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レコーダー
2021/5/3 18:45

録画生活がスマホ一台で完結。「nasne」があればテレビはいらない説は本当か?

自宅のネット環境に接続することで、スマホやタブレットからテレビ視聴&録画が楽しめる“ネットワークレコーダー&メディアストレージ”こと「nasne」(ナスネ)。今回はこの大人気レコーダーの活用法を、みんなが持っている「スマホだけ」にあえて絞ってレビューしてみました。

 

2012年の登場から現在まで根強いファンを多く持つnasne。2019年には当時のメーカーだったソニー・インタラクティブエンタテインメントからの生産が終了するものの、以後PC・スマホ周辺機器メーカーのバッファローが販売継承を発表。今年3月には性能アップした新モデルがとうとう発売され、以後、品切れが続出する人気となっています。

↑3月に発売されたバッファロー「nasne」(NS-N100)のパッケージ

 

そんなnasneの何がすごいのかが気になっている方のために、本製品の人気の秘密を再検証しつつ、便利な機能の数々をあらためてレビューします。

 

【フォトギャラリー】※画像をタップすると一覧を閲覧できます。一部SNSからは表示できません。

 

実は「スマホしか持ってない人でも使える」HDDレコーダー

nasneは、スマホ、タブレット、PC、ゲーム機など、好みの端末で録画・視聴が楽しめるレコーダー。この春発売された最新型では本体に地上デジタル&BS/110度CSデジタルチューナーと2TBのHDDを内蔵し、(おおざっぱに言えば)録画したテレビ番組をネット経由で各機器に配信することができます。

 

いわゆるブルーレイ搭載HDDレコーダーも最近はスマホ対応のものが主流ですが、それらとの差別化に成功したポイントが、超快速な録画&視聴アプリ「torne(トルネ)」。かゆいところに手が届く機能の数々、そして他の追随を許さないレスポンスの速さが人気の秘訣となりました。

↑iOS/Android対応のアプリ「torne mobile(トルネモバイル)」

 

最新モデルは2万9800円(税込)で、ブルーレイ搭載の一般的なレコーダーよりも価格は安め。一方、本体の形・サイズ感はPCの外付けHDDにかなり近く、場所をとらずに設置することができます。

↑本体サイズは約44.5×135×187mm(幅×高さ×奥行き/最大突起部含む)

 

また細かいところでは、液晶テレビ+外付けHDDの録画機能では対応しないことが多い圧縮録画(3倍モード録画)に対応しているのもポイント。これでHDD容量をかなり節約できます。

↑画質圧縮なしのDRモード、容量を節約できる3倍モードのいずれかで録画が可能

 

上記を筆頭にnasneの良いところは山ほどあるのですが、実は最大のメリットかもしれないのが「テレビを持っていなくても使える」という点。ここでいうテレビとは、いわゆる液晶テレビ・大型テレビなどのことです。

↑nasne本体の背面。テレビと接続するHDMIなどの映像出力端子がないところに注目

 

nasneは一般的なレコーダーと異なり、実はテレビと直接つないで使う製品ではありません。もし家にテレビがなくても、ネット環境とスマホがあれば初期設定含むあらゆる操作ができるようになっています。

 

このことは、何かと家電が必要になる新生活シーズンに特にメリットが大きいと思います。「とりあえず身軽にテレビを観たい」、あるいは「これからテレビ環境を揃えたいけど、録画機やテレビラックなど揃えることを考えると気が重い」というような人も注目に値するのではないでしょうか。

 

外出先で録画中の「追っかけ視聴」も。便利すぎ注意!?

ここからは、新型nasneの実機レビューとともに便利な使い方を見ていきます。今回は記事執筆のため約2週間、torne mobileをインストールしたスマホ+nasneだけの組み合わせだけでテレビ録画を満喫。これにより細かい部分の良さもいろいろと再確認することができました。

 

・接続と準備

まずはnasne本体の設置について。接続まわりで一点注意したいのが、無線LANには対応していないこと。(おそらく、常に安定した通信速度を出すための仕様として)LANケーブルで有線接続することになるので、必然的にルーターなどの近くに置くことになるでしょう。

↑筆者宅に設置した際のケーブル接続。上からLANケーブル、アンテナ出力ケーブル、アンテナ入力ケーブル、電源ケーブルの4本をつないでいます

 

