老舗オーディオブランドJBLから、充電ケースにディスプレイを搭載したユニークな完全ワイヤレスイヤホン「LIVE BEAM 3」「LIVE BUDS 3」の2モデルが登場しました。
LIVE BEAM 3が今年6月、LIVE BUDS 3は今年7月と、1か月違いで発売されたこの2モデル。実は共通した部分が多いんです。直販サイト価格もLIVE BEAM 3が2万8050円(税込)、LIVE BUDS 3が2万6950円(税込)と約1000円違いで、いざ選ぶとなったときにどちらにしようか迷っている方も多いのではないでしょうか?
JBL
LIVE BEAM 3
2万8050円(税込)LIVE BUDS 3
2万6950円(税込)
そこでこの記事では、2モデルの共通点と相違点をまとめてみました。
両モデルの機能はほとんど一緒
まず機能面から、注目すべきポイントを以下に挙げていきます。
【共通点】
・充電ケースにディスプレイを装備
・高性能なノイズキャンセリング性能
・LDACコーデックによるハイレゾワイヤレス接続が可能
・マルチポイント対応で2台までのデバイスを同時接続できる
・IP55の防水防塵性能
・計6つの通話用マイクでクリアな通話を実現
・JBL Headphonesアプリと連携したカスタマイズ
・ユーザーの聴覚特性にあわせたパーソナライズ化
【相違点】
・イヤホン本体の形状
・ドライバーの素材
・バッテリー寿命
見た目で目立つのは、充電ケースに備えられた1.45インチタッチスクリーンディスプレイですよね。スマートフォンやイヤホン本体からではなく、このディスプレイ上で音量調節や曲送り/戻し、ノイズキャンセリングやサウンドモードの切り替えなどができます。
「こんなディスプレイが必要なのか」「充電ケースから操作するのはかえって手間では」と思ってしまいがちですが、実際に使ってみると、これがけっこう便利。スマートフォンで別のアプリを開いている際に、わざわざ音楽再生アプリを表示して操作するのは面倒ですし、イヤホン本体のタッチ操作は確実性に欠けて連続操作がやりにくいです。音楽再生のために「見ながら操作できる」デバイスが別にあることは、想像以上に快適です。
逆にデザインで大きく異なるのが、LIVE BEAM 3はショートスティックタイプで、LIVE BUDS 3はバッズタイプであること。ともに人間工学に基づいて開発された「デュアルオーバルシェイプデザイン」を採用していて、フィット感は高められています。
着け比べてみると、どちらも耳に隙間なくフィットしますが、わずかにLIVE BUDS 3の方が深くまで耳に入り込む感覚がありました。少しの差ですが、長時間着けていると影響が大きくなってくるため、軽めの装着感が好きならLIVE BEAM 3、より密着した装着感が好きならLIVE BUDS 3を選ぶと良さそうです。
またイヤホンにとって重要なドライバーは両方10mm径のダイナミックドライバーですが、LIVE BEAM 3がPU+PEEK、LIVE BUDS 3がPET+PU+チタニウムと、採用している素材が異なります。それぞれの音の傾向については後で紹介しますが、結構わかりやすい違いがありました。
もうひとつ数字でわかる違いはバッテリー寿命で、LIVE BEAM 3はイヤホン本体で最大約12時間、充電ケース併用で最大約48時間の再生が可能なのに対し、LIVE BUDS 3はイヤホン本体で最大約10時間、充電ケース併用で最大約40時間の再生が可能と短くなっています。ただLIVE BUDS 3の方も十分長いですし、どちらも約10分の充電で約4時間再生できる急速充電にも対応しているので、実使用においてはあまり差を感じないのではないでしょうか。
このほか共通仕様として、ノイズキャンセリングは周囲の騒音レベルにあわせて自動的に効き具合を調整してくれるアダプティブノイズキャンセリング機能を搭載。ユーザーごとにサウンドを最適化する「Personi-Fi」の最新バージョン3.0が利用可能など、新モデルらしいテクノロジーが導入されています。
こうして機能面を見てみると、やはり共通している点が多いですね。ここまでの段階では、ショートスティックスタイルかバッズスタイルのデザインの違いが最も大きなポイントとなりそうです。
