AV
2019/7/31 17:00

最小スペースで使えるプロジェクター「CineBeam HF85LS」が起こした「5つの暮らしの変化」

近年、大画面志向が著しいテレビを越える選択肢としてプロジェクターが注目を集めています。テレビでは難しい100型を超える大画面を手軽に実現できるのがその魅力。しかし、設置には大きなスペースやスクリーンが必要など、一般家庭にはあまり現実的な選択肢ではありませんでした。そんな中、にわかに注目を集めているのが、極めて短い距離で大画面を投影可能な超短焦点プロジェクター。今回はそうした製品群の中から、LGエレクトロニクスが先日発売したばかりの「CineBeam HF85LS」をレビューします。

 

↑20cm距離で最大120インチの投影が可能なHF85LS。実売価格は18万7790円

 

そもそも「超短焦点プロジェクター」って何?

超短焦点プロジェクターとは、レンズなどの光学系の工夫によって短い投影距離で大画面を表示できるプロジェクターのこと。一般的なプロジェクターの場合、120型サイズの映像を投影するためには約3~3.5mの距離が必要となりますが、HF85LSは、壁からわずか20cmの距離で120型、8cmの距離で90型の映像を投影することができます。

 

では、そうした大画面は暮らしにどんな潤いを与えてくれるのでしょうか? テレビはほとんどリアルタイム視聴せず、主にDVD/BDとネットの動画配信サービスで映画やアニメを視聴する、ひとり暮らしの筆者視点で実生活におけるメリットと変化を紹介していきましょう。

 

HF85LSのスペック・機能をより知りたい人はコチラ

 

【変化その1】壁紙をスクリーンに、大画面を共有する機会が増えた

プロジェクターの映像を最高の画質で味わうには、白く平滑な専用スクリーンが必要とされています。超短焦点プロジェクターはほぼ真下から投影するためスクリーンに投影すると画面が歪む可能性があるため、スクリーンなしの壁紙直投影がおすすめ。超至近距離で投影できるため広い部屋でなくても使えるのもポイントです。

 

↑この至近距離で設置して投影できるので、6-8畳程度の部屋でも大画面が楽しめます。また設置上、子どもやペットが横切って投影を遮る心配がないのもうれしい

 

ほとんどの壁紙は表面に細かい凹凸があるのですが、実際に使ってみると、大画面のインパクトの方が大きく、実感としてそこまで気になりません。それよりもスクリーンを別途購入・設置する必要がないこと、使う場所が固定されないメリットの方が大きいでしょう。またHF85LSは非常に明るく、高コントラストなので、壁紙直投影で多少画質が損なわれても十分にきれいだと感じました。

 

実は筆者は割とハイグレードなプロジェクターとスクリーンを所有しているのですが、スクリーンを展開したり、接続している機器をセッティングしたりするのが面倒で最近はあまり使わなくなっていました。が、HF85LSは起動時間も約10秒程度と高速で(我が家のプロジェクターは1分近く待たされます)、カジュアルにプロジェクター生活を楽しめるようになりました。

 

これだけ手軽に大画面が作れると、もちろんひとりで大画面を楽しむのもいいのですが、ちょっと人を呼んで映画を一緒に楽しんだり、旅行の思い出を共有したくなります。スクリーンやスペースなど準備するものが少ないので、「人を呼んでみよう」と思うことにフットワークが軽くなるんです。

 

↑一緒に行ったキャンプの思い出を酒のアテに、友人と盛り上がったりするのもいいでしょう。もちろんひとり暮らしの部屋ではなかなか手に入らない画面サイズで、一緒に映画を楽しむのもおすすめ

 

↑コンテンツに合わせた表示モードも多彩に用意。映画を観るときはシネマモードに切り替えると、しっとりとした良い感じの画質にしてくれます

 

【変化その2】「リラックスして観る」生活があたりまえになった

今やテレビは、一家に1台どころか、各部屋に1台が当たり前。しかし、大きなテレビが置かれているのはリビングだけで、書斎やベッドルームに置かれているテレビはせいぜい26~32型といったところではないでしょうか。そこで今回はあえて寝室でHF85LSを使用。ベッドサイドの壁に約80型サイズの映像を投影してみました。

 

 

どうですこの迫力。何年か前にベッドに寝転がりながら映画を観られるシアターの写真がSNSでバズったことがありましたが、まさにそんな感じで映像を楽しめました。大型テレビをさらに上回る大画面が生み出す没入感はとにかく圧倒的。プロジェクターが部屋を暗くして使うものだということもあって、まるで映像の中に入りこんでしまったかのような感覚で映画などのコンテンツを満喫できました。

 

そして、ここで重要なのが、寝室のような狭い場所(我が家の寝室は6畳弱です)でも気軽に設置できること。横になりながらこんな大画面で映画を観たことはないのですが、「いつ寝てもいい」くらいのリラックスな環境で楽しめるのは、なかなか味わったことのない快感でした。

 

↑プロジェクターから投影された映像を凸型のミラーで反射させることで、超短距離での大画面投影を可能にしています

 

↑本体内蔵スピーカーは、大画面に負けない大音量に対応。映画やゲームなどを大迫力に楽しめました

 

【変化その3】積極的にたくさんのコンテンツを大画面で楽しむようになった

HF85LSは、本体背面にHDMI端子を備えており、DVD/BDプレイヤーやゲーム機などを接続して利用できます。また、USB端子も搭載しているので、USBメモリーや外付けHDDに記録した写真・動画データの再生にも対応。映画を観たり、デジカメで撮った写真を表示したり、さまざまな使い方ができます。

 

