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2018/5/14 18:00

Astell & Kernの第4世代は個性派揃い! 新ハイレゾプレーヤー「SE100」と「SR15」が初お披露目

ポータブルオーディオファンにおなじみのブランドAstell & Kern(アステル&ケルン)が、ドイツのミュンヘンで開催されたオーディオショウで最新のハイレゾ対応プレーヤー「A&futura SE100」「A&norma SR15」の2機種を発表しました。イベント会場から新製品の体験レポートを速報します。

 

今回筆者が取材のために訪れた「HIGH END MUNICH 2018」は、その名の通り世界最大級のハイエンド・オーディオの祭典として注目されているイベントです。世界各国から名うてのオーディオブランドが参加するなか、アステル&ケルンは昨年このイベントで現在発売中のフラグシップモデル「A&ultima SP1000」を発表して存在感をアピールしました。今回発表された2機種は、このSP1000と同じアステル&ケルンにとっての“第4世代”のハイレゾ対応プレーヤーです。一気に2つのモデルが加わったことで世代交代が加速しました。SE100はAK300シリーズの後継機、SR15はAK70MkIIの後継機としてラインナップが入れ替わります。

↑新製品が発表されたドイツ・ミュンヘンのハイエンドショー会場。大勢の熱心なファンで会場が埋め尽くされました

 

据え置き機にも使われるICチップを搭載した「SE100」

A&futura SE100はヨーロッパでの販売価格は1799ユーロ(約23.5万円)、発売時期は5月末を予定しています。“futura”はラテン語で“未来”という意味。本体を側面上から見ると斜めにカットしたサイドパネルのデザインには未来感があふれています。ボディの素材はアルミニウム。色はチタンシルバー。

↑新しい上位モデルの「SE100」。UIもSP1000と同じ最新世代の仕様です

 

↑カーボン+ガラスの背面パネル。ボディは落ち着いたチタニウムシルバー

 

380g台だった重量級のSP1000に比べると、SE100は241gとかなり計量化されています。オクタコアのCPUを内蔵しているので、片手持ちでの5型液晶タッチパネルの操作がとても快適。縦横スワイプを積極的に採り入れた、SP1000と同じ第4世代のUIデザインとしています。

 

本体に搭載したDAコンバーターはESSテクノロジーの「ES9038PRO」という8ch対応のハイエンドなICチップ。据え置きタイプのオーディオコンポーネントに使うために設計されたハイパワーなICチップを、アステル&ケルンのエンジニアが音質に惚れ込んでSE100に採用しました。元々駆動時の消費電力も大きいICチップなので、シングル構成で使うことによってバランスを取っています。

 

イヤホン端子は天面に3.5mmのシングルエンドと2.5mm/4極のバランス出力をSP1000と同様に搭載しました。Bluetooth再生はaptX HD対応。128GBの内蔵メモリーのほか、microSDカードスロットを1基搭載しています。

↑2.5mmバランス接続に対応

 

↑本体の底面にUSB Type-C端子とSDカードスロットを配置

 

小型サイズの新スタンダード「SR15」

A&norma SR15はヨーロッパでの販売価格が749ユーロ(約9.8万円)、発売時期は6月から7月ごろを予定。ラテン語で“norma=普遍的な”という意味を名付けられたプレーヤーはブランドの新しいスタンダード機になります。3.3型の液晶タッチパネルを斜めに傾けた大胆なデザインとしていますが、クアッドコアCPUと新しいUIによる操作感はとても快適。AK70MkIIに近いサイズ感のプレーヤーです。ボディの素材はアルミニウム、色はダークグレー。

↑新しいスタンダードモデルの「SR15」。斜めに配置された画面のインパクトは大

 

↑片手持ちに心地よくフィットするサイズ感はAK70MkII譲りです

 

DAコンバーターにシーラス・ロジックの「CS43198」を2基搭載するデュアルDAC構成。リニアPCM系は最大192kHz/24bitまで、DSDも2.8MHzまでのネイティブ再生をサポートしています。DSD5.6MHzもリニアPCM変換再生によって楽しむことが可能。

 

イヤホン端子は2.5mm/4極のバランス出力にも対応しており、64GBの内蔵メモリーとmicroSDカードスロットが1基搭載されています。BluetoothはaptX HD対応。

↑本機もシングルエンドとバランス接続の両方に対応します

 

AK第四世代はキャラクターの違いに注力

アステル&ケルンのハイレゾ対応プレーヤーの開発を長年指揮するアイリバーのJames Lee氏に、先行しているSP1000を含めた3つの“第4世代モデル”のキャラクターを尋ねてみました。

↑アイリバーのJames Lee氏に新しいラインナップへの意気込みを伺いました

 

「第4世代では3つのモデルに最新のDACチップを搭載して、音のキャラクターにもメリハリの効いた“違い”をつけることに力を入れました。特にSE100に搭載しているESSのチップは元がとてもハイパワーなので、ポータブル機としてのバッテリーライフをはじめとした使い勝手を確保しながら搭載するための工夫には時間をかけてきました。おかげさまでそれぞれに個性豊かな3つのモデルが出そろったと自負しています。音のイメージを“食”に例えるなら、フラグシップのSP1000が“懐石料理”、エネルギッシュなSE100は“松”グレードの”とんかつ”、SR15は“新鮮なフルーツ”に近いと思います」(James Lee氏)

 

イベント会場ではフラグシップのSP1000も含めて、新しいSE100とSR15をアステル&ケルンのAK T1pにつないで聴き比べることができました。SP1000のスムーズで上質なサウンドに対して、SE100は活き活きとした力強さを色んな音楽ソースから引き出せるパフォーマンスを備えていました。SR15はAK70MkIIと同じバランスのよいマルチプレーヤーとしてのキャラクターを引き継ぎながら、さらにワイドレンジで解像度の高いサウンドに仕上がっている印象でした。

↑フラグシップモデルのA&ultima SP1000も会場に並べられ、それぞれの音の違いを比較することができました

 

↑エネルギッシュなサウンドのSE100

 

今回発表された新製品を含むアステル&ケルンの最新第4世代のプレーヤーから、コンパクトなファイルサイズで高品位なハイレゾ再生が楽しめることで注目されているMQA音源の再生に対応することになりそうです。今回のイベント会場ではMQA再生に対応した試作機によるデモンストレーションも紹介されていました。アステル&ケルンの担当者は「MQA対応の時期は未定ですが、準備ができたらソフトウェアアップデートなどによってすぐに対応したいと考えています」とコメントしていました。

↑MQA再生にも対応予定

 

↑会場にはターンテーブルのシャーシ「CUBE48」の試作機も登場。商品化はただいま検討中だそう

 

アステル&ケルンの新製品が日本で出そろう日はいつになるのか、楽しみですね!