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2016/10/22 9:00

【インタビュー】劇的進化を遂げたBeats by Dr. Dre! ルーク・ウッドCEOが語る最新モデルの革新テクノロジーとは!?

2006年に音楽プロデューサーのDr. Dreとジミー・アイオヴァインの両氏が設立したBeats by Dr. Dreは、ヘッドホンにイヤホン、ワイヤレススピーカーの変革を巻き起こしてきた米国のオーディオブランドだ。2014年にアップルの傘下に入り、より革新的なオーディオを目指してきた開発の成果がこの秋に3つの製品として花を開かせた。

 

今秋に発売されるのは、「Beats Solo3 Wirelessオンイヤーヘッドフォン」、スポーツタイプの「Powerbeats3 Wirelessイヤフォン」、そしてオールラウンドな音楽再生を追求した「BeatsXイヤフォン」と、いずれもBluetoothのテクノロジーを活かしたワイヤレスプロダクトだ。3機種すべてにアップルがワイヤレスオーディオのため独自に開発したカスタムチップ「W1」を搭載して、iOSデバイスとの接続性を高めたほか、急速充電機能「Fast Fuel」によるバッテリーまわりの機能向上を果たしている。

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↑左から、「BeatsX」、「Beats Solo3 Wireless」、「Powerbeats3 Wireless」

 

新製品の発売に合わせて来日したBeats by Dr. Dreのプレジデントであるルーク・ウッド氏は、「これまでのBluetoothオーディオにはモバイルデバイスとのペアリングの煩雑さ、バッテリーライフの不安、接続の不安定さなどの課題が付きまとっていました。Beatsの新しい3製品はいずれもその課題を克服した点に注目してほしいですね」と述べ、最新3モデルがいかに革新的な製品であるか説明した。

↑Beats by Dr. Dreのプレジデントであるルーク・ウッド氏
↑Beats by Dr. Dreのプレジデントであるルーク・ウッド氏

 

今回は、ルーク氏のコメントを交えつつ、Beats by Dr. Dreの3つの新モデルの魅力を探っていきたい。

 

iPhoneと最高の連携機能を実現した「Beats Solo3 Wirelessオンイヤーヘッドフォン

「Beats Solo3 Wirelessオンイヤーヘッドフォン」はアップルの最新スマートフォン「iPhone 7/iPhone 7 Plus」とほぼ同時期にリリースされたワイヤレスヘッドホンだ。コンパクトで持ち運びやすく、遮音性能も高いオンイヤースタイルの特徴が好評を博してきた「Beats Solo2 オンイヤーヘッドフォン」の後継機。本稿をお読みの方にもユーザーが多くいるのではないだろうか。新機種はiPhone 7のカラバリに合わせたグロスブラックやローズゴールドなど全6種類のカラバリを展開する。

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↑Beats Solo3 Wirelessオンイヤーヘッドフォン

 

サウンドのチューニングは、大ヒットモデル「Beats Solo2 Wirelessオンイヤーヘッドフォン」と同じキャラクターを継承しているとウッド氏は説明。最新モデルの音を確かめてみると、音楽の芯に宿るエネルギーをぐいぐいと引き出してくるような力強くダイナミックなサウンドは前機種を継承している。中低域のボールドな輪郭とタイトなアタック感がほかのワイヤレスヘッドホンからは得られない本機ならでの魅力だ。ロック、ポップス、ヒップホップ、EDMなどのジャンルなど、特にアグレッシブな楽曲にベストマッチすると思う。

 

「W1チップを搭載した効果が最も明らかに伝わるヘッドホン」と、ウッド氏が強調する本機の便利なポイントとしては、バッテリーライフが前機種の12時間から40時間にまで飛躍的に伸びた点が挙げられる。

 

「ワイヤレスヘッドホンを使う多くのユーザーの方々にヒアリングをしてきましたが、バッテリーライフを長くしてほしいという声が実に多く集まってきました。私たちは新しいBeatsの製品でその点を解決したいという思いをずっと強く持っていました。W1チップを搭載したことによって実現できた『Fast Fuel』テクノロジーにより、microUSBケーブルを接続して5分間チャージすれば、3時間の音楽リスニングができることも伝えておきたいと思います。朝の通勤前の忙しい時間、ヘッドホンのバッテリーが切れていても5分間だけ充電すれば、通勤時間に安心して音楽がたのしめます」(ウッド氏)

