音質はAMラジオ並み
これまでスペックや質感をチェックしてきましたが、それなりにしっかりした作りで価格以上の価値はあると感じました。しかし、イヤホンのキモは音質。音を聴いてみないことには真価はわかりません。
ということで、手持ちのiPhone 11にワイヤレス接続して音をチェックしてみることに。ペアリングは電源ボタンを5秒以上長押しして、LEDライトが赤と青に交互に点滅したらiPhoneの接続画面から「EA9745」を選択します。一度接続してしまえば、次回からは電源を入れるだけで自動的に接続してくれるオートペアリング機能も備えているようです。
さっそく音を聴いてみると、第一印象は「……AMラジオを聴いているみたい」というものでした。とにかく解像感が低く、音がダンゴのようにひと固まりになって聴こえます。バックでどんな楽器や音色が演奏されているか、判別するのも難しいほど情報量がそぎ落とされてしまっている感じです。
音質の傾向としては、中域が盛り上がった“カマボコ型”に近いでしょうか。低域も高域も伸びないのでそう感じるのかもしれません。音楽的な表現はかなり苦手そうです。ただ、ボーカルが前に出てくるので、ラジオ番組など人の声がメインとなるコンテンツには向いていると思います。
曲を変えながら試聴を続けているうちに、「?」と疑問に感じたことがあります。音質の悪さでなかなか気づかなかったのですが、定位感がちょっと変なのです。そこで昨年のNHK紅白歌合戦を盛り上げた日本が誇るDIVA・MISIAのデビュー曲「つつみ込むように…」を再生してみることにしました。この曲は、イントロにパーン、パーンという音が右ch→左ch→右ch→左chと左右から交互に打ち寄せるように鳴るので、ステレオ感を確かめるのに最適な楽曲なのです。
イントロをチェックしてみると、左右から分かれて聴こえるはずの音がなんと両方から同時に聴こえます。つまり、このイヤホンは「モノラル」ということになります。AMラジオのように聴こえたのも、このモノラル再生のせいかもしれません。パッケージを確認すると、確かにステレオという表示はありませんが、モノラルならモノラルと書いておいてほしいところ。ますます音楽用としては不向きだと思えてきます。
音の遅延については、最新のBluetooth規格に準拠してることもあり、ワイヤレスとしてはごく標準的な程度。アクションゲームをプレイしてみると、ボタンを押して0.5秒くらい遅れて音が鳴るくらいのタイムラグを感じます。音ゲーのようにシビアなタイミングを要求されるゲームはツライかもしれませんが、動画を見るくらいなら違和感は感じないでしょう。
バッテリー持ちは、はじめにフル充電をした状態から音楽を流しっぱなしにして、約3時間50分ほどで電源が落ちてしまいました。公称スペックよりは持ちましたが、通勤・通学で使うなら毎日充電したほうが安心でしょう。
結論:「どうしてもイヤホンが必要」という場合以外はオススメできない
税抜き500円という衝撃的な安さのダイソーBluetoothイヤホンですが、使ってみた感想としては、前述の激安完全ワイヤレスイヤホンとは違い「音はよくない」と思います。モノラル再生ということもあり、個人的にはこれで音楽を聴くのはツライと感じました。バッテリー持ちも短く、日常的に使うのは厳しいでしょう。冒頭で書いたように、手元にイヤホンがなく緊急でやむを得ず必要になるシーン以外での購入はないと思います。
このイヤホンを購入すべき人は、「音が出れば音質にはまったくこだわらない人」「スマホを買い替えたらイヤホン端子がなくなったので、とにかくワイヤレスイヤホンが必要な人」「AMラジオしか聴かない人」「イヤホンに1000円以上出したくない人」でしょう。それ以外の方には、あと2000円出して各社のエントリークラスのワイヤレスイヤホンを購入することをオススメします。
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