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2019/7/17 20:30

【ポタフェス2019夏】音質重視派ならチェックしておきたい「有線イヤホン&DAP」を徹底試聴

ポタフェスレポート後編は、有線のイヤホンとDAP(デジタルオーディオプレーヤー)を中心に紹介。有線イヤホンは同じ価格の無線イヤホンよりも音質面にコストを掛けられるため、低価格モデルでも音質重視になる傾向があります。DAPはハイエンドとハイコスパに二極化が進み、新製品が次々と登場。バランス対応モデルも増加中で、イヤホン端子は2.5mmより、耐久性があって音質的に有利な4.4mmが注目されているようです。イヤホンを手に入れたら、次はDAPを手に入れて、さらに音質に磨きをかけたいものですね。

↑GetNaviブースでは複数のメーカー人気モデルが試聴できました

 

どれにするか迷ってしまうfinalブース

純国産ヘッドホン&イヤホンブランドのfinalブースでは、最新モデルのBシリーズの比較試聴ができるとあって、行列が絶えませんでした。試聴するオススメの順番も決まっていて、まずシングルBAドライバーの「B2」(2万9800円)を試聴。中低域に厚みがあってクッキリとした音。音楽の骨格が分かる音でした。次に2BAドライバーの「B3」(4万9800円)を聞くと、先ほどより繊細な音で女性ボーカルのニュアンスなどが分かります。音色はウォームで、ワイドレンジでした。最後にダイナミック型とBA型のハイブリッドの「B1」(6万9800円)です。低域は下まで伸びた感じで、中高域は解像度が高くボーカルが目立ちそうなモデルです。3モデルの中で、私は音にインパクトのある「B2」が好印象でした。

 

ハウジングは粉末状の金属と粘結剤を混ぜて、金型を使って成型しているため、ステンレス製でありながら複雑な多面体に。B1はミラーフィニッシュ、それ以外はサンドブラスト仕上げになっています。モデルによってケーブルも異なり、finalのこだわりが感じられました。ちなみにMMCX端子でリケーブル対応です。

↑ローズゴールドのミラーフィニッシュ「B1」

 

↑付属ケーブルはOFCシルバーコート

 

↑ガンメタリックでサンドブラスト仕上げの「B2」

 

↑付属するのはOFCケーブル

 

↑フロストシルバーでサンドブラスト仕上げの「B3」

 

↑付属ケーブルはOFCシルバーコート

 

小型軽量化されたAZLA「ORTA ZWEI」

AZLAから世界初お披露目となったのが「ZWEI」(ツヴァイ)です。ハイブリッド型と思いきや、フルレンジのBAドライバーを2基積むという予想の斜め上をいくドライバー構成に驚きました。その配置や理屈はまだあきらかにされていませんが、粒立ちのいいスッキリした音で、ボーカルは近くに聞こえ、コンパクトサイズながら低音の量感もありました。

↑「ZWEI」のハウジングはスモークの半透明でフェイスプレートはグリーンでした

 

↑2BAドライバーとは思えないコンパクトなハウジングです

 

Astell&Kern「AK T9iE」はドイツのヘッドホンメーカーbeyerdynamicとのコラボモデルで、φ2.5mmバランス接続ケーブルが付属。アダプターを使ってφ3.5mmにも対応しています。前作の「AK T8iE」よりも小型化された新設計のハウジングを採用して装着感が向上しました。beyerdynamicならではの繊細で透明感があり、解像度の高い音が魅力です。

↑「AK T9iE」も小型軽量化されデザインも一新されました

 

長蛇の列の先にAstell&Kernの新フラッグシップ「A&ultima SP2000」

アユートブースで最も人気があったのがAstell&Kernの試聴コーナー。旭化成エレクトロニクスの電流出力方式DAC「AK4499EQ」を搭載したDAPの新フラッグシップモデル「SP2000」(47万9980円)に、パワフルな専用アンプ「SP1000AMP」(10万9980円)を搭載した「SP1000」(49万9980円)、そして小型軽量化された「SP1000M」(29万9980円)が比較試聴できるという贅沢な環境でした。

↑Astell&Kernのハイエンドシリーズがずらりと並びました

 

高解像度な「SP2000」、中低域に厚みがあってウォームな音色の「SP1000+SP1000 AMP」、輪郭がクッキリして粒立ちのいい「SP1000M」と音の違いも明確でした。まあ、気に入った音が見つかっても、おいそれと購入に踏み切れる価格ではありませんが夢を見るのは自由なのです。

↑「SP1000AMP」はDAPと一体化して接続端子は下部に移動します

 

Questyleからも新フラッグシップDAPの「QPM」が参考展示されました。ピュアクラスAのフルバランスアンプを搭載して、4.4mmバランス接続に対応。サイズはほぼ「QP2R」と同じで、カラーはブラックでした。バランス接続で聞くと、分離が良く左右に広がり感があり、低域は量感がありながらだぶつきません。音色はウォームでなめらか、ほっとする音でした。価格は未定ですが、本国では2000ドル前後で販売されているそうです。

