運動会やGWの旅行といったイベント撮影は、カメラのAF性能や高感度画質などが問われるシーンが多いです。そこで、いま注目のミラーレスカメラ8機種で“イベント撮影力”をチェックしました。
動きモノはセンサーよりもAF性能や連写性能が重要
フルサイズミラーレスカメラが注目を集めていますが、イベント撮影では必ずしもフルサイズが有利とは言えません。その理由をカメラマンの河野さんは次のように語ります。
「運動会など、望遠撮影が多いシーンは、センサーサイズが小さく、望遠効果を得やすいAPS-Cサイズなどが使いやすいんです。逆に、暗めの屋内で行われるイベントなどは、高感度でもノイズが出にくいフルサイズがやや有利。
とはいえ、最新機種はノイズ処理技術が向上しており、実用上はセンサーサイズにこだわりすぎる必要はありません。むしろ、子どもなど動く被写体を撮ることが多いなら、AFや連写性能が重要。追尾AFや顔認識など、被写体を追ってくれる機能があると安心ですね」(河野さん)
【テストではココをチェック!】
AF・連写性能
コンティニュアスAFと高速連写で鉄道を撮影。連写中もピントが合っているか、最適な位置で撮れたかをチェック。
高感度画質
ISO25600で撮影した夜景の一部を拡大して確認。目障りなノイズの有無や、質感描写が崩れていないかを見ました。
手ブレ補正
300mm相当前後の望遠レンズを使って、手ブレ補正機能をオンにして撮影。1/15秒で撮って成功率を検証しました。
軽さ
ボディ、メモリーカード、バッテリーに標準ズームと望遠ズーム(必要な場合はアダプター)を合わせた重さを比較。
フルサイズミラーレス編
フルサイズミラーレスは、高画素数なハイエンドモデルに続き、画素数を抑えて連写や高感度性能などを上げつつ、低価格化も実現した普及モデルが各社から登場。そうしたお買い得な3機種をチェックします!
【その1】入門機並みの軽さとバリアングルモニターでハンドリングが抜群!
キヤノン
EOS RP
実売価格17万3310円(ボディ)、23万7050円(35mmF1.8マクロレンズキット)、19万4940円(マウントアダプターキット)
10万円台後半のボディ価格でタッチ操作対応のバリアングルモニターを装備した中級機。質量もボディ単体で400g台と軽量。独自のデュアルピクセルCMOS AFで、世界最速0.05秒AFを実現しました。
【イベント撮影力チェック!】
レンズと組み合わせた重さがネックだが、AFは高速で正確
連写は約5コマ/秒ですが、「顔+追尾優先AF」の使用で動きモノの追尾が可能。実写でもほとんどピントを外しませんでした。高感度画質は質感描写重視の仕上がり。軽さは望遠レンズがアダプター+一眼レフ用レンズとなることもあり、2㎏を超えました。
AF・連写性能 21/25点
高感度画質 22/25点
手ブレ補正 21/25点
軽さ 15/25点
→EOS RPの総合評価:79/100点
【その2】連写や高感度に強く、動きモノに対応しやすいハイパフォーマンス機
ニコン
Z 6
実売価格26万3580円(ボディ)、33万6680円(24-70mmレンズキット)、35万7560円(24-70㎜+マウントアダプターキット)
画素数を2450万画素に抑えることで、約12コマ/秒の高速連写や常用でISO51200までの高感度を実現。約396万ドットのEVFは対角視野角が約37°と広く、クリアで自然な視野を確保しています。
【イベント撮影力チェック!】
高感度や手ブレに強く、連写も高速で動きモノ撮影に最適
連写は約12コマ/秒で、「オートエリアAF」もピントを大きく外すことはありませんでした。高感度でも低ノイズかつ十分な質感描写が得られました。手ブレ補正も強力で、1/15秒での撮影でも、ブレの目立たない写真が多かったです。ただ、望遠レンズがやはり重く、2㎏弱。
AF・連写性能 22/25点
高感度画質 20/25点
手ブレ補正 23/25点
軽さ 15/25点
→Z 6の総合評価:80/100点
【その3】豊富な交換レンズとトータルでの軽さがイベント撮影で威力を発揮
ソニー
α7Ⅲ
実売価格24万8270円(ボディ)、26万4400円(28-70mmレンズキット)
AF/AE追従で約10コマ/秒の連写や高速・高精度な瞳AFなどに対応。693点像面位相差AFと425点コントラスト検出AFを組み合わせた“4Dフォーカス”で、画面の約93%がAF可能です。約5段分の効果のボディ内手ブレ補正も搭載します。
【イベント撮影力チェック!】
約10コマの連写とロックオンAFなどで動きモノに強い
