彩度・ボケ感ともに合格点
やはりF2.8通しの大口径レンズといえばボケ感を試したくなりますよね。そこで、彩度やボケ感を試してみます。撮影当日は曇り気味の空模様でしたが、そのぶんしっとりとした写真が撮れました。
まず彩度ですが、少し明るくするために露出補正+1で撮影したところ、ビビッドな色合いに。カラフルさを強調したい被写体の場合は、これぐらい鮮明な彩度のほうが良作が生まれやすいでしょう。
次にボケ感ですが、さすがF2.8と言ったところでしょうか、強調したい被写体以外を簡単にボケさせることができます。ただし、ボケが気持ちいいからといって、これみよがしに開放しまくっていると肝心なところまでボケてしまうという「大口径レンズ初心者あるある」に陥ってしまうので、ある程度の加減と慣れは必要です。
暗い場所でもしっかり解像する
続いて、暗所の性能について試すべく、知人のライブにて作例を撮影させてもらいました。ライブ写真というものは「暗い」「派手なアクション」「ストロボ発光禁止」という三重苦。非常に悪条件のなかでの撮影になるので、レンズの明るさはもちろん、カメラの設定もシビアに。
今回は、ド派手なアクションにも追従できるシャッタースピードを軸に、ISO感度と絞りに負荷をかけて連写するというスタイルで撮影。ミスショットもありましたが、成功したショットではライブハウスの雰囲気を表現することができました。
毛1本まで解像する動物写真
最後に動物写真だけは外せません。作例をご覧いただければ一目瞭然ですが、SNSなどにアップされているスマホで撮影された写真とは一線を画す仕上がり。背景のボケもさることながら、毛や瞳の解像感が大満足の域に達しています。このあたりは、フルサイズセンサーの実力を遺憾なく引き出した絵づくりと言えるでしょう。
【まとめ】タムロン 28-75mm F/2.8 Di III RXDは買い?
さて、今回レビューした28-75mm F/2.8 Di III RXDですが、率直な感想として絵作りはSEL2470GMには及ばないものの、価格以上の性能は十分に有していると感じました。もし、話題のα7IIIを新調するなどして、フルサイズEマウントユーザーとしてデビューするのであれば、コスパや扱いやすさの面から最初の1本として特におすすめできます。
競合するレンズとして、カールツァイス銘の「Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS」(実売価格11万3000円)やソニーGレンズの「FE 24-105mm F4 G OSS」(実売価格16万1600円)なども候補に挙げられますが、どちらも明るさが開放F4。焦点距離に違いがあるとはいえ、コストパフォーマンスやそれらに勝るとも劣らない画質性能を考えると、本レンズを筆頭候補に挙げてもよいかもしれません。どれを選ぶにせよ、ユーザーの選択肢が広がるのは喜ばしい限りです。
低価格や軽量コンパクトなだけでなく、絵作りなどの扱いやすさも本レンズの優れている点。初心者から中級者まで幅広く支持されるレンズと言えるでしょう。