子どもが苦手に感じるものといえば、歯医者だろう。子ども時代の歯医者通いがトラウマになっている人は多いはずだ。そのせいか、大人になってから、虫歯が痛いのになかなか行くことができないという人が、私のまわりに多い。
悪化してから行ったら手遅れに
何を隠そう私もその一人だ。歯医者に行かずに放置をしていたら虫歯が悪化、歯医者に行ったら手遅れと言われて、抜くはめになってしまった。抜くときが痛いうえに、抜いてからはあまりに顔の見た目が悪くなり、絶望的な気持ちになった。
もともとよくない見た目が、歯が1本無いせいでさらに悪化してしまったのだ。あまりにも見栄えが悪いのでインプラントにしたが、なんと1本30万円も治療費がかかってしまった。泣きっ面に蜂とは、まさにこういうことだ。
たいがいの人が、虫歯が悪化してから歯医者に行く。そして、行ったときはもう神経を取ることになっているか、手遅れになっているパターンが多い。定期健診を受けるか、もしくはちょっとでも傷みを感じたら早めに歯医者に行くことは本当に大事である。
歯医者が怖い! 5つの理由
と言っても、多くの人が事前に虫歯予防をすることや、早めに歯医者に行くことが大切ということは、わかっているはずだ。にもかかわらず、みんな行こうとしない。なぜ歯医者が怖いのだろうか。苦手に感じる理由を考えてみた。
口を空けたまま診察する
口の中を診てもらうのだから当たり前なのだが、とはいえ、口をずっと空けた状態で治療を受けるスタイルが苦手という人も多いはずだ。
音が怖い
歯を削るときのキュイイイイイインというドリルの音には、なんともいえない恐怖を感じる。せめてあの音、なんとか聞こえないようにできないものだろうか。
薬品の味がまずい
歯に詰め物をしたり、消毒をするときに使われる薬品が、ほかでは味わったことのないような変な味がする。甘いような苦いような謎の味だ。改善して欲しいと強く願う。
痛いと言っているのに削られる
歯医者さんが「痛いときは手を挙げて知らせてくださいね」と言ったくせに、痛いことを知らせると「もうちょっとだから我慢して」と言われ、無理やり削られる。トラウマになる最大の理由はこれではないだろうか。
詰め物が意外にカンタンにとれる
大変な思いをして詰め物や銀歯を装着したというのに、ひょんなことでとれてしまったり、飲み込んでしまったという人もいるのでは。個人的にはキャラメルを食べたときは詰め物が取れやすいと思うのだが、いかがだろうか。
トラウマになる前に、セカンドオピニオンのすすめ
上記のような辛い思いを我慢して、人は歯医者に通う。しかし、行っても行っても一向に歯の痛みが治まらないという人もいるのではないだろうか。ひょっとすると、それは虫歯以外に原因があるのかもしれない。
「歯医者が怖い。歯の痛みは心の痛み?」(大塚 ひかり・著/平凡社・刊)は口腔心身症(歯科心身症)と向き合った著者の苦闘がまとめられている。ストレスなどが原因で口の中が痛くなる病気だ。しかし、まだ病名が認知されているわけではないため、古い知識しか持たない歯医者だと、さんざん治療費ばかりとられた挙句、全然治らないという地獄を味わうことになってしまう。歯医者がトラウマになり、通常の虫歯まで悪化させてしまうのだ。
歯医者の世界も日々進歩している。通っているのに効果があらわれないようであれば、潔く、セカンドオピニオンをすすめたい。歯が痛いと生活に支障が出るし、笑顔も作りにくくなる。健康な歯は、精神面で充実した生活を送るために欠かせないものなのだ。
(文:元城 健)
【参考書籍】
歯医者が怖い。歯の痛みは心の痛み?
著者:大塚ひかり
出版社:平凡社
どんな歯医者に行っても治らない歯の不具合。ドクターショッピングを重ねる中、強まる無力感と焦燥感、絶望感に著名な精神科医にもかかるが、どんどん症状は悪化して、ああ、もう狂いそう!死すら頭をかすめた歯の疼きの正体とは?歯痛、舌痛、噛み合わせが気になるあなたも、「口腔心身症」かもしれない。
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