約10コマ/秒の連写で一瞬を逃さず、ロックオンAFや顔認識機能でピントを外しにくいです。高感度でも質感描写に優れていました。手ブレ補正はふるいませんでしたが、レンズを組み合わせた質量は非常に軽量です。
AF・連写性能 23/25点
高感度画質 23/25点
手ブレ補正 17/25点
軽さ 18/25点
→α7Ⅲの総合:81/100点
【ここに注目!】α7Ⅲならアダプターなしで望遠や高倍率ズームレンズが選べる
ミラーレス専用のEマウントレンズが豊富に用意され、今回使用した70-300mmや高倍率ズーム、F2.8の大口径ズームなどをアダプターを介さないで使えます。なかでもイベント撮影で使うなら、24-240mmの高倍率ズームがオススメです。
<おすすめレンズ①>
FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS
実売価格12万6520円
<おすすめレンズ②>
FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSS
実売価格16万7000円
<おすすめレンズ③>
FE 24-70mm F2.8 GM
実売価格27万2700円
APS-Cミラーレス編
APS-Cミラーレスは、フルサイズ機に比べると画質面では不利ですが、35mm判換算で1.5倍相当前後の望遠効果が得られるため、運動会などのイベント撮影に最適。小型軽量モデルが多く、ハンドリングもしやすいのもメリットです。
【その1】小型軽量でバリアングルモニター搭載、抜群の使いやすさが光る!
キヤノン
EOS Kiss M
実売価格7万9100円(ボディ)、9万4100円(15-45mmレンズキット)、12万700円(18-150mmレンズキット)、11万700円(ダブルズームキット)
小型軽量ボディでバリアングルモニターや約10コマ/秒の高速連写性能などを備えた高性能なエントリーモデル。クリアな236万ドットEVFを搭載し、望遠時でも安定した姿勢で、効果的にブレを防いで撮影できます。
【イベント撮りのオススメレンズはコレ!】
ボディとセットで買うなら2種類のキットに注目
コスパ重視なら、55-200mmが付属するダブルズームキットが◎。手軽さ重視なら、18-150mmズームが付属の高倍率ズームキットもアリです。
<おすすめレンズ①>
EF-M 55-200mm F4.5-6.3 IS STM
実売価格4万4000円
<おすすめレンズ②>
EF-M 18-150mm F3.5-6.3 IS STM
実売価格6万1700円
【イベント撮影力チェック!】
AFが高速かつ正確で手ブレ補正も強力、ボディの軽さも◎
AFが高速で「顔+追尾優先AF」で被写体を追尾して撮影可能。連写はAF追尾で約7.4コマ/秒ですが、RAW+JPEGでは10コマまでなのは残念。手ブレ補正が優秀で1/15秒では高確率でブレが防げました。軽さも魅力大。
AF・連写性能 20/25点
高感度画質 15/25点
手ブレ補正 23/25点
軽さ 22/25点
→EOS Kiss Mの総合評価:80/100点
【その2】エントリーモデルながら機能充実で連写性能などは上位モデル以上
ソニー
α6400
実売価格11万8670円(ボディ)、12万9470円(パワーズームレンズキット)、16万1870円(高倍率ズームレンズキット)、15万1070円(ダブルズームレンズキット)
収まりのいいスクエアでコンパクトなボディにEVFを装備。約11コマ/秒の連写が可能で、感度も常用でISO32000まで対応します。「リアルタイム瞳AF」や「リアルタイムトラッキング」により、AFも高速・高精度です。
【イベント撮りのオススメレンズはコレ!】
高倍率ズームなら18-135mmが小型で使いやすい
55-210mmは、ダブルズームキットの望遠ズームで、キットレンズとしては高画質。高倍率ズームも数本用意されていますが、18-135㎜が小型でオススメです。
<おすすめレンズ①>
E 55-210mm F4.5-6.3 OSS
実売価格2万9800円
<おすすめレンズ②>
E 18-135mm F3.5-5.6 OSS
実売価格6万5610円
【イベント撮影力チェック!】
エントリー機ながら約11コマ/秒の連写が可能
約11コマ/秒の連写と「トラッキングAF」により、動きモノにもピントが合いやすいのが特徴。高感度では、描写に多少のムラは見られますが、ノイズは目立たず、質感も感じられます。手ブレ補正も十分に強力です。
AF・連写性能 22/25点
高感度画質 18/25点
手ブレ補正 20/25点
軽さ 20/25点
→α6400の総合評価:80/100点
