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2016/6/10 19:30

フルサイズを超えた何かを感じさせる! ペンタックス党ならずとも必見の「PENTAX K-1」【レビュー】

ペンタックスといえば、歴史のあるカメラメーカーだ。1919年に「旭光学工業株式会社」としてスタート。1952年に日本初の35mm一眼レフカメラ「アサヒフレックスI型」を開発。1957年に世界初のクイックリターンミラーとペンタプリズムを両搭載した「アサヒペンタックス」を発売。そして、1964年に世界初となるTTL測光を搭載した「アサヒペンタックスSP」を発売し大人気となった。

 

筆者が現在所有する唯一のフィルムカメラが、このアサヒペンタックスSPだ。ネジ式のスクリューマウントを採用した「M42」マウントのレンズは、ペンタックス製だけではなく、国内外のあらゆるメーカーから発売されており、中古でも数多く流通しているため、一時期ハマっていた。

 

筆者は、デジタル一眼レフはキヤノン→オリンパス→ニコンとメインで使ってきているが、ペンタックスのデジタル一眼レフも気になっていた。特に、ペンタックス初となるデジタル一眼レフ「ペンタックス*istD」は、小型で取り回しがよく、当時購入しようかかなり悩んだ記憶がある。

 

その後ペンタックスは、HOYAへ経営譲渡され、現在はリコーイメージングのブランドとなっている。APS-Cデジタル一眼レフはもちろんのこと、中判デジタルカメラ「645D」や、小さなレンズ交換式ミラーレス一眼「PENTAX Q」シリーズなど、幅広いラインアップを開発してきた。

 

そして2016年、満を持して登場したのが、35mmフルサイズのデジタル一眼レフ「PENTAX K-1」だ。ペンタックス党にとっては、待ちに待った機種といえるだろう。

 

堅牢なボディに豊富なダイヤル類

それでは、まずは本体を見ていこう。

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ボディはフラッグシップ機らしく、がっしりとしている。サイズはW136.5×H110×D85.5mm、重量はバッテリー込みで約1010g。実際に持ってみると、かなりずしりとした重みを感じる。

 

ボディは防塵防滴構造、加えて-10度の耐寒仕様。「堅牢」という言葉がしっくりくる佇まいに違わぬ仕様となっている。

 

背面液晶は3.2型のTFTカラー液晶。広視野角で斜めからでも見やすい。

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なお、この液晶はフレキシブルチルト式となっており、上下左右に動かすことができる。センターの位置が変わらないのが特徴だ。タッチパネルには非対応となっている。

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K-1の操作性でもっとも特徴的なのが「スマートファンクション」だ。モノクロ液晶の上部にある機能ダイヤルで設定した機能を、モノクロ液晶右にある設定ダイヤルで設定できる。露出補正、ISO感度、HDR撮影、ブラケット撮影など、そのとき使いたい機能を素早く使えるようになる。

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設定ダイヤル、背面のコマンドダイヤル、そしてグリップ部にあるダイヤルの3つのダイヤルで設定が行える。慣れてくると、この3つのダイヤルで思い通りの設定が行えるようになる。

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マウント部横にはAF/MF切り替えレバーやAFモード設定ボタン、ファンクションボタンなどがある。ボタン類が多いがカスタマイズすることで自分好みのカメラにできる。

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SDカードスロットは2基搭載。1枚目をRAWファイルの保存、2枚目をJPEGファイルの保存というように使い分けられる。

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搭載されているイメージセンサーは、有効画素数約3640万画素。画像処理エンジンには35mmフルサイズセンサーに最適化した「PRIME IV」を搭載。これにより、ISO204800の高感度に対応。かなり暗いシーンでも撮影が行える。

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また、ボディ内手ぶれ補正「SR II」は、世界初の5軸補正に対応。角度ぶれ、回転ぶれ、シフトぶれに対応している。この技術は画質面にも応用。イメージセンサーを1画素ピッチずつ動かして4枚連続撮影する超解像技術「リアル・レゾリューション・システム」により、1画素毎にRGB各色の色情報を取得。これが高感度撮影時のノイズ低減や、高い解像感を生み出しているのだ。

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ボディの外側だけではなく、機能的にもかなり重厚感があふれる機種。いったいどんな画像になるのだろうか。

 

高い解像感と鮮やかな色味で安心して撮影できる

作例をご覧いただこう。今回は、標準ズームレンズ「HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR」と、広角ズームレンズ「HD PENTAX-D FA 15-30mmF2.8ED SDM WR」を使用した。なお、画像をクリックすると拡大表示できるので、この解像感を隅々までじっくり見て頂きたい。

