ポータブルオーディオのハイエンド化が著しい昨今、10万円以上するヘッドホンやポータブル音楽プレーヤーも珍しい存在ではありません。そんななか、ほかの国内オーディオメーカーに先駆けて約12万円というハイエンドウォークマン「NW-ZX2」を2015年2月に発売し、市場をリードしてきたソニーが、新たな歴史を刻むフラッグシップモデル「Signature Series(シグネチャーシリーズ)」を発表しました。
同シリーズは、ヘッドホンによる音楽体験を究極にまで洗練させ、“聴く”を“感じる”領域にまで革新することをコンセプトに、録音した空間の空気感までも余すことなく再現することを目指しています。シグネチャーという名称には、妥協のないクオリティの証に、エンジニアたちがサインしたという意味が込められているのだとか。
ラインナップは、高音質を追求した約30万円前後のウォークマン「NW-WM1Z」と、高音質設計を追求しつつ低価格化した約12万円前後の「NW-WM1A」。新開発D.A.ハイブリッドアンプを搭載した据え置き型ヘッドホンアンプ 「TA-ZH1ES」(27万8000円)、70mm径HDドライバーユニットで120kHzの超高域まで再生するヘッドホン「MDR-Z1R」(約20万円前後)の4モデル。いずれもハイレゾ再生が可能なほか、ソニーが新たに採用する4.4mmバランス接続端子に対応しています。これらを組み合わせて使用することで、ソニーが追求する究極の音楽体験を実現します。
高音質を突き詰めたウォークマンWM1シリーズ
WM1シリーズは、内蔵メモリー256GBの「NW-WM1Z」と、128GBの「NW-WM1A」の2種類をラインナップ。いずれも新たに開発されたフルデジタルアンプ「CXD3778GF」を搭載し、DSD 11.2MHz、PCM 384kHz/32bitまでのネイティブ再生に対応しました(DSDネイティブ再生はバランス接続時のみ)。ワイヤレスでハイレゾ相当の音質を再生するBluetooth規格「LDAC」にも対応しています。
従来の音質補正機能「DXEE HX」に加え、曲の種類に合わせて最適に音質を補正する機能や10バンドイコライザーを搭載。独自の音響技術処理により、アナログアンプの位相特性を再現する「DC フェイズリニアライザ―」も利用できます。
ヘッドホン出力を、従来モデルの15mW×2ch(16Ω)から60mW×2ch(16Ω)に強化(バランス接続時は250mW×2ch)したことで、高インピーダンスのヘッドホンも単体でドライブ可能。ポータブルヘッドホンアンプを用いなくても、ヘッドホンの実力を引き出して迫力の再生を楽しめます。
筐体には、WM1Zが金メッキを施した無酸素銅シャーシ、WM1Aがアルミニウムシャーシを採用。アンプからヘッドホンへつなぐ内部ケーブルには、WM1ZはKIMBER KABLE社の協力によって開発された4芯Braid(編み)構造のケーブル、WM1Aは無酸素銅ケーブルを使用し、さらなる高音質を追求しています。
連続再生時間は、MP3 128kbps:約33時間、FLAC 96kHz/24bit:約30時間、FLAC 192kHz/24bit:約26時間、DSD 2.8224MHz/1bit:約15時間、DSD 5.6448MHz/1bit:約13時間、DSD 11.2896MHz/1bit:約11時間となります。充電時間は約7時間(満充電)。
音楽の空気感を追求したヘッドホン「MDR-Z1R」
大口径70mm HDドライバーユニットを搭載した密閉型ヘッドホン。平面に近い波面を再現し、スピーカーで聴いているような自然な響きを実現します。振動板のドーム部には薄膜のマグネシウムを採用し、120kHzまでの超高域再生が可能。音響レジスターをハウジング全面に使用し通気を最適にコントロールすることで、密閉型ヘッドホン装着時特有の共鳴を限りなく除去し、ハイレゾ音源に含まれる微小な音まで余すことなく表現。生演奏を客席のベストな位置で聴いているかのような音楽体験ができます。
ヘッドバンドには眼鏡フレームにも使われる軽量で弾力性に富むβチタンを採用し、ヘッドバンドカバーには耐久性に優れた牛革を使用。イヤーパッドには厚みのある低反発ウレタンフォームを用いて、頭部や耳にフィットしやすく長時間のリスニングでも快適に装着できます。
ケーブルは着脱式で、一般的なステレオミニケーブル(3m)と、バランス接続用の4.4mmケーブル(1.2m)が標準で付属。ソニーのプロ向けオーディオ製品を長年生産している国内工場で組み立て、シリアルナンバーを刻印して出荷されます。
デジタルとアナログの良さを両立するヘッドホンアンプ「TA-ZH1ES」
据え置き型ヘッドホンアンプ「TA-ZH1ES」は、新開発の「D.A.ハイブリッドアンプ」により、フルデジタルアンプの高情報量・高解像度そのままに、アナログ回路を用いた信号補正により大出力時の歪やデジタルノイズをさらに低減。DSD 22.4MHz、PCM 768kHz/32bitまでのハイレゾ音源の再現性を高めています。さらに、PCM音源を11.2MHz相当のDSD信号に変換する「DSDリマスタリングエンジン」と、MP3音源などのCDクオリティ以下の音源をハイレゾ相当にアップスケーリングする「DSEE HX」が進化。様々な音源をより豊かな音質で楽しめます。
また、新採用の4.4mmのヘッドホンバランス端子や、XLR4バランス端子、3.5mm×2のバランス端子に対応するほか、3.5mmステレオミニや6.3mmステレオ標準など、計5種類のヘッドホン端子に対応。様々なヘッドホンを変換プラグなしで接続できます。
ESシリーズで培ったFBシャーシに、Wall構造を組み合わせた新開発FBW(Frame/Beam/Wall)シャーシを採用。専用のアルミ押し出し材から削り出して作られたWallにより、共振を抑制する高剛性ボディを実現。クリーンで歪のないサウンドを体感できます。
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