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2024/7/29 21:30

テクニクスのターンテーブルにJBLのスピーカー…ベスト中のベストをオーディオのプロが解説!

GetNaviは「買って間違いなし!」のアイテムを紹介し続けて25年。膨大な数のオーディオ製品からベスト・オブ・ザ・ベストを専門家に挙げてもらった。これらのアイテムがいかに革新的なのか、最新モデルはどのように進化しているのかを徹底解説。

※こちらは「GetNavi」2024年7月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

選定人

デジタル・メディア評論家 麻倉怜士さん

AV・デジタルなど幅広いメディアに寄稿。一方で、大学講師(音楽学)やUAレコード副代表など多彩な顔を持つ。

 

【その①】Hi-Fiオーディオとして誕生するもDJシーンのニーズと合致しヒット

テクニクス

SL-1200GR2
25万円

ダイレクトドライブ方式を採用した世界初のターンテーブル「SP-10」の系譜を継ぐスタンダードモデル。新世代モーター駆動技術「ΔΣ-Drive」の搭載により高い回転精度と低振動を実現し、明瞭で見通しの良い空間表現を可能にした。

SPEC●駆動方式:ダイレクトドライブ●対応回転数:33 1/3、45、78rpm●ワウ・フラッター:0.025% W.R.M.S●出力端子:RCA×1●サイズ/質量:W453×H173×D372mm/約11.5㎏

 

音楽シーンのニーズに合致しDL機器として大人気に

いまや、全世界のディスコ/クラブ・シーンで活躍するDJのマストアイテムとして定着したテクニクスのターンテーブル。そのマスターピースとも言えるのが「SL-1200」だ。

 

「SLの“S”はステレオ事業部、“L”はプレーヤーを意味します。1972年に誕生して以後、少しの中断はありましたが、現在もなおモデルチェンジを繰り返しながら進化しています」(麻倉さん)

 

テクニクスは元来Hi-Fiオーディオブランド。なぜ、DJ機器を生み出したのか?

 

「SL-1200もオーディオファン向けに出された機器です。しかし、ダイレクトドライブのトルクの強さや回転ムラの少なさ、振動に強いキャビネットなど、本機の特性すべてが当時流行し始めたクラブDJが求めていたものと合致。瞬く間に世界中のDJに広がりました。メーカー側からすれば、プレーヤーを楽器として扱われている光景を見るのは少々複雑だったでしょうね。その後は、メーカーもDJ専用機器をリリースするなどのノリの良さです」(麻倉さん)

↑シングルローター型コアレス・ダイレクトドライブ・モーターを搭載。安定した回転精度と、立ち上がり時間0.7秒(33 1/3回転)を実現した

 

開発担当者に聞きました!

パナソニック(株)テクニクスブランド事業推進室 商品開発部 CTO 奥田忠義さん

初代SL-1200は、1972年に当時の高性能技術を凝縮し、Hi-Fi向け製品として発表。NYのラジオ局が採用すると、音質と使い勝手の良さが音楽シーンを牽引するクラブDJの間で評判に。想定外の使用方法に担当者は困惑したようですが、いまやディスコ/クラブ・シーンにおけるスタンダードになっています。

 

<これぞ殿堂入りの理由>

「1972年に誕生して以後、現在までモデルチェンジを繰り返しながら進化。計16機種が全世界で約350万台売れています。当初業界での評価が低かった“ダイレクトドライブ”を技術で反証し、ステイタスを確立したのは立派」(麻倉さん)

 

テクニクスは、現在3つのクラスのターンテーブルを展開。最上位の「Reference Class」(写真)、上位の「Grand Class」、カジュアルな「Premium Class」。さらに「DJ Turntable」を加え、全6モデルをラインナップする。

 

【その②】プロ用モニターの流れを組み幅広いジャンルとの相性良好

JBL

JBL 4312G
実売価格16万1590円(1本)

1970年代初頭にリリースされたプロ用モニタースピーカー「4310」を祖とし、1982年に登場した人気シリーズ。30cmの大型ウーファーを含む3ウェイ構造により、全域にわたりバランスのいい音色と軽快なサウンドを楽しめる。

SPEC●構成:3ウェイ(300mm径ウーファー/125mm径ミッドレンジ・ユニット/25mm径ドームツイーター)●サイズ/質量:W362×H597×D298mm/25.2㎏(1本/グリル装着時)

↑伝統のHF/UHF連続可変アッテネータを搭載。部屋の響きや設置状況などで変化した音色バランスを細かく調整できる

 

<これぞ殿堂入りの理由>

「50年以上の歴史を持つシリーズ。かつては、ねっちりとした古めの質感でしたが、この4312Gは鮮やかに変身。周波数レンジがワイドになり、すっきりと、伸び伸びと鳴ります。30cm大型ウーファーの低音力も感動的」(麻倉さん)

 

【その③】デノンとNHKが共同開発し日本の放送局のスタンダードに

デノン

DL-103
実売価格4万8500円

1964年に誕生し、当初は業務用としてNHKで使用されて1970年より一般販売がスタート。60周年を迎える今日もなお、性能・仕様は当時と変わらず、国産MC型カートリッジの大定番として君臨している。

SPEC●出力電圧:0.3mV●再生周波数:20Hz〜45kHz●インピーダンス:40Ω●針先:16.5μ丸針●針圧:2.5±0.3g●コンプライアンス5×10-6cm/dyne●質量:8.5g

 

↑同社創立110周年記念モデル「DL-A110(実売7万2600円)」。記念特別仕様ケースに、DL-103、専用ヘッドシェル、針先清掃用ブラシが収納される

 

<これぞ殿堂入りの理由>

「誕生以来一度もモデルチェンジせず、そのまま60年間販売されているのが驚き。放送機器に要求される厳格な仕様に応えつつ、一般オーディオファンにも熱く愛され続けています。私もユーザーのひとり!」(麻倉さん)