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2019/10/15 22:00

QCを買うべきか、この新しいノイキャンを買うべきか?Bose「Noise Cancelling Headphones 700」ガッツリレビュー

筆者は長年、BOSE(ボーズ)のBluetooth対応アクティブ・ノイズキャンセリングヘッドホン「QuietComfort」シリーズを愛用してきたユーザーです。今年、そのボーズからQuietComfortシリーズではない最新モデル「Noise Cancelling Headphones 700」が発売されました。大きく変わったノイズキャンセリング機能の実力とデザイン、機能性をユーザー目線でレポートしたいと思います。

↑「Noise Cancelling Headphones 700」(4万2500円/税抜)

 

ノイズキャンセリングのレベル調整、外音取り込みに対応

ボーズのNoise Cancelling Headphones 700(以下:NCH700)はヘッドホンの新シリーズです。QuietComfortシリーズも当面は併売されるようなのでファンの方はご安心を。ただ、NCH700はQuietComfortに追いつき、追い越すほど魅力的なヘッドホンです。

 

NCH700がQuietComfortから大きく変わっている点はふたつあります。ひとつはアクティブ・ノイズキャンセリング機能が進化しています。

 

QuietComfortシリーズの最新モデルである「QC35II」もノイズキャンセリングのレベルを高・低・オフの3段階から選べる仕様になっていましたが、新しいヘッドホンのNCH700はモバイルアプリの「Bose Music」から消音効果を0〜10までの11段階で選べるようになっています。

↑Bose Musicアプリからノイズキャンセリングの強弱など各設定を行います

 

アプリからはノイズキャンセリングの「お気に入り設定」として、3つのプリセットに0から10まで好みのセッティングを登録後、本体左側のボタンを押してすぐに呼び出せる機能も追加されました。さらにボタンを長押しすると、聴いている音楽再生を一時停止して外音を取り込む「会話モード」に素速く切り替わります。

↑消音効果は全11段階から選択可能。外音取り込み、会話モードも新設されました

 

ノイズキャンセリング機能の効果はQC35IIよりも自然に感じられるようになったと思います。効果を最大レベルの「10」にした状態でも耳にかかるプレッシャーが低く抑えられていて、低域にうずまくエンジン音やエアコンのファンノイズ、金属をこすり合わせたような甲高いノイズ、人の話し声まで種類が異なる騒音をきれいに打ち消してくれます。もし消音効果が効き過ぎるように感じられる場合は「4〜6」ぐらいのレベルに抑えた設定を“お気に入り”に登録して使い分けるとよいでしょう。電車やバスを降りて、屋外を歩きながら音楽を聴くときには外の音が聞ける「0」に素速く切り替えられるよう、こちらもお気に入りにプリセットしておくと便利です。

↑消音レベルを4から6あたりに設定すると適度に外の音を取り込みながら音楽を聴くことができます

 

デザインはスリムに。快適な装着感はそのまま

もうひとつ、QuietComfortから大きく変わった点は本体のデザインです。NCH700の外観はよりスリムになった印象を受けました。

 

イヤーカップを外側から支えるアームをスライドさせてかけ心地を調整します。柔軟に曲がり、柔らかいクッションを内側に設けたヘッドバンドは頭部にピタリとフィットして、素直で心地よい装着感が得られます。本体の質量はQuietComfortに比べてNCH700の方がわずかに目方が増しているのですが、本体を手に持ってみてもそうは感じられないから不思議です。飛行機の旅などで長時間身に着けていても疲れる感じがしませんでした。

↑QC35II(左)とNCH700(右)

 

ひとつNCH700のデザインに関わる点で筆者が不満に感じたのは、QC35IIのように本体をコンパクトに折りたためなくなったことです。付属するキャリングケースにはイヤーカップを回転させて、本体をフラットな状態にして収納します。

↑本体がコンパクトに折りたためたQC35II(左)に対して、NCH700(右)はイヤーカップを回転させてフラットな形状までにしかなりません

 

