いまの仕事に満足していますか? もしも満足していなければ、あらためて自己分析してみましょう。『ノマドライフ』(本田直之・著/朝日新聞出版・刊)によれば、わたしたちは「4種類の働き方」を選べます。
優秀なビジネスパーソン
「お金をたくさん稼ぎ、たくさんのモノを所有するのが幸せ」という価値観の人が選んでいる働き方です。優秀なビジネスパーソンは、スキルを高めるための努力を惜しまず、生産性の高い仕事をしますが、時間と場所に縛られています。資産家、経営者、ビジネスエリートは、いろいろな制約を引き受けるかわりに社会的成功を得ています。
平均的なビジネスパーソン
ひとつの会社に依存する働き方です。平均的なビジネスパーソンは、「会社に認めて欲しい」と思っているだけで、スキルや生産性を高める努力をしません。社長や上司に対して不満をかかえているくせに、そんな「気に入らない現状」にしがみついているだけなので、向上心や仕事の生産性が低いです。
ワンダラー(放浪者)
会社や他者から評価されないことを不満に感じて、むやみに転職を繰り返すタイプの働き方です。一見すると自由な精神の持ち主ですが、その実態は「会社にしがみつく」ことすらできないほど忍耐力が乏しいのであり、スキルや生産性は低いです。フリーランスになってみたものの、「ビジネスや居場所をつくれずに時間を持て余していたり、せっかくの自由を活かせず、何もプラスに変えられないまま、ただ漂っている」という生き方です。
ノマド(遊牧民)
ノマドとは「どこでもビジネスができる」という感覚です。
自分が行く先々で、あるいは行き先をからめながら、いろいろなところでビジネスを起こすイメージです(『ノマドライフ』から引用)
「カフェやコワーキングスペースで仕事をする」ことは、ノマドライフの本質ではありません。ノマド(遊牧民)が1つの場所(会社)にとどまることなく移動するのは、行くさきざきで新たな発見をして、新たな収穫を得るためなのです。
カフェからカフェへ移動してノートパソコンをいじっているのに、新たなビジネスを作ることができず、所持金を減らしているだけならば、それは「ワンダラー(放浪者)」です。カフェで長居する常連客にすぎません。
『ノマドライフ』の著者は、理想の働き方を実現するために15年の歳月をかけています。ノマドライフとはストイックな働き方であり、長期間のトレーニングによって実現できるものなのです。
もし、あなたがノマドライフを目指すのなら、やるべきことは勤めている会社を辞めることではなく、働きながらトレーニングをすることです。本書で書かれている方法をいくつか見ていきましょう。
週1回「会社に行かない日」をつくる
会社に行かないとは、さぼって週休3日にすることではありません。
上司や同僚の”監視下”にないと仕事ができないという人はいっぱいいます。しかし、それもまた依存につながります。(『ノマドライフ』から引用)
やるべき仕事は済ませて、就業時間内に「会社の外で新しいビジネスを探す」トレーニングをします。このとき、何も思いつかなければノマドライフには向いていません。
半分の生活費で暮らす
目的は節約ではありません。極端に減らした少ないバジェットで、工夫して楽しく生きる訓練です。
(中略)
工夫しない人間になってしまうと、予算がいくらあっても足りなくなり、永遠にノマドライフを送れないでしょう。
(『ノマドライフ』から引用)
わたしたちは「会社」に依存して、会社から支払われる「お金」にも依存しています。ノマドライフとは、なるべく依存しない生き方です。大企業ですら、あっというまに数千億円の債務超過におちいって、存続困難がささやかれる時代です。月給なんてあてになりません。
ノマドライフの是非
人によって向き不向きがあるので、興味があるならば、実際に取り組んでみるしかありません。
一番いけないのは、不安だからといって何もしないこと。
何も調べず、何も考えず、何も行動に移さず、ただ不安を募らせて足踏みしていたら、毎日が無為に過ぎていきます。(『ノマドライフ』から引用)
「ノマド(遊牧民)」と「ワンダラー(放浪者)」の違いを理解したうえで、ノマドライフに挑戦してみてはいかがでしょうか。
(文:忌川タツヤ)
【参考文献】
ノマドライフ
著者:本田直之
出版社:朝日新聞出版
これからは会社員こそ、1つの組織や場所にしばられないノマドワークライフスタイルで生きていくべき–本書ではそのための基本的心構えから、具体的な仕事・金銭・思考の実践トレーニング術までを公開。本田さんの、ハワイと東京、さらに世界中を移動しながら思考を磨き上げていくライフスタイルを貫く「法則」がわかります。「ノマドワークライフはお金がなくても有名じゃなくても、誰にでもできる。ただし、そのためのトレーニングが必要」と本田さんは言います。より「しばられない」人生に向けて、皆さんはこのトレーニング、どこから始めますか?