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2016/12/29 18:19

2016年カメラトレンドを時系列で総ざらい!! 高速連写&AFの“準プロ機”や個性派モデルが大豊作

2月のCP+、9月のフォトキナと注目カメラが多数発表され、大盛りあがりだった2016年。熊本地震が工場を直撃するというピンチはあったものの、秋ごろから再び新製品が続々と登場し、活気を取り戻した。そんな2016年のカメラ業界の動向を、注目製品とともに時系列で振り返ってみたい。合わせて2017年の展望もお届けする。

 

2016年前期――プロモデルなど注目機種が多数発表されたオリンピックイヤー

2016年はリオオリンピックが開催されたこともあり、前半はキヤノンとニコンのプロモデルが登場。キヤノンのEOS-1D X MarkIIは最高約14コマ/秒、ニコンのD5は最高約12コマ/秒の連写が可能で、4K動画撮影対応な点も注目された。

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↑ニコンの新フラッグシップ機・D5。AF性能や高速連写に加え、常用最高感度ISO102400、拡張最高感度ISO3280000という高感度性能も大きな話題に。参考価格:68万4090円(ボディ)

 

ニコンはD5と合わせるかたちで、DX(APS-Cサイズ)センサー採用機のフラッグシップモデル・D500も投入。センサーこそAPS-Cサイズながら、最高約10コマ/秒の連写やAF性能はD5に近い。コンパクトに一眼レフシステムを揃えたいユーザーのほか、D5のユーザーのサブ機としても最適なハイスペックモデルといえる。

 

対するキヤノンは中級機EOS 80Dを投入。同社の伝統的なボタンレイアウトやバリアングル液晶搭載で使いやすく、像面位相差AFの「デュアルピクセル CMOS AF」などが採用され、実用機として高く評価された。

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↑EOS 80D。「デュアルピクセル CMOS AF」採用でライブビュー時のAFが速く、ファインダー使用時もオールクロス45点AFで高精度。連写も最高約7コマ/秒と十分速い。参考価格:11万9610円(ボディ)

 

2月に横浜で開催されたカメラ映像関連のイベント「CP+」では、PENTAX初のフルサイズ一眼レフ・PENTAX K-1や富士フイルムのフラッグシップモデル・FUJIFILM X-Pro2、シグマ sd Quattroなども登場した。

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↑シグマ sd Quattro。同社初のミラーレス一眼。独自の「FoveonX3ダイレクトイメージセンサー Quattro」搭載で、解像感が高く階調豊かな画像データが得られる。マウントは同社の一眼レフと同様。参考価格:8万1390円

 

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↑PENTAX K-1。同社初のフルサイズデジタル一眼レフ。約3640万画素で、防塵・防滴性にも優れるため風景撮影などに最適。暗所撮影で便利な「操作部アシストライト」を備える。参考価格:27万4680円(ボディ)

 

コンパクトデジカメでは、パナソニック LUMIX DMC-TX1など、1型センサーを採用する高級コンパクトがあいかわらず人気。一方、もう1つのトレンドとして前述のとおりVR動画撮影対応の機種が増加し、ニコン KeyMissionシリーズやリコー THETAシリーズ、カシオ EXILIM EX-FRシリーズなどが注目を集めた。

 

全体としては、ハイエンド系一眼やVR系コンパクトなどが多数発表され、カメラ好きを喜ばせたが、4月に発生した熊本地震がセンサー工場などを直撃。夏から秋に発売が予定されていた新モデルの発売延期が相次ぎ、CP+2016を見て期待していたユーザーは、熊本の復興を待つこととなった。

 

2016年後期――熊本地震からの復興と新製品ラッシュ

熊本地震以降、新製品の少ないカメラ業界であったが、10月頃にはセンサー生産のメドが立ち、流通が途絶え気味だった製品も店頭に並び、新製品も増えていく。

 

一眼レフではキヤノン EOS 5D MarkIVやニコン D5600&D3400、ソニー α99IIなどが登場。ミラーレス一眼では、オリンパスがフラッグシップ機・OM-D E-M1 MarkIIを、キヤノンがEOS Mシリーズのフラッグシップ・ EOS M5をそれぞれ投入。ソニーもα6500を登場させるなど、後半は新製品ラッシュと呼べる状態が続いた。ミラーレス一眼は、AF速度の速い「像面位相差AF」対応モデルが増え、ミラーがないことなどで連写性能も高めやすいことから、従来の中級一眼レフ以上の性能を誇るモデルも多くなってきた。

 

このほか、高画素一眼の一つの形態として、富士フイルムのFUJIFILM GFX 50Sやハッセルブラッド X1D-50cなど、フルサイズ機よりもセンサーの大きな中判ミラーレス一眼が発表されたのも、カメラ業界としては注目ポイントといえる。

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↑2016年のフォトキナで発表され、2017年春に発売予定の中判ミラーレス一眼・FUJIFILM GFX 50S。約5140万画素の43.8×32.9mmセンサー採用。タッチ対応の背面モニター採用など操作性も高い。価格:未定

 

2017年の展望――中級クラスでAFや連写に優れたモデルに期待!

高速連写や高速・高精度AFといったスペックを持つD500やOM-D E-M1 MarkII、α6500などを使ってみると、これまで難しいと感じていたシーンも比較的楽に撮れるようになり、写真を撮ることが面白くなるはずだ。また、コンパクトデジカメの新たなジャンル・VR動画撮影対応モデルは、最近スマホに押されているコンパクトデジカメの新たな方向性を示すモデルといえるだろう。高画素な中判ミラーレス一眼も含め、こうした新機種の傾向は2017年以降もしばらく続くはず。プロカメラマンでなくても、より失敗なく確実にきれいな写真が撮れる、こうしたカメラに期待が高まる。

 

最後に、2017年に出てくるかもしれない(出てきてほしい!)カメラについて。2016年は、AFや連写に強いカメラが増えたが、これらはどちらかというと準プロ機といえるモデルが多かった。とすると、2017年は中級クラスでこれに近い性能を持ったカメラが登場してくるのではないだろうか? ミラーレス一眼では、現に年末になって登場したソニー α6500は、10万円台で高速連写、高速AFを実現しているし、オリンパス OM-1 MarkIIの下位機種が、これに近いスペックを持つことも十分想像できる。

 

逆に予想が難しいのが一眼レフ。ニコンであれば、D500の下位機種がどの程度のスペックを持ってくるか……や、キヤノンがD500の対抗機種を出してくるかどうか……といったあたりが注目だ。ただ、ハイスペック化するミラーレス一眼に正面から対抗するなら、10万円台でD500並みというカメラを期待したい。

 

このほかコンパクトデジカメも含め、4K動画対応機種の小型化やVR対応など、動画撮影性能の高い機種が登場すれば、一般ユーザーがカメラを買ったり、使ったりする機会も増えていくのではないだろうか。