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デザインは、ディティールまでBeatsとアップルのデザインチームがコラボを重ねてブラッシュアップしてきた。フレームのメインカラーを新しいiPhoneに合わせて調色しただけでなく、ハウジングの「Beatsロゴ」をiPhoneのバックパネルにある「Appleロゴ」と同じ光沢感を持たせて仕上げるなど、細かいところにまで気を配っている。なおBeats Solo3 Wirelessオンイヤーヘッドフォンも左イヤーカップのフロントパネルがワイヤレスリモコンになっていて、ボタンをクリックするとペアリングしているiPhoneの音楽再生やハンズフリー通話、Siriの起動が遠隔操作できる。

 

今回Beatsが発売するW1チップ搭載の新製品は、いずれもiOS 10を搭載するiPhoneやiPadなどiOSデバイスとのBluetoothペアリングが驚くほど簡単にできるようになった。iOSデバイスのBluetooth機能をオンにして、電源を入れたBeatsのヘッドホン・イヤホンを近づけるだけで、画面にポップアップが立ち上がり、製品の画像をタップするだけであっさりとペアリングが完了する。同じApple IDで複数のiOS 10搭載のデバイスを使っているユーザーなら、設定のBluetooth機器一覧よりBeatsの製品を選ぶだけで簡単にペアリングするデバイスが切り換えられる。なお、今回Beatsが発表した3つの製品はいずれもAndroidデバイスで使うこともできるので、Android派のユーザーもご安心を。

 

すべての生活シーンを音楽で彩る新シリーズ「BeatsXイヤフォン

日本発売は12月を予定する「BeatsXイヤフォン」は、ブランドのイヤホンに新しく加わるシリーズだ。コンパクトでスタイリッシュな本体に、Beatsとアップルのテクノロジーを惜しみなく搭載する注目機だ。ルックスはこれまでのBeatsのイヤホンやヘッドホンとは雰囲気が少し違う、シンプルなブラックとホワイトのカラーと流れるようなシェイプを特徴としている。ちょうど肩の位置に乗るコントロールボックスにW1チップやバッテリーなどのエレクトロニクスを搭載している。

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↑BeatsXイヤフォン

 

本機の開発にはとりわけ長い時間をかけてきたとウッド氏が振り返る。「Powerbeats Wirelessはスポーツと音楽を同時に、快適に楽しみたいという方々の声に応えてきたイヤホンです。BeatsXイヤフォンは1日中どんな時も身に着けて音楽を楽しめるイヤホンとして『All Day  Everyday』というコンセプトを打ち出しています」(ウッド氏)

 

毎日の生活に密着するイヤホンとして、装着性と耐久性を高めることは特に大事なテーマになった。左右のイヤホンをつなぐネックバンドのケーブル部分には、ニッケルとチタニウムによる形状記憶合金を採用。「Flex-Formケーブル」と名付けて、高いポータビリティをアピールしている。ハウジングの背中にはマグネットを乗せて、重ね合わせるとペンダントのようなスタイルで身に着けられる。人間工学に基づいたユーザーに自然と寄り添うデザインは、今回発表された3製品が共有するフィーチャーだ。

↑マグネットによりハウジング同士をくっつけることができる
↑マグネットによりハウジング同士をくっつけることができる

 

先端のテクノロジーを詰め込みながら、ベストな装着感を目指して本体は可能な限り小型化を押し進めた。バッテリーの充電用にLightning端子を設けているが、これはアップルと共同開発しながら、コンパクトなイヤホンの筐体にデザイン性を損なうことなく乗せることに腐心したという。

 

本機も「Fast Fuel」テクノロジーの恩恵により、5分間の急速充電で2時間、45分間の充電で最大8時間の音楽再生が楽しめる。都心に生活するビジネスマンのライフスタイルにも最適化したことは、ウッド氏が今回の新製品すべてに対して繰り返し強調しているポイントだ。

 

インラインに設けたマイク付きリモコン「RemoteTalk」はマイクの位置やボタンのクリック感までアップルのデザインチームとともにブラッシュアップを図った。ノズルの向きも人間工学の観点から最高の音質を得るためにバランスを調整している。「より耳の奥までイヤホンを挿入した状態で音をダイレクトに届けられるよう、プロトタイプを多くの方に試してもらいながら耳型のサンプルを集めて最適なアングルを研究してきました。音漏れが少なく、快適なフィット感が得られます」というウッド氏。着脱可能なウィングチップを装着すればさらに耳元のフィット感が安定する。

 