【その3】電子シャッターにより30コマ/秒の連写を実現&瞳AFなどにも対応
富士フイルム
FUJIFILM X-T30
実売価格11万8260円(ボディ)、13万4460円(15-45mmレンズキット)、17万2260円(18-55mmレンズキット)
最新のセンサーや画像処理エンジンが採用され、電子シャッター使用による30コマ/秒のブラックアウトフリー連写に対応。顔検出や瞳AFにも対応するなど、従来モデルに比べて連写やAF面が強化されています。
【イベント撮りのオススメレンズはコレ!】
普及価格帯でも描写に優れるXCシリーズが◎
富士フイルムのレンズは、XFとXCのシリーズがあります。XCは普及価格帯ですが、描写は優秀でオススメ。高倍率ズームとしてはXFシリーズの18-135mmがあります。
<おすすめレンズ①>
フジノン XC50-230mm F4.5-6.7 OIS Ⅱ
実売価格4万80円
<おすすめレンズ②>
フジノン XF18-135 F3.5-5.6 R OIS WR
実売価格9万6240円
【イベント撮影力チェック!】
約8コマ/秒連写でAFも速くて正確、高感度画質も◎
連写はメカシャッターの約8コマ/秒で撮影。AFはトラッキングAF使用で、ほとんどのカットのピントが合っていました。高感度でも画像の荒れは少なく、質感描写にも優れています。手ブレ補正も強力です。
AF・連写性能 23/25点
高感度画質 23/25点
手ブレ補正 22/25点
軽さ 20/25点
→FUJIFILM X-T30の総合評価:88/100点
マイクロフォーサーズ編
マイクロフォーサーズは、センサーが小さいぶん、望遠効果が得やすいのはAPS-C機と同様ですが、普及価格で小型ボディの製品が選びやすいのも魅力です。そこで手ごろな価格で小型軽量な2機種をチェックしました。
【その1】記念写真などにも最適なチルト式モニター採用
パナソニック
LUMIX DC-GF10
実売価格8万6200円(ダブルレンズキット)
シンプルなデザインですが、4Kフォトや22種類のデジタルフィルターを装備するなど、機能は充実。背面モニターが上方向に180°チルトするため、自分撮りや記念写真の撮影に最適です。キットズーム付きで約337gという軽さも魅力。
【イベント撮影力チェック!】
コントラスト検出方式ながら高速で正確なAF
連写はAF追従で約5コマ/秒。速くはありませんが、タイミングが合えば十分撮れます。AFはコントラストAFながら、高速でほぼピントを外しませんでした。高感度は、やや画像が荒れますがノイズは目立ちません。
AF・連写性能 20/25点
高感度画質 18/25点
手ブレ補正 16/25点
軽さ 24/25点
→LUMIX DC-GF10の総合評価:78/100点
【その2】顔優先・瞳優先AFで子どもなどの撮影に向く
オリンパス
PEN E-PL9
実売価格5万5910円(ボディ)、8万5860円(ダブルズームキット)
ピッチとヨーの角度ブレと回転ブレに対応する3軸手ブレ補正をボディ内に搭載。約3.5段分の補正効果を持ちます。タッチAFシャッターも利用できるほか、顔優先AF・瞳優先AFが装備されているので、子どもなどの人物撮影に強いです。
【イベント撮影力チェック!】
AF追従で連写速度が低下するのがネック
今回はタイミングよく撮影できましたが、連写はAF追従だと約4.8コマ/秒とやや遅め。高感度は多少像が荒れますが、ノイズは目立ちません。モニターを見ながらなので不利ですが、手ブレ補正の効果は高いです。
AF・連写性能 18/25点
高感度画質 16/25点
手ブレ補正 18/25点
軽さ 25/25点
→PEN E-PL9の総合評価:77/100点
コンパクトデジカメもおすすめ
コンデジでも、高倍率ズーム搭載機は運動会撮影などに向きます。なかでもニコンのCOOLPIX P1000は、光学125倍ズームが魅力。このほか、ソニーのRX10M4は光学25倍ズーム機で比較的大きな1型センサー採用。高画質で撮れます。
【その1】一眼を超える連写や高速AFが魅力の高画質・高倍率機
ソニー
RX10M4
実売価格18万4840円
大きな1型センサーに24-600mm相当までの25倍ズームを組み合わせた、高倍率&高画質コンデジ。最高約24コマ/秒の連写や像面位相差AFの採用で動きモノに強いです。
【その2】最大3000mm相当の超望遠撮影が手軽に楽しめる
ニコン
COOLPIX P1000
実売価格13万7670円
24-3000mm相当の光学125倍ズームを搭載。5段分の手ブレ補正で、最高ISO6400までの高感度にも対応します。顔認識機能も備え、超望遠でも失敗を防いで撮れます。