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2022/3/11 18:45

これがソニーの最上級サウンド! 超ハイエンドなウォークマン「WM1ZM2/WM1AM2」を聴いた

ソニーの“ウォークマン”に、約5年ぶりとなる新しいフラグシップ“Signature Series”のハイレゾ対応機「NW-WM1ZM2」と「NW-WM1AM2」が3月25日に発売されます。どちらも価格はオープンですが、NW-WM1ZM2は約40万円、NW-WM1AM2は約16万円で販売を予定しています。価格もハイエンドな新ウォークマンはどれだけすごいポータブルオーディオプレーヤーなのか? 今回は、発売前の実機体験レポートをお届けします。

↑左側がNW-WM1ZM2、右側がNW-WM1AM2

 

「Z」と「A」、ふたつのフラグシップが登場

NW-WM1ZM2(以下:ZM2)は本体カラーがゴールド、NW-WM1AM2(以下:AM2)はブラックです。ともに機能や再生できるコンテンツの種類などは同じ。大きな違いは、超フラグシップ機であるZM2の方に、高音質再生のため厳選されたパーツがふんだんに使われているところです。

 

ソニーのハイレゾ対応ウォークマンの現行モデルには、Android OSを搭載するA100シリーズとZXシリーズがあります。フラグシップモデルは独自のLinuxベースのOSとしていましたが、今回2機種ともにM2(マーク2)になって、ウォークマンのフラグシップモデルとしては初めてAndroid 11を搭載、Google Playストア対応になりました。Wi-Fiでネットワークにつなぎ、Amazon MusicやApple Musicのハイレゾ配信コンテンツを最大192kHz/32bitの高音質で聴くことができます。

↑最上位モデルのハイレゾウォークマンにAndroid 11が搭載されました

 

Android搭載になり、ZM2とAM2ともに電源の起動とシャットダウンが速くなりました。筐体の内部は“ノイズ源”になるWi-FiとBluetooth通信に必要となるアンテナモジュール、様々なタスク処理をこなすCPUを載せたシステムICチップを、オーディオ再生の心臓部となるアナログブロックから物理的に離して配置しています。Androidスマホでは当たり前のように搭載するGPSも、ウォークマンは省いています。高音質再生を最重視した構造は、一般的なAndroid搭載のスマホとひと味違うといえるでしょう。

 

約5年ぶりのモデルチェンジで何が変わった?

ZM2、AM2ともに2016年秋に発売された初代Signature Seriesのハイレゾ対応ウォークマンと比べてどこが進化したのか、主なポイントを確認してみましょう。

 

まず、並べると一目でわかるのがサイズ感の違いです。ディスプレイのサイズは従来の4.0インチから5.0インチに拡大。解像度も1280×720画素のHD対応になりました。ディスプレイが大きくなったぶん、本体サイズもタテの長さが大きくなっています。

↑左側は2016年に発売されたNW-WM1Z。ディスプレイのサイズが1インチ大きくなっています

 

↑iPhone 13 Proと並べてみると、本体サイズはだいたい同じぐらいです

 

内蔵バッテリーによる連続駆動時間はMP3形式の音楽ファイルを再生した場合、ZM2とAM2は連続40時間まで対応します。初代機よりも7時間バッテリーライフが伸びています。

 

音楽配信サービスやCDからリッピングした「ハイレゾ以外」の音楽ファイルを再生する際に、最大192kHz/32bit対応のハイレゾ高音質にアップスケーリングする「DSEE Ultimate」の技術も搭載されました。初代機に搭載されたDSEE HXとの違いは、ソニー独自のAI技術により、アップスケーリング時には特に高音域の再現性が高まります。また有線接続のヘッドホン・イヤホンに限らず、Bluetoothオーディオ機器を接続した場合にもDSEE Ultimateは効果を発揮します。

 

そしてもうひとつ、デジタル接続端子がウォークマン独自のWM-Portからより汎用性の高いUSB-Cに変わりました。本体の充電やパソコンからのデータ転送の際に一般的なUSB-Cケーブルが使えるのでとても便利です。

↑汎用性の高いUSB-C端子を採用

 

もちろん、従来と同様、3.5mmのアンバランス接続端子と4.4mmのバランス接続端子の2つの出力端子を備えています。

↑従来同様、3.5mmと4.4mmの2つの出力端子を搭載

 

Zが超スゴい理由

ZM2が超フラグシップモデルである理由についても少し触れてみたいと思います。本機は筐体を構成するひとつひとつのパーツに音質を重視した素材や構造を採用しています。

 

