スピーカーの実力を引き出すパラレルBTL接続
ハイレゾ音源を受けて最後にスピーカーを駆動するのがパワーアンプの役割です。通常のプリメインアンプの中にはステレオアンプが入っており、右chと左chの音を増幅します。「M-CR612」の場合は、まず左右で独立したクラスDアンプを搭載。さらに高音と低音を独立したスピーカーケーブルで接続するバイワイヤリング接続に対応するため高音用と低音用のアンプを搭載しています。つまり合計4ch分のモノラルパワーアンプ内蔵しています。これによってハイレゾ音源の持つ音場感や空間表現をリアルに再現できます。
今回搭載された新機能に「パラレルBTL」があります。これはバイワイヤリング接続非対応のスピーカーを使う時に余ってしまう2ch分のアンプを左右のアンプに並列つなぎすることで4ch分すべてのアンプを使って駆動するモードです。アンプを並列に接続した場合、出力は上がりませんがスピーカーを駆動する力は増強されます。
低音に効くパラレルBTL、高音に効くバイワヤリング
それでは実際に接続方法による音の違いを聞いてみよう。バイワイヤリング対応スピーカーとして「SUNVALLEY Reference35」を接続しました。バスレフ型よりも低域の再生限界が伸びるが、アンプにドライブ能力が求められる密閉型の小型スピーカー。ウーハーは5インチ(12cm)で振動板は透明なポリプロピレン。ツイーターはソフトドームで1インチ(2.5cm)の2Wayで、能率は85dBです。
シングルワイヤリングで聞く、Diana Krall「The Girl In The Other Room/Sotp This World」(96kHz/24bit)はイントロからボーカルにツヤがあってなまめかしい。低音は量感たっぷりで、ゆったりとした雰囲気が漂う。これがパラレルBTLに切り換えると、フォーカスがシャープになり、楽器の輪郭がクッキリします。ボーカルは音像が小さくなって左右のスピーカーの間にぽっかりと浮かび上がります。ゆるかった低音はタイトになり反応良くドライブされています。これが密閉型、本来の鳴り方です。
それではバイワイヤリング接続ではどうでしょう。今度は高音のS/N感が向上します。空間が広がりスケール感が出てきます。ボーカルは鮮明になって、細かい音が再生されるようになって、息継ぎの感じがよく分かるようになりました。ピアノの音は刺激が抑えられて、ハイハットも刺々しさがなくなりました。低音に関しては目立った変化はありませんでした。バイワイヤリングは高音用のツイーターを低音用のウーハーの悪影響から守るのが目的です。やや刺激的だったツイーターの音がバイワイヤリングで、このスピーカー本来の音色に戻ったと推測できます。フルレンジスピーカー1個でバスレフ式の「Ishida model」でもパラレルBTLを試してみましたが、音のキレ味が良くなって、全体的に反応がいいハイスピードな音に、そして低音の再生限界が伸びたように感じました。
マランツ「M-CR612」はハイレゾ入門機として、多機能、高音質なモデルとしてオススメ。また音楽好きな人が面倒なセッティング不要で、より良い音で音楽を楽しむための最初で最後のコンポとしてもイチオシです。本機と小型スピーカーの組み合わせでストリーミングからハイレゾまで、納得の高音質で再生できるので、新規でオーディオシステムを揃えようかと考えている方はもちろん、すでに一式持っている方もM-CR612にアップデートしてみてはいかがでしょうか。
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