イヤホンの内部はデュアルチェンバーメカニズムとして、小さなハウジングなのにパワフルな中低域のサウンドを実現した。今回のインタビュー取材の際に、BeatsXイヤフォンの音をいち早くリスニングできる機会も得た。従来のBeatsのイヤホンとは一線を画すような、ニュートラルな聴感バランスとクリアで透明な中高域を特徴としている。すべての帯域に渡って微細な音を正確に再現するため、ハウジングに人の髪の毛の半分ぐらいの直径サイズという細かなマイクロベンチレーション(空気孔)を配置したことが、この高い解像感につながっているのだろう。

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↑BeatsXイヤフォンをいち早く試聴

 

BeatsXイヤフォンの出来栄えについては「これぞ両社による共同開発のたまもの」であるとウッド氏が胸を張る。「最初はブラックとホワイトの2色からスタートしますが、ゆくゆくはカラバリ展開も予定しています」と語っていた。

 

バッテリーライフが2倍になった「Powerbeats3 Wirelessイヤフォン」

耳掛けスタイルの「Powerbeats2 ワイヤレスイヤフォン」は、日本を含む世界各国で大きな成功を収めたスポーツイヤホンだ。その最新モデル「Powerbeats3 Wirelessイヤフォン」はアップルのW1チップを搭載して、より使いやすく進化した。

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↑Powerbeats3 Wirelessイヤフォン

 

スポーツと音楽を同時に楽しむうえで基本となる装着感には磨きをかけた。イヤーフックの柔軟性を高め、ハウジングのサイズを少しワイドにして耳元のフィット感をより安定させている。本機もやはりノズルの角度まで、音楽のリスニング感を高めるために細かいところまで調整している。充電用のmicroUSB端子はキャップレス防水に対応。リモコンはBeatsXイヤフォンと同様にマイクとボタンの位置まで使いやすく仕上げている。

 

「バッテリーライフは6時間から12時間。再生時間が2倍になっています。Bluetoothの通信品質を安定させたClass 1カテゴリーの製品なので音切れせずに安定した音楽再生が楽しめます」(ウッド氏)

 

本機も実機を試聴してみた。もともと高い遮音性を持つカナル型のイヤホンながら、開放的で切れ味のある中高域のサウンドが特徴的だ。明るくジューシーなボーカルを楽しめる。低音がしなやかでスピード感も高い。ジョギングをはじめ、体をハードに動かすエクササイズでは心地よいリズムが疲れた体を引っ張ってくれそうだ。カラバリは落ち着いたホワイトとブラックのほか、昨年秋にPowerbeats2 ワイヤレスイヤフォンの「アクティブコレクション」として加わった新色のサイレン・レッド、ショック・イエロー、フラッシュ・ブルーを合わせた5色展開としている。

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Beatsらしさがいっぱいに詰まった入門機「Beats EP オンイヤーヘッドフォン

「今日は皆さんにご紹介したい製品がもう一つあります」と、ウッド氏が手に掲げた製品は、ワイヤードタイプのオンイヤーヘッドホン「Beats EPオンイヤーヘッドフォン」だ。日本国内でも9月から販売がスタートしている。アナログのイヤホン端子を採用する固定ケーブルタイプなので、iPhone 6s以前のモデルやAndroidスマートフォン、ポータブルオーディオプレーヤーなどで幅広く楽しめる。Apple Storeでの販売価格は9800円(税別)と、Beatsの入門機としてもオススメできるヘッドホンだ。本機を開発した背景にあるコンセプトをウッド氏がこう説明する。

↑「Beats EPオンイヤーヘッドフォン」
↑「Beats EPオンイヤーヘッドフォン」

 

「Beatsはレコーディングスタジオでアーティストが演奏して、エンジニアが完成させたスタジオのサウンドを“ありのまま”ユーザーに届けることをミッションとしてきたブランドです。本機はそのブランドの原点ともいえるスタンスに立ち返って、より多くの音楽ファンにBeatsのサウンドを届けるために開発したヘッドホンとなります」

 

Beats EPオンイヤーヘッドフォンを手に取ってみると、エントリー向けのヘッドホンと呼ぶのがためらわれるほどプレミアムな質感が伝わってくる。スライダーにはステンレススチールが使われていて、シャープなルックスが大人の音楽ファンも満足気させるに違いない。イヤーカップはアームにボールジョイントで接続されているため、可動範囲が広く、頭や耳の形にあわせて柔軟にフィットしてくれる。

 

「ケーブルをヘッドホンの本体にラフに巻き付けて、バッグに入れて持ち運ぶユーザーも多いので、固定部分の強度を高めるなど頑丈につくりました」(ウッド氏)

 

Beatsは常にユーザーのリスニングスタイルを入念に研究して全ての製品を開発しているということを、ウッド氏は語勢を強めながらアピールした。

 

アップルとの連携を強めながら、Beatsはこれからどこへ向かう?

