その3.NUARL「NT01AX」
3社目はOEM生産も行っているメーカー「NUARL」(ヌアール)が作ったガチモデル「NT01AX」です。プレゼンしてくれたのは、同社の坂井弘さん。
坂井「早速ですが、ポイント1は本機のほぼ全てが専用設計であることです。弊社はOEMでイヤホンを作っていますが、通常の製品は基本モデルをカスマイズして作ることが多いんです。この方法ならノウハウがなくても完成度の高い製品ができます。その反面、他のブランドの製品と外見が似てくるという弱点があります。しかし、NT01AXは、ドライバー、回路基板、バッテリー、イヤーピース、フェイスプレートまでが専用設計です。残念ながらハウジングは基本モデルを使っているので似たデザインのものがあるかもしれませんが」
小岩井社長「このフェイスプレート、ひよこまんじゅうみたいでカワイイ!」
坂井「側面は外注のデザイナーに発注して金型をおこしています。仕上げはメッキです。メッキは金属を使うのでBluetoothの電波感度が下がりますが、感度の下がらないメッキを採用しています。ブラックの部分はマットのメッキです。ドライバーも特注で、音がイヤホンの外まで広がるような感覚の『HDSS』を採用しました。ポイント2は、音途切れのない長時間再生です。BluetoothのチップはクアルコムのQCシリーズ『QCC3026』を使っているので接続の安定性と連続再生10時間以上の長時間再生ができます」
小岩井社長「連続再生10時間は他メーカーとのバチバチポイントですね」
坂井「ポイント3は使い勝手の良さです。操作ボタンをタテ位置にして押しやすくすると同時にフェイスプレート側面に触れても誤作動しないようになっています。また、再生中はLEDを点灯させません。電源操作不要で出したらON、ケースに収納したらOFF、そして充電完了後は自動停止してケースのバッテリーを消耗しません。IPX4の生活防水、aptX対応です。もし、片方落としたら、保証期間内であれば1回だけ8000円で新品のワンペアと交換します」
小岩井社長「ホントに落とされる人いますか?」
坂井「1日1人ペースで申し込みがありますね」
と、ここでジャッジタイムに。小岩井社長のジャッジは……?
小岩井社長「採用! わたし、自作PCも好きなので、チップセットの品番とかそういうのにときめいちゃいます」
司会「小岩井社長、ここまで3社すべて採用となっていますが……」
小岩井社長「裏でも編集担当さんに『自由にやってください』と言われたので、本当にガチなんですよ! 忖度は一切ありません!」
その4.Owltech「SAMU-SE03」
PC周辺機器なども手掛ける「Owltech」(オウルテック)からは、アフロのカツラをかぶった安藤省吾さんが登壇。プレゼンする「SAMU-SE03」は、クラウドファンディングMakuakeでプロジェクトを実施し、100%達成までにわずか1日半。そして最終的には1000%を超える金額を集め、現在7980円で予約販売されている完全ワイヤレスイヤホンです。
安藤「弊社は自作PC用の電源ユニットSeasonicなどを作っています。ちなみにこの会場にオウルテックをご存じの方っていらっしゃいますか?」
ここで会場の方にアンケートをとってみると、なんと3分の1近くの人が知っていると挙手をしてくれました。この結果には安藤さんも思わずビックリ。
安藤「こんなこと初めてです! いつもアウェイなので、なんか感動しました。出てよかった!」
小岩井社長「わたしももちろん知ってましたよ。ところで、今回プレゼンしてくれるイヤホンは、どういうものなんですか?」
安藤「今回の『SAMU-SE03』は、ナナキュッパ(7980円)という低価格を実現していることが1番のポイントです。ポイント2は、左右両方にそれぞれ2ボタンで操作しやすいこと。再生と停止、送るは右、戻るは左とか、音量をあげるのは右、下げるのは左とシンプルで分かりやすいんです。ポイント3は耳の小さな人にもピッタリはまる小型軽量なデザインです」
時間も押しており、ここでジャッジタイムに。ドラムロールのあとに小岩井社長が出したのは……?
小岩井店長「実はこのイヤホン、安~いと思って、ついうっかり一昨日、買っちゃいました。だから採用!」
その5.オーディオテクニカ「ATH-CKS5TW」
最後に登場したのはオーディオテクニカの松永マネージャーです。プレゼンする製品は、今回ポタフェス会場でも話題を呼んでいた「ATH-CKS5TW」。前半でも登場したのでプレゼンの必要はないと思うのですが、そこんとこ深掘りしてみましょう。
松永「ポイントその1は、ワイヤレスを超えた圧巻の重低音。その秘密はドライバーにあります。とにかく試聴していただければビックリすると思います。隣のブースで体験できますから、この後、ぜひ聴いてみてください。12mm径のダイナミック型で硬さの異なる素材を使った振動板を使うことで、重低音だけでなく中高音もスゴイんです」
松永「ポイントその2は、イヤホンだけで15時間連続再生、ケース込みで45時間の長時間再生で、こまめな充電が不要なこと。ポイントその3は、耳にフィットする安定した装着感です。大口径ドライバーを採用したので、片耳8gになったハウジングをシリコンイヤピースと3Dループサポートでしっかり支えます。必要なければサポートは外すこともできます。イヤピースはちょっと短めの専用設計で、遮音性が高く、放射状になっていて音ヌケがいいんですよ」
小岩井店長「これだけのスペックで、実勢価格1万7000円前後というコスパぶりがいいですね。ケースの開閉音はパチッと高すぎず低すぎずクラリネットのような音でした」
ここで最後のジャッジメントタイム。果たしてすべての製品が採用になるのか、注目が集まります……
小岩井社長「うーん、採用! やっぱりこれはみんなに聴いてほしいな」
結局、登場した製品、すべてをガチで「採用」にしてしまった小岩井社長でしたが、オーディオを愛し、真剣にジャッジをする小岩井社長の姿勢に観客のみなさんも拍手を送っていました。メーカー5社のプレゼンもそれぞれに個性があって楽しいステージとなりました。
ステージの最後には、後半に登場した5つの製品に小岩井さんのサインを書いてそれぞれ1名にプレゼントするというスペシャル企画が。その場で抽選券を引き、当選者が確定しました。プレゼントは後日発送されるとのこと。当選された5名のみなさん、おめでとうございます!
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