ケースは頑張って厚みを抑えたサイズに仕上がっており、ケーブルを収納するためのポケットも機能的に配置されているので、使ってみるとそれほど気にならなくはなってくるものの、やはりいまどきのトレンドを考えると折りたたみ機構はなくさないで欲しかったと思います。

↑スリムなキャリングケースに収納する仕様としています

 

リモコン操作はタッチセンサーとボタンを使いやすく配置

最新ヘッドホンのNCH700から右側イヤーカップの前半分にタッチコントロールリモコンが内蔵されました。ダブルタップで音楽の再生・一時停止、上下スライドで音量変更、左右スライドでトラック送りになります。長押しはショートカットとして、バッテリー残量の音声ガイドによる確認か、またはボイスアシスタントを起動する際のウェイクワードの有効・無効化の選択に割り当てることができます。タッチ操作への反応は過敏すぎず、タッチエリアをイヤーカップの前半分に限っているためか誤操作が発生しにくいので、使い勝手はとても良いと思います。

↑右イヤーカップの側面がタッチコントロールリモコンになっています

 

ボイスアシスタントの起動は右イヤーカップの側面に独立配置した音声アシスタントボタンから起動する仕様としています。QC35IIの時には左側面のアクションボタンをノイズキャンセリング機能のレベル変更、または音声アシスタントの起動のどちらかに割り当てる仕様だったため、ボタンが独立したことでより音声アシスタントも使う機会が増えそう。

↑イヤーカップの側面には電源、ノイズキャンセリングのオン・オフ、音声アシスタントボタンがあります

 

パッケージに付属するヘッドホンケーブルを使えば有線リスニングも可能です。先ほど触れたキャリングケースに設けられているポケットにはヘッドホンケーブルと充電用のUSB Type-Cケーブルを一緒に入れられるので便利です。

 

音質にも確かな進化の手応え

音質はiPhone 11 ProにBluetoothで接続してワイヤレス環境で試聴聴してみました。オーディオコーデックはSBCのほかAACにも対応しています。

↑iPhone 11 Proに接続してサウンドを確かめてみました

 

QC35IIよりも全体に音のまとまりが良くなって、中低域の押し出しもスムーズさが増している印象です。音場の広がりが増しているので、楽器やボーカルの立体感もグンと高まり、リアルな音楽のリスニング感が向上しています。ドラムスはシンバルやスネアの繊細な音色の粒立ちがとても鮮明で、きめ細かな余韻の階調表現力はQC35IIよりも上がっていると感じました。

 

アップテンポなロックの低音は弾力にも富んでいて、一気に立ち上がるスピード感をとても心地よく味わうことができました。音楽だけでなく、映像コンテンツの迫力あふれる効果音、繊細なダイアローグの再現力にも確かな進化を実感できました。

 

Bose Musicアプリを開くとホーム画面に「Bose AR」というメニューがあります。こちらは音声によるAR/拡張現実コンテンツが楽しめるボーズ独自のプラットフォームサービスです。開くと「Bose ARアプリ」がフィットネス/トラベル/エンターテインメントの3つのテーマに分けられていて、いくつかのアプリが並んでいます。どれもが英語にしか対応していないのが残念ですが、いずれBose ARのコンセプトとサービスを日本でも体験できる機会を楽しみに待ちましょう。

↑Bose ARアプリはまだ英語のもの、あるいは日本では使えないものしかないので、今後の日本語化を期待したいところ

 

ボーズのNoise Cancelling Headphones 700はQC35IIのユーザーがもう1台、アクティブノイズキャンセリングヘッドホンを買い足す価値があるほど、見た目以上に多くの所で立派な革新を遂げたヘッドホンだと思います。先駆者であるボーズが発売した多くの音楽ファンを納得させるであろう渾身の「次世代のオーディオ用ノイズキャンセリングヘッドホン」は、とても満足度の高い買い物になりそうです。

 

【ギャラリー(GetNavi webでご覧いただけます)】

 

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