今回のインタビューでは、Beatsの今後の商品展開やアップルとのコラボレーションに関する話についてもウッド氏から聞くことができた。

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オーディオ機器であるヘッドホン、イヤホンの根幹的な魅力であるサウンドのチューニングについては、今後も「Beatsらしい、スタジオの空気感まで完璧に再現するサウンド」を目指していくというウッド氏。

 

「Beatsは今年で10周年のアニバーサリーを迎えました。ものづくりやサウンドの方向性は創業した当時から変わっていないし、これからも変わりません。あとは製品の機能や使い勝手の面で、アップルとのコラボレーションを深めながらさらに進化していきます。今回発表した製品はW1チップの搭載により、音楽リスニングの体験をよりリッチなものにしてくれると私も期待しています」(ウッド氏)

 

アップルとのコラボレーションと言えば、Lightning端子を搭載するヘッドホンやイヤホンは計画にあるのだろうか。

 

「アップルとのコラボレーションは、まだ始まったばかりです。昨年発売したワイヤレススピーカーの『Beats Pill+ ポータブルスピーカー』は開発の途中で両社の協業が決定して、開発段階の後期からコラボレーションに着手しました。アップルのノウハウを吸収して、とても使いやすいスピーカーが完成したと自負しています。そして開発の最初から最後まで、両社のコラボレーションによって完成した製品がBeatsXイヤフォンをはじめとする3製品です。今後の製品について、いま具体的なポートフォリオの中身をお知らせすることはできませんが、どれもがBeatsらしいプレミアムな製品であり、高品質な音楽体験を多くの方に伝えていくというブランドの野心は貫いていきたいですね」(ウッド氏)

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新製品「BeatsXイヤフォン」の「X」というアルファベットには、不特定多数の人に、あるいは音楽を愛する全てのファンにBeatsが目指す感動を伝えるというブランドの使命感、あるいは音楽にとどまらずゲームや映像、音声通話に至るまで最高のサウンドを楽しんでもらいたいという思いが込められているとウッド氏は説明を加える。

 

今回発表された「BeatsXイヤフォン」をはじめとする新製品は、これまのBeats製品を象徴するようなポップなカラーではなく、エレガントでシックな色調に統一され、デザインもよりエレガントに変わったようにも感じられないだろうか。「そこはアップルの影響を強く受けたからなのだろうか?」と、ウッド氏に質問をぶつけてみたところ「いえ、そうではありません」とウッド氏は明快に切り返した。

 

「例えばBeats Solo3 WirelessオンイヤーヘッドフォンはiPhoneにマッチするカラーを選んでいますが、いま限定モデルやコラボモデルの構想も立ち上がっています。具体的なことはまだお伝えできないのですが、ポップでエネルギッシュなカラーはBeatsのDNAに刻み込まれています。今後もそこから離れるつもりはありません」(ウッド氏)

 

音楽ファンとしては、これからもBeatsとアップルのコラボレーションがいい形で深まり、私たちをあっと驚かせてくれるような画期的な製品が次々と誕生することを願うばかりだ。筆者も今回Beatsの新製品を試聴してみて、ブラッシュアップされたサウンドだけでなく、iOS 10のデバイスとの組み合わせによって実現する簡単なペアリング機能やロングライフバッテリーの魅力にも強く惹きつけられた。いずれは「AirPods」のような完全ワイヤレスのイヤホンがBeatsからも登場するのだろうか。今後の動向からも目が離せなくなりそうだ。

 

また、Beats by Dr. Dreは、今回ご紹介したBeatsのワイヤレスコレクションに焦点を当てた新しいグローバル・キャンペーン動画「Got No Strings」を公開した。本動画では、世界中の各界の第一人者であるキャストが、Beatsの新しいワイヤレスコレクションである「BeatsXイヤフォン」や「Powerbeats3 Wirelessイヤフォン」、「Beats Solo3 Wirelessオンイヤーヘッドフォン」を着用し、Beats製品が提供するワイヤレスで、縛られることない自由なライフスタイルを表現している。Miyavi、赤坂沙世など日本人アーティストも出演しているので、ぜひチェックしたい。