ネインが販売する「Zeeny TWS」は、TWS Plus規格に対応する完全ワイヤレスイヤホンだ。SiriやGoogleアシスタントなどの音声アシスタントと連携できるほか、スマートフォンの時報や通知の読み上げ機能といった独自機能が利用できる。本記事では同機を数日間使用してみた感想をお届けしたい。
「True Wireless Earphone Zeeny TWS」1万5000円(税別)は、もともとクラウドファンディングサイトの「Makuake」で資金調達をしていた製品。2019年6月から一般向けの販売が開始されており、公式オンラインショップ「Nain Store」のほか、家電量販店や大手ECサイトで購入できる。
充電器を兼ねたケースは筒状になっており、カバーをスライドさせるとイヤホン本体を収納できる。ケース側面はシボ加工された合皮で、安っぽさは感じず、手触りも優しかった。底面にはマイクロUSBのコネクタがあり、ここにケーブルを挿入して充電を行う。同面に4つの青いインジケーターがあり、ケースの充電量を確認できる。
初期設定には少し手間がかかった
本記事では「iPhone XS」にZeeny TWSをペアリングして使ってみた。スマートフォンに「Zeeny」アプリをインストールし、アプリ内の指示に従って操作を行う。
具体的には、ケースに収納したまま両イヤホンのボタンを長押ししてリセット。その後、ケースから取り出して、それぞれボタンを2度押しする。LEDが放つ光がボタンの隙間からわずかに見えるので、「L」側のイヤホンが赤白に点滅を繰り返す状態になったらペアリングの準備が完了だ。iPhoneの「設定」アプリからBluetoothを有効にして、同機を接続する。
筆者が試みた範囲では、数回ペアリングに失敗。4~5回繰り返し試みたところでなんとか成功した。Bluetooth接続を必要とする製品にはありがちな話だが、初期設定は「AirPods」などのApple純正品に比べるとやや難易度は高めだ。一方、一度初期設定が済んだあとは、安定して接続し続けたので利用するスマートフォンを頻繁に切り替えるようなことを想定していないのであれば、特段問題はなく、安心して利用できるだろう。
イヤホンの操作について
イヤホン自体はカナル型で、本体は大きめのどんぐりくらいにずんぐりした形状をしている。イヤホン装着時には、ボタンを押すことで複数の操作が行える。1度押しは「楽曲の再生・停止」。これは「L」「R」のどちらとも対応だ。一方で、2秒長押しは「Siriの起動」、2度押しは「現在時刻・次の予定・バッテリー残量の確認」となる。これらは「L」のみで実行できた。
例えば、イヤホンを装着し「LかR」を1度押しすると音楽が再生される。その状態で、「L」を2度押しすると再生していた楽曲の音量が下がり、かなり自然な音声(女性風の声)で、「ただいまの時刻は10:30です。次の予定は11:30より『移動』です。バッテリー残量は100%です」のように情報を確認できる。
ただし、このバッテリー残量の読み上げについてはあまり正確ではなく、iPhone側のウィジェットで確認できる残量と、同機能で読み上げられる残量はズレていた(というか常に「100%です」と言われた)ため、本レビュー時点ではあまり参考にならなかった。
Siriを利用する場合には、Siriが起動するまでに数秒のタイムラグがある。焦らずに「ポンっ」とSiriが起動した音を確認してから声で操作するようにしよう。例えば、「~に電話」のような指示をして特定の連絡先に発信できる。ペアリングができている範囲なら、iPhoneを離れた場所に置いていても、イヤホンだけで通話可能だ。「L」のボタンを押すことで通話を終了することもできた。
アプリからいくつかの機能をカスタマイズできる
Zeeny TWSは、Bluetooth5.0に対応しており、楽曲の再生以外にも安定したデータ通信が利用可能。同機の場合、通知の読み上げ機能や、時報のような独自機能が備わっている。例えばLINEから通知がきた場合には「LINEからの通知、井上太郎、こんにちは」のように内容が読み上げられた。
また、特定の時刻やバッテリー残量になったときに、それを音声で通知してくれる。「ただいまの時刻は11:00です」のような具合だ。筆者の場合、音楽を聴きながら執筆作業をしているとついつい時間の経過を忘れてしまうことも多いので、この機能はありがたい。
これらの機能は「Zeeny」アプリからカスタマイズできる。「ホーム」タブでは今までに受け取った通知の一覧が表示されるので、この画面で読み上げをしない通知を選択可能だ。
そのほか、「サービス」タブでは、アプリ通知やバッテリー、時刻、スケジュールの読み上げを行うかどうかをカスタマイズできる。「アプリ通知」と「時報」に関しては、読み上げるアプリの管理や、時報の間隔なども調整可能だ。
「Spicetone」タブでは、簡単なイコライザー機能が用意されていて、「NORMAL」「DOGENZAKA」「UDAGAWA」「JINNAN」「SHIBUSAN」といったエフェクトを選択できる。そして、「設定」タブでは、読み上げの再生速度などを調整できる。
音質も重低音がしっかりしている
利用者の耳にもよるだろうが、筆者が数日間使ってみたインプレッションとしては、Zeeny TWSは密閉性が高く、フィット感も良く感じた。スピーカーのドライバーはφ6mm dynamicを搭載しており、そのサウンドは低音から高音までバランスよく、かつ重厚感のある印象だ。
音声コーデックは「Qualcomm aptX」「AAC」「SBC」「HDSS」に対応。Bluetoothプロファイルは「A2DP」「AVRCP」「HFP」「HSP」に対応する。音声アシスタントが便利なのはもちろんだが、幅広いデバイスと連携でき、音質にこだわる人でも納得できる製品に仕上がっていると思う。
ただし、ちょこちょこと通知や時報が再生されると、音楽に浸っている世界から現実に引き戻される感じはあった。どっぷりと長時間音楽に浸りたい場合には、設定に注意しないといけない。
しかし、これも言い方次第で、逐一通知を読みあげてくれることで、ビジネスシーンで「スマホの振動」 → 「通知を確認」という煩わしい動作の手間を省いてくれる点は便利だと感じた。特に、時報や予定の読み上げは、音楽に浸る自分と現実の作業との距離感をちょうど良く保ってくれる。作業用BGMを聴きながら勉強や仕事をすると捗るという人にはおすすめだ。
また、IPX7の防水に対応しているので、ジムなどでワークアウトをする際にも便利だ。実際に装着したまま軽く走ってみたが、筆者の耳ではイヤホンが外れそうになることはなかった。また、ある程度、周囲の音も遮断されるので、電車通勤などで英語のリスニングをするといった用途にも使いやすいと思う。
ちなみに、連続再生時間は公称値で最大約9時間。筆者が平日の朝8時頃から夜20時頃まで途切れ途切れで使用してみたが、イヤホンのバッテリーは余裕で持った。おそらくiPhone XSの方が先にバッテリーが無くなると思う。さらに充電ケースに入れることで充電も複数回行えるので、数日間の旅行や出張に携帯して使用しても問題なく使えるだろう。
もし、時報や通知の読み上げ機能に魅力を感じたならば、本イヤホンの購入を検討してみる価値は十分にあると思う。
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