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2020/5/26 18:00

ハンダ付け不要! 手軽に作れる真空管式ヘッドホンアンプKORG「Nu:tekt HA-S」

NFBのON、OFFで音の違いを確かめよう

「Nu:tekt HA-S」のいい所は、完成してからもカスタマイズや調整ができることです。簡単に試せるのは NFB(Negative Feedback)のONとOFFの違い。真空管アンプは裸特性がいいので素肌美人といわれますが、これはトランジスタアンプに比較して歪みが少ないという意味。しかし、NFBというお化粧をすると立場は逆転します。トランジスターアンプの方が歪みが少なくなり大出力が取り出せるアンプに変身するのです。

 

真空管アンプは、その音色を最大限に発揮させるためNFBを一切掛けないNON-NFBをウリにするモデルがあります。また、少しだけNFBを掛けている薄化粧モデルも存在します。実際にどう音が違うのかを「Nu:tekt HA-S」で聞き比べてみましょう。

 

缶ケース内部の右奥にあるスイッチで切り替えられ、最初の状態はAの位置でOFFになっています。NON-NFBで高域のヌケがよく、中低域は立ち上がりが良く荒々しくワイルドな感じになります。NFBを掛けるとボーカルは滑らかで、荒々しさは後退して刺々しさのない上品な音が楽しめます。Nutubeの個性を楽しむならNON-NFBがオススメですね。

 

これ以外にもバイアス電圧とアノード負荷抵抗も半固定ボリュームを回して調整できます。基本的に調整済みなのでいじる必要はありません。やってみたい方は元の位置をスマホのカメラなどで記録しておき、元に戻せるようにしてから回してみましょう。

↑左がバイアス調整ボリューム、右がアノード負荷抵抗調整ボリュームで、どちらも左右ペアになっています

 

オペアンプを交換して好みの音を追求!

最後のお楽しみはオペアンプの交換です。オペアンプとはトランジスタアンプの左右チャンネルが一体化されたモジュールのこと。「Nu:tekt HA-S」は増幅に真空管を使っていますが、それだけではパワーが足りないので最後にトランジスタアンプの力を借りています。つまりハイブリッド型アンプともいえますね。同じ型番の真空管でもメーカーによって音が異なるように、オペアンプもメーカーや型番によって音質が異なります。これを交換して好みの音を追求してみましょう。

↑缶ケースを開けてボリュームの手前にある黒い四角いパーツがオペアンプです

 

「Nu:tekt HA-S」には2種類のオペアンプが付属しています。最初から付いているNJM4580とMUSES01です。MUSES01Dは1個3500円もする超高級オペアンプなので、これは大サービスですね。NJM4580Dもオーディオ用のオペアンプですが1個25円ぐらいです。だからと言ってMUSES01の方が圧倒的に高音質とは言い切れません。私が聞いた感じではNJM4580の方がNutubeのワイルドな音を引き出してくれるように思えました。皆さんも聞き比べてみてください。

 

付属のオペアンプ以外にも2回路入りで8ピンのオペアンプと互換性があるので、手持ちのオペアンプを差し替えて、音質を聞き比べてみました。オペアンプは、Amazon.co.jpや秋月電子通商などの通販で数十円から販売されていて、気軽にカスタマイズが楽しめます。差し込む向きさえ間違えなければ壊れる心配もありません。定番モデルとしてBurr-BrownのOPA2134、OPA2604、アナログデバイセズのOP275、AD8397Aなどがあります。今回の試聴では、ややクールで硬質な音を再生するOPA2134PAが好印象でした。

↑オペアンプを交換するだけで、かなり音質が変化します

 

オペアンプは足が折れやすいので、交換にはICソケットを使うことをオススメします。平ピンが足を痛めにくいのですが、なければ丸ピンでも構いません。これにオペアンプを差し込んで、比較試聴するときはソケットごと抜き差しします。またIC引き抜き工具があれば、強く差し込み過ぎて抜けなくなったオペアンプの足を曲げずに引き抜けます。半固定用ボリューム調整用の非磁性体のドライバーもあると便利です。これで、キット完成後も「Nu:tekt HA-S」を長く楽しめます。この他にも電池のメーカー、接続ケーブルの種類によっても音質は変化します。いろいろ試して自分好みの音質を追求してみましょう。

↑オペアンプを抜くためのIC引き抜き工具と調整ドライバー、手前がICソケットです

 

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