オリンパス「M.ZUIKO PROレンズ」レビュー②
ボケを極めし「F1.2大口径単焦点シリーズ」の中望遠レンズ
オリンパス
M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO
実売価格13万7490円
人物撮影に最適な画角を持つ、大口径中望遠レンズ。特殊レンズを贅沢に使用し、高い解像力が得られるレンズである。と同時に、ボケを極める「F1.2大口径単焦点シリーズ」の1本でもある。その開放F1.2での“美しくにじむボケ”は、一般のレンズとはひと味違う。
●焦点距離:45mm(35mm判換算:90mm相当) ●レンズ構成:10群14枚(EDレンズ1枚、HRレンズ4枚、非球面レンズ1枚) ●最短撮影距離:0.5m ●最大撮影倍率:0.1倍(35mm判換算:0.2倍相当) ●絞り羽根:9枚(円形絞り) ●最小絞り:F16 ●フィルター径:62mm ●最大径×全長:70mm×84.9mm ●質量:410g ●その他:防塵・防滴・耐低温性能
ズームレンズにはない上質なボケで被写体の存在感を高める
単焦点レンズの魅力のひとつに“開放F値の明るさ”が挙げられる。もちろん、ズームレンズと同等の明るさ(もしくは暗い)の製品もあるが、広角から中望遠の焦点距離なら、F1.2やF1.4といったズームレンズにはない明るさの製品も多い。この45mmもそんな中望遠レンズで、F1.2の明るさでピント位置の前後を大きくぼかした“被写体を浮かび上がらせる”描写を堪能することができる。
また、広角17mmと標準25mmと中望遠45mm(本レンズ)の3本は、ボケを極める「F1.2大口径単焦点シリーズ」にもカテゴライズされている。最先端の超精密機器「収差測定器」を使用して、歴史的な名レンズの“レンズの味”を検証。そして、ボケ描写に影響を及ぼす球面収差の調整を最適にコントロールして、開放F1.2の“美しくにじむボケ”を実現するレンズなのだ。
百聞は一見にしかず、ということで、同じ被写体を開放のF1.2とF2.8で撮り比べてみた。「F2.8」は大口径ズームの開放F値でお馴染みの数値で、これでも十分に明るい印象がある。だが、F1.2はそれより「2段と2/3段」も明るい。そのぶん、背景描写などでボケ効果の違いを実感する。
では、この美しいボケ味を生かした作例を見ていこう。まずは、あまり明るくない古民家の雛飾り。そのなかの一体の人形を、前後の飾りや人形を絡めながら撮影。90mm相当の中望遠の画角は、こういった撮影に最適で、距離的にあまり大きくボケない飾りや人形も“美しくにじむボケ”によって、上質な写真に仕上げられた。
続いて、閑散とした冬枯れの花壇に咲く、可憐なスイセンの一群。そのなかの一輪にピントを合わせ、開放F1.2で撮影することで、周囲の花や背景を大きくぼかした。背後に広がる冬枯れ花壇の“まろやかなボケ”も美しい。