畳に「ごろ寝」すると、音と振動を全身で感じられる――なんとも粋なプロダクトが登場しました。八代産の畳の内部に振動スピーカーを4基内蔵した「畳スピーカー TTM-V20」です。希望小売価格は24万9800円(税抜・送料別途)。
こちらは八代産い草・畳表の再興をめざす「八代産畳表認知向上・需要拡大推進協議会」と、日本音響研究所の共同開発(販売元:山中産業)で、2024年7月4日から一般販売が始まっています。
Bluetoothを搭載し、好きな音源を簡単に再生可能。目的に合った音源を作れば、さまざまな用途で活用できます。例えば、休憩所に置いてリラックスできる音楽をかければ、癒やしの空間を演出できますね。
畳スピーカーを監修した日本音響研究所の鈴木 創所長は「マットレスだと柔らかくて振動が伝わらず、床だと硬すぎてリラックスできない」と指摘。「畳ならではの『ごろ寝文化』や『床座文化』と、振動を伝える機能が思いがけずマッチしています」とのこと。
また、鈴木氏は「部位によって感じやすい周波数が異なることなどから、その目的に合った音源を作ることで様々な活用可能性を秘めている」と語り、「休憩所などでのリラックスシーンだけでなく、イヤホンと連動させることによって、迫力のある音楽や映像作品の鑑賞にも対応可能」と語ります。
また、本製品の推薦者、北九州市立大学の森田 洋教授は、畳が持つ魅力に着目して以下のように語りました。
「『バニリン』をはじめとする、い草の香り成分(嗅覚)や、い草の色(視覚)はリラックス効果をもたらすことが知られており、また畳表は、い草を1本1本編んで作られていることから、畳目の触り心地やクッション性(触覚)も特徴です。この畳本来の良さに、今回、振動スピーカー(聴覚と振動覚)が加わったことで、畳のリラックス効果をより増幅して実感できるのではないでしょうか」
さらに、い草には吸音性もあるため、振動スピーカーを畳に仕込むと「周囲の人にとっても心地よい音響空間の創出にも繋がるのでは」と森田教授。畳が床材としての役割を超え、現代のライフスタイルやトレンドにフィットした形で、応用されることに期待を込めています。