外殻のシャーシは99.99%の高純度な無酸素銅を削り出し加工により成形して、純度約99.7%の金メッキをかけています。筆者は切削加工を行う前段階の純銅ブロックを手に持ったことがありますが、その重さは想像を超えていました。密度と剛性が高いシャーシを使うことによって、にじみがなく純度の高いサウンドが実現されます。

↑こちらが削り出し加工を行う前の銅ブロック。ずっしりと重いです

 

↑銅ブロックを薄いプレート状に削り出してから金メッキをかけます

 

背面リアカバーに削り出しのアルミシャーシとして、微細な音の表現力を高めています。アンテナの通信感度を確保するためにカバーの下側はくり抜かれています。

↑NW-WM1ZM2の背面。アルミパネルの下側はラバー素材。アンテナの感度を確保する構造としています

 

このほかにも内部の回路基板からバランス出力用の端子をつなぐケーブルには、アメリカのケーブル専業メーカーであるKIMBER KABLEの4芯ブレイド構造の大口径ケーブルを採用。ノイズに強いケーブルで着実にオーディオ信号を伝達します。

 

ソニーがオーディオ製品の音質向上を実現するため、独自に開発したコンデンサーや部品溶接用のはんだはAM2にも使われています。

 

ZとA、それぞれの新旧モデルも聴き比べた

ZM2とAM2、そしてそれぞれの初代機を用意してサウンドを聴き比べてみました。新しいSignature Seriesの2機種は、ローノイズでパワフルなサウンドが楽しめる4.4mm/5極タイプの端子によるバランス接続に対応しています。バランス接続ができるゼンハイザーのヘッドホン「HD 820」を組み合わせて聴いてみました。

↑新旧4つのフラグシップモデルを集めて聴きました

 

↑ゼンハイザーのHD 820を組み合わせてZM2を試聴

 

さすがにZM2のサウンドは身がびっしりと詰まっていて濃厚です。ボーカルは人肌の温かみが密着してくるような生々しさで、低音再生の重心が低く、アップテンポなロックやジャズ、EDMのベースラインがきめ細やかです。ジャズピアノのメロディの和音も音の密度が高く、まるで上質なダークチョコレートのように濃厚な余韻を楽しませてくれます。

 

一方、AM2はZM2よりもっと軽やかで煌びやかな抜け感が心地よい印象。ボーカルの声の切れ味が鋭く、透明な空間の見晴らしがとても良好です。大編成のオーケストラやジャズバンドの演奏がキリッと引き締まり、奥行きの方向を遠くまで見渡せる視界の広さが特徴的です。エレクトリックピアノの和音も色鮮やか。清涼感あふれるリスニング体験が味わえるプレーヤーです。

 

ふたつのプレーヤーでAmazon Music Unlimitedのハイレゾ配信の楽曲を聴いてみました。DSEE Ultimateの機能をオンにすると、高音域の華やかなイメージが増幅され、音像の立体的な広がり、奥行きの見通しがさらに鮮明度を増してきます。音像がグンと前に迫り来るような迫力は思わず息を吞むほど。ハイレゾ音楽ストリーミングはやはりベストな再生環境であるSignature Seriesで楽しみたいものだと心から実感されます。

↑Amazon MusicのUltra HD高音質コンテンツもよりいい音で楽しめます

 

Zシリーズ、Aシリーズともに新旧モデルの差は、音の安定感と芯の力強さ、活き活きとしたエネルギーを感じさせる生々しさによく現れると思います。ZM2はボーカルの繊細な口元のニュアンスを引き立てるようなディティールの再現力が一層高くなっています。AM2はエレキギターやドラムスなど楽器の高音域の余韻の雑味がなくなり、電子ピアノのハーモニーもさらに滑らかです。トップエンドのSignature Seriesにも、まだまだ伸びしろがあったことを実感して、驚くほかありません。

 

ハイレゾ聴くならやっぱりウォークマン

ZM2はサウンド、黄金色のルックス、そして持つ手にズシンと重量が伝わってくる質量も含めて王者の貫禄です。筆者の好み的にはAM2のクールなサウンドもグッときました。ウォークマンのAシリーズ、ZXシリーズからハイレゾリスニングにハマり、さらに上の再生環境を目指したい方々には迷わずオススメできるウォークマンに仕上がっていると思います。

 

Android 11とGoogle Playストアに対応したことで、音楽配信サービスのストリーミング再生がとても手軽に楽しめる最高音質のウォークマンになったことも魅力的です。セルラー通信機能にも対応して欲しかったところですが、取りあえず外出先ではスマホのテザリング機能を使って好きな時・好きな場所で、最も良い音で音楽リスニングが楽しめそうです。ハイレゾ再生の醍醐味を存分に実感させてくれるプレミアムなポータブルオーディオプレーヤーが誕生しました。

 

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