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2019/3/27 19:30

プロ機たる所以をまざまざと実感! オリンパス「OM-D E-M1X」濃厚レビュー

【機能】「画像処理エンジン2機搭載」で実現した驚きの機能

上でも触れたように、OM-D E-M1Xは画像処理エンジンを2機搭載することでこれまでにはなかった画期的な機能を実現している。そのなかから特に注目したい3つの機能を紹介しよう。

 

新機能①「インテリジェント被写体認識AF」

OM-D E-M1Xでは、AI(人工知能)の一種であるディープラーニングテクノロジーを利用して開発したアルゴリズムを新たに搭載。それにより、「モータースポーツ」「飛行機」「鉄道」の3ジャンルの被写体を自動で検出してAF追従することが可能となった。

この追尾被写体設定により、モータースポーツならドライバーのヘルメット、鉄道なら車両や運転席、というように、カメラが自動的に最適なポイントにピントを合わせてくれるのだ。撮影者は構図調節やシャッターチャンスのタイミングに集中することができるようになるだろう。

<作例③>

遠方から向かってくる特急列車。画面内での大きさはまだ小さめで、しかも先頭部分は画面中央から大きく外れていて、周囲にはいろんな要素が写り込んでいる。だが、インテリジェント被写体認識AFの「鉄道」設定により、この段階から“列車の先頭部”を確実に自動認識し、しっかりAF追従してくれた。

オリンパス OM-D E-M1X M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO(100mmで撮影) シャッター優先オート F4 1/1600秒 -0.3補正 WB:オート ISO320

 

<作例④>

もう少しで東京駅に到着する新幹線を、線路のやや下の位置から狙う。周囲や手前には、いろんな障害物があったが、この場面でもインテリジェント被写体認識AFは、列車の先頭車両(前面)をしっかり自動認識してAF追従した。

オリンパス OM-D E-M1X M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO(75mmで撮影) シャッター優先オート F4.5 1/1000秒 -0.3補正 WB:オート ISO2500

 

新機能②「ライブND」

複数の画像を合成して疑似的に露光時間を延ばすことで、低速シャッターの効果を使った表現が可能になる新機能「ライブND」。この画期的な新機能を活用すれば、NDフィルターの携行や着脱の手間が省け、フィルター装着が困難なレンズでもNDフィルターと同様の作画効果を得ることができるのだ。また、その際に「LVシミュレーション」をONに設定しておけば、設定した低速シャッターでの仕上がり具合を事前に確認することもできる。

なお、この「ライブND」の機能は、露出モードがSまたはMの場合に使用できる。そして、使用できるシャッター速度の上限値は、設定するND段数によって変わってくる(ND2:1/30秒~ND32:1/2秒)。

<作例⑤>

春の強風に揺れるマグノリアの花を下から見上げ、上空の太陽と絡めながら撮影する。この明るい状況だと、ISO感度をどんなに下げても、あまり遅いシャッターは使えない(露出オーバーになるため)。だが、ここではライブNDの機能を使用して、ND16(4EV)に設定。これにより、1/4秒という低速シャッターが余裕で使えるようになり、風による花のブレを存分に表現できた。

オリンパス OM-D E-M1X M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO(12mmで撮影) シャッター優先オート F14 1/4秒 WB:オート ISO64

 

新機能③「手持ちハイレゾショット」

「ハイレゾショット」は、OM-D E-M1 Mark IIなどにも搭載されている機能で、0.5ピクセル単位でセンサーを動かしながら8回撮影し、その画像をもとに50M(5000万画素)相当の高解像画像を生成することができるというもの。そして、今回のOM-D E-M1Xでは、従来の「三脚ハイレゾショット」に加えて(現在のOM-D E-M1 Mark IIのメニューには「三脚」の表記はないが)、三脚を使わずに撮影できる「手持ちハイレゾショット」も実現したのである。

影中に発生する、わずかな位置ずれを利用して16回撮影し、その画像をもとに50M相当の高解像写真を生成するのである。これによって、三脚が使用できない場所や、三脚を設置する時間的に余裕のない状況でも、通常の20Mよりも高解像な画像を得ることができるのだ。

<作例⑥>

「手持ちハイレゾショット」で撮影(※編集部注:サイトへのアップ時にリサイズしています)。2枚目は1枚目の画像の一部を切り出したものだが、細部までしっかり解像していることがわかる。

オリンパス OM-D E-M1X M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO(12ミリで撮影) 絞り優先オート F8 1/640秒 -0.3補正 WB:オート ISO200

 

↑「手持ちハイレゾショット」からの切り出し

 

【まとめ】基本性能も信頼性もまさにプロフェッショナルなモデル

OM-D E-M1Xは、OM-D E-M1 Mark IIと同様にプロユースを想定したカメラだが、その基本性能(仕様)や撮影機能を見る限り“よりハイレベルなプロフェッショナルモデル”という印象を受ける。それは、プロフェッショナルモデルの必須条件である“信頼性の高さ”も同様である。

 

例えば、防塵・防滴・-10℃耐低温性能を持つOM-D E-M1 Mark IIから、OM-D E-M1Xはさらにレベルアップ。従来(IPX1)よりもはるかに厳しい防滴試験を実施し、より過酷な環境下でも使用できる防塵・防滴・耐低温構造を実現しているのだ。そして、シャッターの耐久性に関しても、OM-D E-M1 Mark IIの20万回を大きく超える、40万回の作動試験をクリアした高耐久シャッターユニットが搭載されている

 

OM-D E-M1 Mark IIは、プロフェッショナル仕様でありながら、抜群に小型で軽量(装備重量約574g、本体のみ約498g)なモデルである。だから、撮影ジャンルや被写体を選ばない、オールマイティーな使い方ができる。

 

一方、OM-D E-M1Xは、縦位置グリップ一体型のボディで、安定したホールディング性や高い操作性を実現。そして、2個のバッテリーが装填できて、約870枚の撮影が可能になる。これらの特徴や「インテリジェント被写体認識AF」機能の搭載により、高性能な望遠レンズを使用した動体撮影などに最適なカメラと言えるだろう。とはいえ、最高約7.5段の手ブレ補正や、手持ちハイレゾショット、ライブNDなどを見るに、風景撮影などでも使いたくなるのも確かだ。

 

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