↑スマホと同一のネットワーク上にnasneを接続すると、torne mobileの設定画面上に表示され初期設定ができるように

 

↑torne mobileは基本無料のアプリですが、テレビ番組の視聴・再生を有効にするにはアプリ内課金が必要に(Androidの場合は500円)

 

・とりあえずテレビをつけてみる

スマホにtorne mobileをインストールしたら、まずは現在放送されているテレビ番組を観てみます。最初の立ち上げには5秒~10秒ぐらい待ちますが、映像のストリーミングが始まれば以降はストレスなく楽しめる印象。

↑テレビ視聴中は、画面をタップすることで画面下部に小さい番組表を表示。視聴したまま番組を選んで選局ができます

 

torne mobileでは外出先からのリモート視聴もできるので、例えば「移動中だけどリアルタイムで観たい番組に間に合わない!」とか、臨時ニュースが観たいといった状況に重宝します。録画予約している番組を、放送中に始めから観る「追っかけ視聴」もOK! この機能は便利すぎるゆえに、外出中のデータ通信量に注意しながら使いたいところです。

 

・予約もスマホで

番組の録画予約もスマホから行うことができます。情報量が多いテレビ番組表はtonre mobileならではのキビキビした動作の強みが光るところで、時間帯・日付の移動や拡大・縮小などもかなりスムーズ。

↑番組表は、スマホの向きに合わせて縦表示・横表示が可能。ピンチイン・アウトで表示範囲や文字サイズも自在に変更可

 

この、なじみのある番組表も使いやすいですが……もう1つ便利なのが番組のランキング機能。ユーザーの間で録画予約が多い番組をサッとリストアップしてくれます。特に新番組シーズンは第1話の録り逃しが多くなりがちなので、ときどきここをチェックして予約を入れる習慣をつけると◎。もちろん、予約は外出先のスマホからでも入れられます。

 

↑録画予約のランキング。上位がアニメ番組の独占状態になっていることが多いですが、画面を横にフリックすると「アニメ以外」の一覧にワンタッチで切り替えられるあたり、気がきいてます

 

・録画番組の再生

今度は録画した番組を再生してみましょう。CMなどを検出する自動チャプターが有効なので、チャプタースキップも使いながら楽しめます。また、スマホ上でも「早見再生」ができるというのは意外と知られていないかもしれないポイント。1.5倍速に変更&音も聴きながら時短再生できます。

 

さらにイチオシはシーンサーチの機能。一定間隔(30秒、1分などで即切り替え可能)ごとのサムネイルをずらっと表示し、そこからシーンを選んでワンタップで再生できます。これは特番やワイドショーなど、長時間の番組から観たいシーンを探したいときに超便利。サムネイル表示のレスポンスも、「ネットワーク経由で観てるのにこんな速いの!?」と思わず感動するところです。

↑再生中に画面右下をタップすると、下部に場面ごとのサムネイルを一覧表示。長時間の番組でも目当てのシーンをすばやく探せます

 

↑録画番組のリスト表示。同じ番組名のタイトルが自動的にグループ化されていきます

 

・ダウンロード持ち出しもできる

外出時や移動中もしょっちゅう録画番組を観たいという場合は、事前にスマホにダウンロードしておくことで通信料の節約になります。torne mobileでは、これを可能にする「Wi-Fi書き出し」を別途オプション機能として用意。アプリ内課金(Anrdoidの場合は840円)で有効にできるので、自分の使い方に応じて検討してみてください。

↑録画リストから番組名の長押し(ロングタップ)メニューから「ビデオの書き出し」を選ぶとWi-Fi経由でスマホにダウンロードできます。持ち出し用のデータはあらかじめ作成されており、30分番組も1~2分程度で快適にダウンロード可能

 

容量を増やしたり、将来的に別のデバイスからも見たくなったりしたときには

nasne購入を詳しく検討すると気になってくる「本体の拡張性」などについても補足していきます。まず、2021年の新モデルでは2TBとなったnasneのHDD容量について。実はレコーダーとしてはシンプルにこれだけでも十分ぐらいですが、容量に余裕がほしい場合はUSB端子で増設ができます。今回の新モデルでは、増設できるHDD容量が最大6TBまでとなり、計8TBで録画できるようになりました。

 

