ソニーから薄型テレビの「音」をリッチにする、横幅50cmのコンパクトなサウンドバー&サブウーファー「MTシリーズ」が3月11日に発売されます。テレビ画面にかぶらないコンパクトさや、ワイヤレスサブウーファーをリビングのソファの下に隠して置ける設置性の高さも魅力。新製品の詳細を紹介していきましょう。
MTシリーズからは上位の「HT-MT500」と弟機の「HT-MT300」と、2つの新製品が登場します。どちらもオープン価格ですが、想定される売価はMT500が7万円前後、MT300が3.3万円前後。家電量販店で新しい4Kテレビを購入したら、発生したポイントも活用して手軽に購入できそうです。カラバリはMT500がブラック1色、MT300はチャコールブラックとクリームホワイトの2色展開になります。
上位モデルはハイレゾ対応。高品質ワイヤレス規格LDACにも
スリムな大画面テレビに内蔵されているスピーカーは、キャビネットの容積、ユニットのサイズに限界があるためどうしても迫力ある音が出せなかったり、音の出口がパネルの下に向いているので、映画やドラマを鑑賞すると、画面に表示される映像と違う方向から音が聞こえてきて不自然に感じることもあります。テレビの画面下、ラックとの間にあるスペースを有効に活かしながら置けるスピーカーが欲しいというユーザーの声を受け、誕生したのが1本棒タイプの“サウンドバー”と呼ばれる製品カテゴリーです。さらに重低音再生をカバーするサブウーファーを組み合わせた2.1ch構成のシステムで、擬似的な立体音響空間を作り出せる「バーチャルサラウンド」の技術を搭載している製品も多くあります。
こうしたカテゴリーの製品はオーディオ用のスピーカーというよりも、どちらかといえば映画や音楽ライブ、スポーツなどのコンテンツ鑑賞に迫力を加えるためのホームシアターシステム的な使い方をしているユーザーが多いようです。ちなみにソニーのほかにもボーズやパイオニア、ヤマハなどのブランドからそれぞれ特徴的な製品が発売されています。
ソニーの新しい「MTシリーズ」は、名前を“Mini Theater”から取ったコンパクトさがウリです。メインのバースピーカーは横幅がわずか50cm。上位のMT500は、このスピーカーがWi-Fi経由でのハイレゾ再生や、Bluetooth経由で楽しめるハイレゾ相当の高音質なワイヤレス再生を同じLDAC対応のスマホやタブレットと一緒に楽しめる機能などを搭載しています。ユニットをカバーするグリルの取り外しもできる、音にこだわった本格派です。弟機のMT300ではこれらの機能を省略したぶん、よりシンプルな接続性・操作性を追求しています。
サブウーファーはソファ下にも置ける
特にアクション映画の迫力あふれるサウンドを楽しむなら、“重低音”再生に特化したサブウーファーは欲しいところです。でも、サブウーファーは接続が面倒だし、置き場所にも困りそう。そんな心配の声に応えたMTシリーズは、サブウーファーの簡単設置に新しいアイデアを盛り込んでいます。縦置き・横置きのどちらにも対応するサブウーファーの本体は長辺の長さが約38cm。メインスピーカーのサウンドバーとの間はワイヤレスで接続できるので、サブウーファーの本体には電源ケーブルを1本つなぐだけ。MT500のサブウーファーは6.6kg、MT300のサブウーファーは一段と軽い4.9kgなので、部屋の中で設置場所を持ち運びながら探せます。
そして、MTシリーズの最もユニークな機能が「ソファモード」です。リビングではソファーに座ったり、寝そべったりしながらテレビを見ている方も多いはず。MTシリーズはサブウーファーをソファの脚の下に“隠して”置いても、ベストなサウンドコンディションにチューニングができます。音の出口が設けられている側を上に向けてソファーの足もとに本体を滑り込ませます。機器の設定メニューから「ソファーモード」を選んでオンにすると、ソファのクッションやカバーしているテキスタイルに音を吸収されることなく、クリアでキレのある重低音が楽しめるようになるというものです。
反対にソファーモードを敢えてオフにしたまま使うのもアリです。コンテンツやソファの種類にもよりますが、重低音がソファを伝って体に響いてくるので、派手なアクション映画を見る時にはいっそう臨場感がアップします。ただし、マンションなど集合住宅の場合は音量の出し過ぎに注意しましょう。
サブウーファーの本体は横に寝かせた時の高さが約9.5cm。ソニーの開発スタッフは様々なソファの脚の長さと足下の空間を実測して、世の中のおよそ2/3以上の製品が「10cm」の高さに収まったことから、サブウーファーのサイズを決定したといいます。ちなみにiRobotの「ルンバ980」は約9.2cm、パナソニックの「ルーロ MC-RS200」が約9.2cmに本体の高さを設定していることからも、ロボット掃除機の人気モデルもソファの足下に潜り込める10cm以下のサイズ感をベンチマークとしていることがうかがえます。
肝心の“サラウンド感”ですが、ソニーでは前側に置いたバースピーカーだけでも広がり感あふれる立体音場を再現するため、独自の「S-Force PRO」と呼ぶフロントサラウンド技術をふたつのモデルに採用しています。出力はMT500が145W。MT300は少し低い100Wですが、どちらのモデルもリビングルームで迫力たっぷりのサラウンド感を楽しむために十分なパワーを備えています。
HDMI接続の有無でモデルを決めてもOK
上位機のMT500だけが搭載する機能をいくつかまとめておきましょう。MT500はソニーの「Wireless Surround」技術に対応する「HT-ZR5P」「SRS-HG1」などワイヤレススピーカーを買い足すことによって、さらに本格的なリアルサラウンド環境に発展させることもできます。また、MT500はHDMI出力も備えています。テレビにHDMIケーブルでつなぐと、電源のオン・オフやボリューム操作が連動できる「HDMI CEC」機能が使えたり、HDMIケーブル1本でテレビの音をサウンドバーに送り出せるARC(オーディオ・リターン・チャンネル)機能にも対応しています。本体のパッケージに付属するHDMIケーブルは、スピーカー側の端子がL字に曲がっているので、テレビの足下、設置場所の限られたスペースに置くときにケーブル端子が飛び出して邪魔することがありません。
HDMI端子のないMT300の場合は、テレビとサウンドバーを光デジタルケーブルでつなぐことになります。MT300も背面の光デジタル入力端子を斜めの向きに配置しているので、ケーブルを接続した状態でもスマートに設置ができます。
さらにMT500はSpotify Connectに対応するオーディオ機器です。スマホをリモコン代わりにして、Wi-Fiでインターネットに接続したMT500にSpotifyの音楽を直接ストリーミングしながらリスニングが楽しめます。同じくGoogle Playミュージックの音楽配信もWi-FiでストリーミングできるChromecast Built-Inの機能にも対応しています。なおMTシリーズの両製品ともに、本体の詳細設定はソニーのスマホアプリ「SongPal」を使ってネットワーク経由からでも行えます。
5.1chぶんのスピーカーを部屋に置かなくても、コンパクトなスペースで本格サラウンドを楽しめるのがMTシリーズの魅力。今年、テレビまわりの音環境をパワーアップしてみたいと考えている方におすすめできそうなシステムです。