音楽ストリーミングサービスのAmazon Musicがロスレス音源に対応しました。6500万曲以上をCD音質のHD(High Definition)、その中の数百万曲は、さらに高音質なULTRA HD(Ultra High Definition)で配信するサービスで、Amazonプライム会員なら月額1780円、プライム会員以外は月額1980円で楽しめます。
これは画期的な出来事です。従来のサブスクの音楽配信サービスは、月額1000円以下の低価格で聴き放題でしたが、圧縮音源形式のため音質的にはCD以下が主流でした。一方、ハイレゾ音源は1曲数百円、アルバムなら1000円超えですがCDを超える高音質がウリ。しかし、Amazon Music HDは月額U2000円でハイレゾ音源が聴き放題なのです。
例えば「e-onkyo music」でユーミンの40周年記念ベストアルバム「日本の恋と、ユーミンと。」と「ユーミンからの、恋のうた。」を96kHz/24bitのハイレゾ音源でダウンロード購入すると4278円×2=8556円(税込)になります。Amazon Music HDなら、どちらもULTRA HD(96kHz/24bit)音質で聞き放題、さらにダウンロードしてオフラインでも再生できます。恐るべきハイコスパです。気になるのはその音質です。無線LAN接続でストリーミングしても高音質は実感できるのでしょうか。
HEOS対応のプリメインアンプ「PMA-150H」で再生
Amazon Music HDにいち早く対応したのが、DENON(デノン)の「HEOS」です。HEOSはスマホやタブレットに入れた専用アプリを使って、対応機器をコントロールして音楽ストリーミングサービスが楽しめる同社独自のワイヤレス・オーディオシステム。NASやインターネットラジオにも対応してネットワークプレーヤー感覚でデジタル音源を一元管理できます。デノンのほか、マランツブランドの一部の機器でも利用可能。
このHEOSに対応した最新プリメインアンプがBluetoothとWi-Fiを搭載した「PMA-150H」です。パワーアンプは、効率よく大出力を取り出せるクラスDアンプを4基搭載するBTLという方式で、スピーカーを強力にドライブします。また、デジタル入力に対応するためDACを内蔵。このDACが384kHz/32bit対応なので、Amazon Music HDのハイレゾ音源も余裕を持ってアナログ変換できます。さらに独自技術を使って、デジタル録音時に失われた微小な音を再現する機能もあり、かなり音質にこだわったアンプなのです。
90日間無料プランでハイレゾストリーミングを体験
HEOSを使えばPCレスでAmazon Music HDが楽しめます。まず「PMA-150H」を自宅のLANに接続します。これは有線でも無線でも構いません。「かんたん設定」という機能を使えば、ほぼ自動的に既存のネットワークに接続してくれます。次にHEOSを起動。今回はiPadにインストールしたHEOSを使っています。アプリを起動するとBluetooth接続で「PMA-150H」が認識されます。これで準備完了です。
HEOSの選択画面でAmazon Musicを選択すると、Amazon Music HDの無料体験を勧誘するメッセージが表示されるので、ここで90日間無料キャンペーンを申し込みます(2019年11月7日までの期間限定)。Amazon Music HDはAmazon Music Unlimitedのオプションプランなので、前提条件としてこちらのプランに加入しなければなりません。Amazon Prime Musicとは別のプランなので、Amazon Music Unlimited(月額980円)+Amazon Music HD(月額1000円)の2つのプランに登録したことになります。
90日間の無料期間が過ぎると自動延長され、期日までに手動でプラン変更をおこなわないと課金されるので注意しましょう。自分のプランがどうなっているかはWebブラウザのAmazon Musicの左側のタブの名前から表示させるプルダウンメニューの「Amazon Musicの設定」でチェックできます。Amazon Music Unlimited会員登録のキャンセルもここでおこなえます。
ダウンロード音源に負けない情報量が多く厚みのある音だった
「PMA-150H」にデスクトップで使っている8cmフルレンジスピーカー「Ishida model」を接続して宇多田ヒカル「FirstLove」のULTRA HD音源(96kHz/24bit)を再生してみると、まずイントロの低音のビートが違います。低音から中音まで厚みがあってボーカルの存在感が際立って、音楽全体が緻密で濃い印象。同じ曲をCDからリッピングした音源(44.1kHz/16bit)で再生すると、音数が減って寂しい感じになり、低音のビートだけが空しく響きます。これはドンシャリな録音なのかと錯覚してしまいそう。
今度はAmazon Music HDの目玉であるユーミン400曲の中から聴いてみます。荒井由美時代のファーストアルバムからすべてULTRA HD化されているので、LPレコードで聞いて音がスカスカだった曲も、改めて聞き直してみると音に厚みと空間が感じられました。埋もれていた情報がハイレゾ化によって復活してデスクトップを音楽で満たしてくれます。これだけでもAmazon Music HDに入ってもいいと思えてくるほど。さすがマスターテープを発掘してデジタルリマスタリングしただけのことはあります。いままでは無線LAN接続でしたが、有線LAN接続に変更すると、ボーカルがなめらかでしっとりと落ち着いた感じになります。広がり感と奥行き感もさらに出てきました。小型スピーカーだけではもったいないので、大型スピーカーも鳴らしてみましたが、オーディオマニアも納得の音を出してくれました。
「PMA-150H」でラクラク高音質再生
Amazon Music HDは専用アプリによってスマホとタブレット、PCにも対応しており、それぞれ単体でもHD再生ができます。しかし、iOSかAndroidか、内蔵DACの仕様などによって設定が異なるほか、外部DACの接続が必要なこともあり、設定を間違えるとHDで再生できないことも。つまり、結構、敷居が高いのです。
それがHEOS対応の「PMA-150H」なら、面倒な設定は不要で確実にULTRA HDかHD音質で楽曲を再生可能。もちろんアンプとしての能力も高いのでスピーカーの実力も発揮されます。クラスDアンプの特徴を生かした低音から高音までフォーカスがピシッと合って、クッキリとした粒立ちのいい音を聞かせてくれました。HEOSはハイレゾストリーミングの心強い味方といえます。もっと対応機器を増やして欲しいですね。
Amazon Music HDに関しては、44.1kHz/16bitのCD音質をHDと呼ぶことに違和感がありますが、確かにULTRA HDの音質はストリーミング音源と思えないほど高音質です。専用アプリはインターフェイスが独自で、プレイリストも作りにくいので今後の改善を期待しましょう。スマホ単体での再生では内蔵DACの仕様とか、ストリーミングでギガがどんどん減るなどの問題もありますが、日本初のサブスク、ハイレゾストリーミングとして注目のサービスといえます。11月25日からはソニー・ミュージックエンタテインメントのハイレゾストリーミング「mora qualitas」の開始が予告され、令和元年は日本のハイレゾストリーミング元年になりそうです。
【ギャラリー(GetNavi webでご覧いただけます)】
【この記事を読んだ方はコチラもオススメ】