↑HDMI端子、USB端子はそれぞれ2系統搭載しています。ほか、有線LAN端子や、AVアンプなどに接続するための光デジタル音声出力端子、ヘッドホン端子を用意。USBメモリーに入れた画像・動画データなどをすぐに投影できるのも便利です

 

↑流行りの「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」など、ミニ版ゲームハードならスペースを埋めることなくプレイできる

 

近接投影だけでなく、さまざまなコンテンツがほぼスタンドアローンで楽しめるのは、それだけでスペースを圧迫しないもの。さらにWi-Fi、有線LANを使ったネットワーク接続にも対応。ホームネットワーク上のDLNA対応機器やスマホなどから映像を伝送したりもできます。いちいち外部機器と接続しなくていいので何か観たいものがあったら、「とりあえずプロジェクターに写そう」とすぐに思えたのは発見でした。映画や動画はもちろん、ちょっとした写真や資料も大画面のほうが観やすいので、使ってるうちにたくさんのコンテンツを投影するようになりましたね。

 

HF85LSのスペック・機能をより知りたい人はコチラ

 

【変化その4】YouTubeやウェブをよく観るようになった

プロジェクターというか、テレビも含めたAV機器全般に言えるのがボタン式リモコンを基本とした旧態依然としたストレスフルな操作感です。その点、HF85LSは、LGエレクトロニクスのテレビなどでも好評な「webOS」というLG独自のOSとマジックリモコンによる快適操作を実現。とりわけマジックリモコンの操作性は良好で、まるでテレビ画面上でマウスを操作しているかのような感覚で使えます。

 

結果として、これまでテレビなどではほとんど観ることのなかったYouTubeをよく利用するように。YouTubeはテレビのリモコンで操作するにはサービス内容が複雑なのですが、マジックリモコンならPC感覚で利用できます。さらにスマホに専用アプリをインストールすれば、スマホでも操作できるようになるので、マジックリモコンとの併用でさらに便利になります。

 

 

↑LGエレクトロニクス製品ではおなじみのwebOS 3.0を搭載。機能をタイル上にまとめ、グラフィカルなUIで操作できます。キビキビとした操作感が気持ちイイ

 

↑マジックリモコン。一見すると普通のリモコンですが、モーションセンサーが内蔵されており、指揮棒を振るような感覚で画面上のカーソルを動かすことができます

 

↑特に便利なのが文字入力時。リモコンで文字入力をやろうとすると非常にイライラするのですが、マジックリモコンならすいすいタイピングできます

 

また、家でウェブブラウジングするときはもちろんPCなのですが、仕事をするメインPCを置いている部屋はまたリビングとは別で、部屋の移動が多くて面倒なことが多いんです。でも、webOS経由でプロジェクターからウェブブラウジングする機会も増えました。

 

↑YouTubeと同じく、テレビリモコンでは使う気になれなかったWebブラウジング機能もマジックリモコンなら快適です

 

テレビでは現実的に叶わなかった、スマホやPCでのコンテンツ閲覧を担えるのもHF85LSの魅力でしょう。

 

【変化その5】ビジネスシーンでもプロジェクターをもっと使うように

もちろんHF85LSは私のようなフリーランスでのビジネスにも有効です。ビジネスパートナーとリビングに資料を投影して打ち合わせなんてことにも使えるし、もちろん狭い会議室でも使えます。持ち運びも簡単なので、普段は収納に置いておき、必要に応じて使う部屋に持っていくという使い方が便利でしょう。

 

↑会議室での利用イメージ。超短焦点のため、画面の前に手や身体を出しても影にならないのは大きなメリットだと感じました

 

ほか、HF85LSは、USBメモリーなどに保存されたWordやExcel、PDFなどのビジネス文書を単体で表示する機能も用意。PCなしでもプレゼンが行えます。

 

↑Wi-Fiを使って、対応スマホ(Androidのみ)やPCの画面をワイヤレス表示できるのも便利なところ

 

同じくLGエレクトロニクスのプロジェクターシリーズには、より携帯性に特化したモデルもラインナップしています。

 

↑RGB LED光源採用の「HF65LS」は、38cm距離で最大100型までの投影ができる。質量が約1.9kgと携帯性も兼ねたモデル

 

【まとめ】ちょっとしたスペースで100型以上が楽しめると、コンテンツとの接し方が変わる

約1週間ほどHF85LSを試用してみて思ったのは、画面が大きいとそれだけで興奮できるということ。もちろん、そう思えるのはHF85LSの画質が良好だから。特に明るさと発色の良さはこのサイズのプロジェクターとは思えないレベルでした。超短焦点プロジェクターではまだあまり多くないフルHD解像度(1920×1080ドット)に対応しているのがやはりうれしい。映画など、BDビデオ作品のポテンシャルをフルに発揮できます。

 

超短焦点プロジェクターによる大画面環境が我が家にやってきたことで、私とコンテンツの関わり方は明確に変わりました。一番はやはり、映画やYouTubeなどのコンテンツを寝室でベッドに寝転がりながらHF85LSで観る時間が増えたことでしょう。映画以外にも撮影したデジカメ写真を再生したり、いろいろなことに使っています。

 

また今回、せっかくなので友人を招いて映画鑑賞宅飲みをやってみたのですが、みんな、この大画面には驚いたようです。9月のラグビーW杯や、来年の東京五輪などといったスポーツイベントをHF85LSで視聴するのも楽しそう(テレビチューナー内蔵のレコーダーなどと繋げば試聴可能)。ほか、さまざまな形で「映像のある暮らし」をより豊かにしてくれそうです。ここに来て、急激に盛り上がりつつある、超短焦点プロジェクター。映像を大画面で楽しむためのあらたな選択肢として、要注目です。

 

【製品情報はコチラ】

HF85LS製品ページ

 

撮影/中田 悟