この機能名の由来は、大海原へのクルージング。「ユーザーの自由な感覚で、広大なコードの中から次々とコード進行を作ってもらいたい」という思いを込めているのだそう。
サロンメンバーもガジェットと対話するように、提案されるコードを組み合わせて、その場で曲を作っていました。複雑で難しそうな音楽制作もChordcatがあれば、とっつきやすく、楽しいものへと早変わりです。
4×4のボタンで視覚的に音を保存できる
製品左部の16個のボタンそれぞれに、演奏した音を保存できます。ボタンを押して音をパズルのように置くことで、直感的に曲を作れるのも魅力です。
「開発中のため詳しくはお話できませんが……」とのことでしたが、古谷さんによると、ボタンに保存したの音のデータは「Chordcat Manager」という専用アプリケーション(無償)でパソコン上でも管理ができるようです。楽曲データのバックアップや、MIDIデータの編集が行えるのはなんとも嬉しいところ。
Makuakeで12月10日にプロジェクトを終了しました。クラウドファンディング目標金額は、なんと脅威の7000%超の結果でした!(詳細はこちら)
古谷さん曰く、「音楽理論の学習の難しさやアイデアの枯渇、楽器・DTMソフトの操作の難しさなどを理由に音楽制作を挫折してしまう方々を助けたい。音楽制作を長く楽しく続けてほしい」という思いから生み出された、Chordcat。一般販売も待ち遠しいですね。
GetNavi Salonメンバー・ワタルさんコメント
Chord Cruiser機能を使ってコードやメロディーを入れるだけで曲が作れてしまう。ドラムのリズムを入れて、曲をパズルのように作っていけて楽しかった。指一本で色々な楽器とセッションをしている感じがとても面白かったです。
このイベントで一番印象に残ったのは、「DJは簡単に始められる」ことでした。
商品企画部・村井佑史さん曰く、「SNSに自分の写真を投稿するのと同じように、自分の知っている曲、好きな曲をかけるだけで音楽表現になる。その点でDJは、作曲したり、歌ったりするよりも簡単に始められる」とのこと。
何となく、DJは操作が複雑で難しそう。そんな先入観からハードルが高いように感じていましたが、この体験会を通じてイメージが180°変わりました。 音楽を流すことで聴く人の心の琴線を刺激する――そんなパフォーマンスを自分もできるのかと、DJに対する心の距離がググッと縮まったイベントでした。