↑「QPM」はマットブラック仕上げでした

 

↑トップにφ3.5mmに加えてφ4.4mmバランス接続端子があります

 

FiiOからは超小型の「M5」と多彩な機能が自慢の「Q5s」が登場

FiiOで目をひいたのが超小型DAPの「M5」です。発売は夏で価格は1万円台になるそうです。5色のカラーバリエーションがあり、1.54インチのタッチスクリーンで操作します。DACは旭化成エレクトロニクスの「AK4377」を採用してDSD/5.6MHzのネィティブ再生に対応。BluetoothはAAC、aptX、aptX HD、LDACにも対応しています。

 

またUSB Type-C端子でデジタル出力が出せるだけでなくUSB/DAC機能もあり、小型軽量ボディに驚くほどの多機能を結集しています。ほぼ量産品と同等という試聴機はメリハリの効いた音でした。連続再生13.5時間で、対応メディアはmicroSDカードで最大2TBまで使えます。これでU2万円なら、かなりのハイコスパモデルと言えるでしょう。

↑コンパクトで多機能なFiiO「M5」

 

↑底面にはUSB Type-C端子とmicroSDスロットを装備

 

「Q5s」は多機能なDAC内蔵イヤホンアンプで、アンプ部がモジュール方式で交換できるのがポイントです。DACは「AK4493EQ」を2基使い、PCM768kHz/32bit、DSD/22MHzに対応します。BluetoothチップはCSR8675です。AAC、aptX、aptX HD、aptX LL、LDAC、LDCHなど現行のすべてのオーディオコーデックに対応します。2.5mmと4.4mmバランス接続端子と3.5mmのアンバランス接続端子を搭載した「AM3E」というアンプモジュールを搭載しています。デジタル入力はmicroUSB、光、同軸を装備。ラインは入出力を備えています。

↑FiiO「Q5s」は高級感あるデザインに仕上がっています

 

クラウドファンディング発の小型DAC「Spectra X/X2」

クラウドファンディングのGREEN FUNDINGのブースには、スティック型DACアンプ「Spectra X」が登場。USB-CまたはUSB-A端子に接続してD/A変換をおこないます。DACにはESS「SABRE 9018Q2C」を採用。「Spectra X2」はLightning端子を装備したiPhone用で、DACは上位機種の「SABRE 9118Q2C」を搭載しています。このタイプの製品はApple純正品も含めて何種類か聞いたことがありますが、そのなかでも群を抜いた高音質でした。iPhoneとは思えない、粒立ちが良く解像度の高いやや硬質な音で、Bluetoothより有線のほうが音がいいと再認識させてくれました。

↑「Spectra X」のUSB Type-Cモデル

 

MHaudioが作ったのは真空管ハイブリッドアンプで、ヘッドホンアンプも搭載された「UA-1」です。このサイズで本格的真空管アンプを作るのは無理なので、プリアンプを真空管駆動にして、パワーアンプは半導体アンプを使ったハイブリッド方式を採用。真空管は1本しかありませんが、これは双三極管と呼ばれ1本でステレオ信号に対応するため内部に三極管が2本入った構造になっています。具体的には12AU7という真空管を使用。この真空管を別のブランドと交換するだけでも音色の違いが楽しめます。

↑DAPのライン出力を「UA-1」にステレオミニ端子のケーブルで接続しています

 

サイズは幅90×高さ90×奥行き148mm、約560gと手のひらサイズで、出力は6.5W+6.5W。対応スピーカーは4〜8Ωです。入力は3.5mmのステレオミニか、RCAピンに対応。またハイレゾ対応ではありませんが、USB入力も備えています。電源は専用のACアダプタを使用。小型サイズの真空管プリアンプは存在しますが、プリメインアンプは貴重です。

 

さらに中華モデルは市販ケースに穴を開けて真空管を立てたようなデザインですが、本機は専用設計で国内生産のため、金属シャーシ、プロテクトハンドル、フロントパネル、ボリュームツマミの加工精度と仕上げが素晴らしく見ているだけでもワクワクする製品に仕上がっています。ヘッドホンアンプはウォームな音色で真空管らしい華やかな響きも楽しめました。

↑背面にはUSB入力とDC IN、バナナプラグ対応のスピーカー端子があります

 

流行りのワイヤレス製品から、音質重視の有線モデル、DAPに真空管アンプと、様々なアイテムがズラッと並んだ今回のポタフェスは、オーディオ好きはもちろん、どのイヤホンを買おうか迷っている初心者でも楽しめる内容となっていました。次回の開催は12月の予定となりますので、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

【ギャラリー】

 

 

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