LIVE BEAM 3は「迫力」、LIVE BUDS 3は「シャープ」な印象のサウンド
ここからは音の違いを探っていきます。試聴はLDACコーデックで、アンビエントサウンドやイコライザーを切った状態です。
まずLIVE BEAM 3ですが、バランスとしては中低域に厚みがあり、音が極めてクリアであることが特徴です。グルーブ感がありつつも音の描き分けがされているので、さまざまな情報が耳に飛び込んできて「こんな音が入っていたのか」と気付かされるような鳴り方をします。
傾向としては「繊細」よりも「迫力」に分類され、ロックやアップテンポなポップスなどと好相性な印象です。こっちのけんと「はいよろこんで」やPEOPLE 1「鈴々」など、リズムを生み出すベースラインとドラムスが明瞭で、ただでさえノリの良い楽曲がさらに魅力的になり、身体が自然とリズムを取ってしまって止めるのが難しくなります。
タイラー・ザ・クリエイター「RUNNING OUT OF TIME」やPop Smoke「What You Know Bout Love」などヒップホップ系ともマッチしており、深みのある低域がグンっと前にくることによる浮遊感を味わえました。
またS/N比が良くクリアであることに加え、質感が非常に滑らかなのも特徴的。ズンズンと響く低音がただうるさいだけにならないのは、この滑らかさがあるからでしょう。ただ、一歩間違えればまろやかとも捉えられるため、ジャギジャギと掻き鳴らされるギターなど、好みによっては角が取れ過ぎて鋭さがないと感じる方もいるかもしれません。
LIVE BUDS 3の方は、LIVE BEAM 3に比べて低域のパワフルさを残しながらも若干控えめにして、高域にも厚みを持たせたバランスです。音のクリアさ、解像感の高さはLIVE BEAM 3と似ていますが、よりオールマイティな鳴り方になっています。
こちらの傾向は「迫力」よりも「シャープ」といったイメージで、特にバンドサウンドや華やかなアニソンにマッチしそうです。Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」ではただでさえ聞き取りやすいR-指定のラップが、一言一句よりクッキリと伝わってくるような印象。Mrs.GREEN APPLE「インフェルノ」はギターのカッティングの切れ味が増したようで心地よく、リズム隊の音がよりダイレクトに耳に届いてくるように感じられます。
また、グンっとくる低域が抑えられていても、代わりにシャープさからくる疾走感が得られるため、こちらもノリの良い楽曲とはとても好相性。聴く人をグイグイと前から引っ張ってくるのがLIVE BUDS 3、背中から押していくのがLIVE BEAM 3といったイメージで、別の角度から気分を高めてくれます。
一方で、LIVE BUDS 3は万能選手ではありますが、フラットなバランスの他モデルより低域は出ているので、静かな楽曲でも聴き疲れするシーンがあるかもしれません。
なお、共通するサウンドモードとして標準で「STUDIO」「BASS」「CLUB」「EXTREME BASS」「VOCAL」「JAZZ」の6種類が用意されており、自分でチューニングした「マイEQ」を保存することもできます。オーディオメーカーのサウンドモードは効きが控えめに設定されていることが多いですが、このイコライザーはけっこう大胆に変化が楽しめます。充電ケースからサウンドモードを選ぶこともできるので、積極的に遊んでみたくなります。
好みの装着感とサウンド傾向に合わせて選びたい
ここまでご紹介したように、ほぼ同じ時期に登場した同ブランドの2モデルということで共通した部分も多数ありながら、音の傾向にはしっかりと違いが感じられました。
それを踏まえると、「迫力重視でノリの良い楽曲が好き」な方にはLIVE BEAM 3が、「いろんな楽曲を楽しく聴きたい」方にはLIVE BUDS 3がオススメできそうです。
もし店頭に足を運べるのであればぜひ両方を聴き比べてみていただきたいですし、それが難しい場合は本記事を参考に、どちらのモデルがご自身に向いているか考えてみていただけたらうれしいです。
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