7月に入って気温もグンと上がり、休日もダラダラと家にこもりっぱなしの私は、気温の上昇と比例して体力と気力を奪われて、日々お疲れモードになっています。
「毎年猛暑でうんざりだわぁ・・・」
とネガティブに考えてしまう日々にふと目に入ってきたおじいさん・おばあさん達。公園で太極拳らしき動きで優雅に舞っていて、なんだかとってもパワフル! 私にもあのフォースが欲しい! 気がつくと、私はとある太極拳の教室で見学していました(笑)。
今回は、疲れている人にこそ知ってほしい中国武術の魅力を『決定版 中国武術完全マスターブック』(学研パブリッシング・編集/学研プラス・刊)よりお伝えさせていただきます。
そもそも、中国武術ってどんなもの?
みなさんは「中国武術」と聞いてどんなイメージを持たれるでしょうか。
お年寄りのすごい達人がいる? 空手のようなスポーツ競技? 山や川で修行してる人? マンガやアニメの武闘会で戦っている人? とイマイチ定義があいまいですよね。『決定版 中国武術完全マスターブック』には、以下のように紹介されていました。
中国の民間で発生した武術は、元来スポーツでも健康法でもなく、人を打ち、己を護る技撃術であった。目的は生き延びるためであり、徒に勝負を求めるものではなかった。
(『決定版 中国武術完全マスターブック』より引用)
つ、つ、強いっ!!!
生き延びるために生まれた民間の武術ってかっこよすぎます・・・。
ちなみに、私が見学してきたのは「太極拳」でしたが、これも中国武術のなかの一つで、現代においては健康法として広まっているのでご存じの方も多いかも。ただの健康法だと思って、太極拳を習っているおじいちゃんに襲い掛かったらコテっとやられる! なんてこともあるかもしれませんので、(そんなことする人はいないでしょうが)気をつけましょう。逆に今のうちから型を学んでおけば老後は最強かもしれません!
小柄な人が大きな人を一撃できる「ファンソン」が太極拳の根本原理
映画などで、「おい、じいさん! 話聞いてるのかよ~!」なんて若いヤンキーが茶化していると、一瞬で倒されて「覚えていろよ~」・・・なんてシーン、目撃しますよね。どうしてそんなに強いのかというと、「力」をゆるめているからなんだとか。
「え、力を入れないのに強いってどういうこと!?」
太極拳では「用意不用力」といって力を使わない。では、力を使わず、どうやって猛り狂う暴漢をやっつけるのか? ここで重要なのが「ファンソン」なのだ。
(『決定版 中国武術完全マスターブック』より引用)
「ファンソン」とは、ゆるめるという意味の中国語で、無駄な力を使わずに必要な力にだけ集中させて別次元の力を出すということを意味しているそうです。この「ファンソン」こそ太極拳の根本原理にあるそうで、それを身につけられるようになるため、みなさん日々鍛錬されているんだとか。
また太極拳の「型」は、ひとつひとつの技というよりも、複数の型が組み合わされた螺旋運動で繋がっているため、20分近くノンストップで動き続けます。実際に太極拳の99の型を続けて見せてもらったのですが、見ているだけでも大変で、先生や生徒さんたちの凄まじい集中力を目の前で感じることができました。
また、太極拳には個人で型を鍛錬するものと、相手との組手で進める「推手(すいしゅ)」と呼ばれるふたつの練習方法があるそうで、先生によると「初心者でも誰かと組んでやりたいか、一人で習得していきたいかの気分で好きな方を選んでよい」とのこと。次は、推手を見学してみよう~。
見学してみてわかった力の抜き方、使い方
今回、中国武術の太極拳のほんの一部に触れてみてわかったのは、「力の抜き方」と「力の使い方」でした。
日々の生活でも、ひとつのことだけに集中できればいいですが、あれもこれもと同時に色々とやろうとして失敗する・・・なんてこともありますよね。まずは、目の前のこと「だけ」に集中して、それ以外は一旦力をゆるめる。そんな生き方ができれば、ストレスも感じにくく疲れにくい日々を過ごせるのではないかな? なんて思ったりもしました。
あれこれと流行に流されて、毎日をダラダラと過ごしている人こそ中国武術、太極拳を通じて未知なるパワーを習得してみるのがいいかもしれません。一生続けられる、そしてやればやるほど鍛錬されていく中国武術。気になる方は、一度見学してみてはいかがでしょうか? 私のように入会案内をもらい、本気で入会を考える日も近いかもしれません!!
(文:つるたちかこ)
【参考文献】
決定版 中国武術完全マスターブック
著者:学研パブリッシング(編)
出版社:学研プラス
実戦の中から、何代もの名人・達人の手を経て、築き上げられてきた中国武術の攻防技術。その驚くべ技法を身に付ける秘法をここに公開! 武術の天才たちがつくりあげてきた身体能力を飛躍的にパワーアップするトレーニング法の秘密に迫る!