↑nasneと同じバッファロー製の6TB HDDを増設。今回のためにUSB HDDの価格を久々に調べましたが、6TBの製品も1万円台前半から買えるという安さに衝撃を受けました

 

ということで今回は実際に6TB HDDを増設、8TB体制を試してみたところ、もうここまでやると「容量の心配は一切いらない」感が心強い。地デジはもちろん、はりきってBSやCSの番組も普段以上に録りまくってみたのですが、今回のテスト期間で残量が90%を切ることはとうとうありませんでした。レコーダーの録画番組を何時間もかけて削除して、一生懸命「空き容量を作っている」人をたまに見かけますが……8TBの半端ない安心感、そういう人たちにぜひ味わってほしい。

 

↑torne mobileに表示されるHDD残量表示。8TB体制にしたnasne(写真では「nasne2」)の容量は圧倒的で、数週間試した程度では絶対にいっぱいにならない頼もしさがあります

 

次に、これは本製品の弱点でもあるので隠さず書いておきたいところですが……、nasne単体で2番組以上の同時録画はできません。一般的なレコーダーは2番組、3番組の同時録画が当たり前になっているので、ここは心もとないと感じる人もいるでしょう。

 

その代わり(とまではいかないものの)、nasneはアプリ上で複数台を同時に使うことができ、2台目を設置するとダブル録画のレコーダー感覚で使えるようになります。このため、将来的には外付けHDDの増設ではなくnasneをもう一台買ってしまうという手もあり。torne mobileでは最大4台の同時使用が可能です。

 

↑複数台のnasneを使えば、同じ時間帯でも2つ以上の録画予約がOKに。どのnasneを録画に使うかは基本自動で、任意に選ぶこともできます

 

もうひとつは、「大画面でも観たくなったとき」の話。ここまで「スマホだけでテレビが観られる」点を軸にnasneを紹介してきましたが、大画面テレビでもnasneが使いたくなったらどうすればいいのか。この場合は、プレイステーション4+torneアプリを使って観るのがおすすめ。なお次世代機のプレイステーション5では現状未対応も、今冬(2021年末商戦期を予定)にPS5用torneアプリが提供される予定です。

 

↑無償提供されているPS4用torneアプリ。ゲームのコントローラーを使ってtorne mobileとほぼ同じ操作性で楽しめます

 

大きな画面に関する話題でいえば、Windows PC用のアプリ「PC TV Plus」も。こちらはtorneとは異なる便利さでnasneを活用することができ、BDドライブの付いたPCとPC TV Plusがあれば、LAN経由でブルーレイディスクへの書き出しも可能。「どうしてもディスクに残したい」という録画番組が出てきた場合の選択肢としても知っておくといいでしょう。実は筆者もこれに何度も助けられています。

↑Windows PC向けテレビ録画・視聴アプリ「PC TV Plus」(税込3300円)

 

nasneが、そしてレコーダーがない生活は考えられない

スマホ+nasneだけのテレビ生活というのも案外捨てたものではないですが、さすがに毎日長時間となると、「テレビを観ながらスマホを触れない」というのがストレスになるかも。このため、普段使いのスマホ以外にiPadなど大きめなタブレット、あるいはPCが併用できると、今回紹介した使い方もかなり快適になるでしょう。

 

Amazonプライム・ビデオやNetflixをはじめとするサブスク動画サービスが日常になった中、今さらnasneのようなレコーダーの価値って?と疑問に感じている人もいるかもしれません。確かにテレビドラマやアニメはそれで済むことがほとんどになりましたが、「サブスクではあまり観られない」または「TVerなどの見逃し配信だと1週間でだいたい消えてしまう」というバラエティやドキュメンタリー、歌番組の多くは「やっぱり録画しておいてよかった」と感じるところです。

 

nasneで使える外出先からのリモート視聴のように、たくさんの視聴者と同じ時間にリアルタイムで楽しめる機能もまだまだ楽しいので、個人的にはやっぱりこういうレコーダーは今後も進化を続けてほしいと思います。

↑「リアタイ視聴」の楽しさという点では、テレビ放送時に流れたネットの実況コメントを録画番組にも反映・表示できた「ニコニコ実況」連携機能が忘れられません。torneならではの最高の機能の一つだったのですが、残念ながら昨年に終了してしまい……nasne復活後の次のステップとして今後の再開を心待ちにしています

 

 

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