 

HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR 73mm ISO100 F4.5 1/250秒 ナチュラル
HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR 73mm ISO100 F4.5 1/250秒 ナチュラル

赤い花を接写気味に。細部までしっかりと描写されている。赤色の再現性もよい。3000万画素オーバーとなると手ぶれが気になるが、ボディ内手ぶれ補正「SR II」の効果か、あまり手ぶれに気を遣うことなく撮影できた。

 

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HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR 105mm ISO200 F5.6 1/400秒 鮮やか

カスタムイメージ「鮮やか」で撮影。淡いピンクのバラのトーンを壊すことなく、むしろ印象的に仕上げている。以前のペンタックスのデジタル一眼レフは、緑色の発色が独特だったが、この機種では割と素直な発色になっており、非常に好印象。

 

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HD PENTAX-D FA 15-30mmF2.8ED SDM WR 15mm ISO200 F5.6 1/800秒 鮮やか

この広角ズームはとても描写がよい。左上の葉の部分に偽色(輪郭上に紫っぽい色が出る現象)が見られるが、空のグラデーションや芝生の描写などは、高精細で素晴らしい。ペンタックスのフルサイズへの力の入れ具合がわかる。

 

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HD PENTAX-D FA 15-30mmF2.8ED SDM WR 15mm ISO1600 F6.3 1/30秒 鮮やか

ISO1600で室内を撮影。高感度に強いだけに、このくらいのISO感度では画質の低下やノイズ、色の乱れなどは感じられない。

 

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HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR 73mm ISO400 F6.3 1/100秒 雅

カスタムイメージ「雅」で逆光気味に撮影。暗いトーンの部分も色鮮やかに再現されている。暗い部分の色が浮かび上がるので、このようなシーンでも細部がわかるようになる。窓の外の明るい部分も粘りがあり、トーンが残っている。

 

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HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR 73mm ISO400 F6.3 1/100秒 銀残し

同じシーンをカスタムイメージ「銀残し」で。もともとはフィルムを現像するときのテクニックで、本来は取り除くはずの銀粉をわざと残してコントラストを強くし、暗い部分を強調する手法。映画などでよく使われている手法を写真にも取り入れたものだ。これをデジタルで再現している。渋い感じの独特な仕上がりとなる。

HD PENTAX-D FA 15-30mmF2.8ED SDM WR 30mm ISO12800 F8 1/1
HD PENTAX-D FA 15-30mmF2.8ED SDM WR 30mm ISO12800 F8 1/1

高感度撮影テスト。空の部分にノイズが見られるが、ISO12800ということを考えると充分実用的といえる。なおISO25600になると、ノイズが増え細部の描写が崩れ始め、ISO102400では盛大にノイズが現れカラーバランスも乱れる。ISO25600からは非常用と考えたほうがいいだろう。

 

「写真を撮っている」と実感させてくれるカメラ

丸1日、K-1で撮影を行ったが、撮影時の感触は良好。ややごついボディだが、それが逆に「写真を撮っている」と思わせてくれる。

 

実際、持ち運んでいるときは重たいなと思っていたが、そのうち慣れてしまい、あまり重さは感じなくなった。「スマートファンクション」や、各設定の変更などが快適に行なえ、撮影すること自体にストレスを感じなかったせいだろう。

 

そして、撮影した画像を見て、その画質に大満足。筆者は普段も35mmフルサイズのデジタル一眼レフを使っているのだが、それよりも大きなイメージセンサーなのではないかと思ったほどだ。

 

センサーが大きければいいとは思わない。しかし、このK-1は35mmフルサイズを超えた何かを感じてしまう。開発陣のフルサイズにかける意気込みが感じられる1台といえるだろう。

 

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ペンタックス
K-1
実売価格27万5310円(ボディ単体)
ペンタックス初の35ミリフルサイズデジタル一眼レフカメラ。超高精細の約3640万画素の有効画素数と独自の画像処理技術を搭載。5軸方向に対応するボディ内手ぶれ補正「SR II」により、ブレのない美しい写真を撮影できる。

 

【SPEC】
撮像素子:有効3640万画素 大型CMOSイメージセンサー
レンズマウント:ペンタックスKマウント
モニター:3.2型/約103.7万画素
サイズ:W136.5×H110×D85.5mm/約1010g

 

【URL】
リコーイメージング  http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/index.html
PENTAX K-1スペシャルサイト http://www.pentax.com/jp/k-1/