本・書籍
2017/9/3 14:00

疲れ果てる前に知っておきたい自分の身体の「つながりワーク」

あ~~~ぁ、疲れた。

20170901_suzuki_2-4

深いため息と共に、この台詞を吐き出す人のなんと多いことだろう。私もその一人で、なんだか本当にくたびれる。コリコリの肩に漬物石がのっているようだ。

 

何とかならないものだろうかと思いつつ、とりあえずは毎日をやり過ごしている。もっとも、それでどうにか日常が回っているのだから、まだましな方なのだろう。

 

慢性的な疲労に悩む人たち

疲労が原因で日常生活に支障をきたしている人は、周囲にもたくさんいる。くたびれてくたびれて、もう辛抱ならんと紹介状を握りしめ、大病院にかかっても、原因を突き止められることができず、「様子をみましょうと言われただけだよ」と、彼らは嘆く。

 

疲労した人たちを専門に診察する外来もあるというが、ぐったりとした患者さんでいっぱいで、予約待ちが続いている。

 

くたびれ果てた人がこの世には満ちあふれているということなのだろう。夜、眠れないままに体を引きずるように働きに行く人も多い。

 

実は、私の夫もその一人で、ここ数年、やっとのことで起きあがり、どうにか働きに行くという感じだった。義務感だけが彼を支えていたのだろう。挙句の果てに、体をこわし、現在、入院中である。

 

実は、この原稿も夫の病室で書いている。

 

「妻として、もっと早く手を打つべきだったのではないか?」「疲労の原因は何か考えるべきだったのに」と、激しい後悔にさいなまれながら・・・。

 

疲れているとわかっていたのに、「行ってらっしゃい、頑張って」と、送り出していたのが、悔やまれてならない。
晴れて退院したら、今度こそ、何か対策を考えなくては。

 

健康になるためにどうしたらよいのか?

疲労をためずにいるために、私たちはいったい何をすべきなのだろう。をとれば、くたびれやすいし、あちこちガタがくる。それは十分にわかっているが、何とか未病のうちに防いで、深刻な病気に陥らないようにしたい。

 

『「つながり」を感じれば疲れは取れる』(藤本靖・著/学研プラス・刊)には、どうしたら、人間が健康になれるのかについて、独特の方法が示唆されている。

 

私が考えたこともなかったような方法が多く、驚きつつも、実践してみたくなった。こうすべきだったのかと、納得することも多い。

 

自分が健康になるための正解は自分の中にしかありません。ですから、外に答えを求めても、探せば探すほど迷うことになるのです。自分の身体にきく、つまり自分の身体で感じ取るしかないのです。

(『「つながり」を感じれば疲れは取れる』より抜粋)

 

身体のつながりを取り戻す

疲労を克服するのに必要なのは、人ははぜ疲れるのか、なぜ疲れがとれないのか、人まかせにせずに、自分で考えることだ。そのために、まずするべきなのは自分の身体に目を向け、疲れの正体は自分の身体の調節機能が低下していることだと認識することだ。

 

自己調節機能がうまく働くためには、身体の中にある機能別(呼吸器系、脳神経系、消化器系、筋骨格系、循環器系)のつながりを保てるよう、センサーを働かせることが大事です。

(『「つながり」を感じれば疲れは取れる』より抜粋)

 

フムフム、なるほど。

 

身体の機能が持つそれぞれの役割

『「つながり」を感じれば疲れは取れる』は、自分の身体を内側から治していくためには何をすべきか、5つのグループに分けて示す。

 

興味深いのは、それぞれが、会社組織における部署のように役割を持っていると考え、説明していることだ。

 

呼吸器系は「人事部」

 

外と内の流動性を持たせる役割をになっているからだ。

 

脳神経系は「企画部」

 

必要な情報を集め、ニーズに合った指令を送り、動かしていく部署だ。

 

消化器系は「製造部」

 

不都合のない製品(身体)をつくり上げる役目がある。

 

筋骨格系は「営業部」

 

脳神経系(企画部)から下った指令を実行する現場舞台である。

 

循環器系は「経理部」

 

組織を運営するための資金を集め分配する役目を担う。バラバラだったものが、一つのつながりになったとき5つのグループは、一見したところは、個別に存在しているように見える。

 

けれども、それらのつながりを意識すると、新しい何かが生まれてくる。

 

バラバラだった細胞がひとつにまとまることで、イキイキとした「生命の力」が生まれるのです。

(『つながりを感じれば疲れは取れる』より抜粋)

 

個別に存在しているように思える器官に意識を働かせ、それらが実は一つのつながりを持っていることを認識するのが大切だ。

 

そのために、5つの方法を試したい。

 

1:呼吸器系 浅い呼吸が疲れの原因だから、肺全体に息が巡るようにイメージして、深く呼吸する。

2:脳神経系 頭でっかちな状態を認め、脳と脊髄がつながっているとイメージして、神経の通りをよくする。

3:消化器系 ストレスによってつい食べ過ぎる私たち。胃腸が1本の管としてつながっていると考え、過食をやめる。

4:筋骨格系 スマホを見て前かがみになっている姿勢は体を縮こまらせる。スマホを少し遠ざけてみるだけで、体は伸びやかになる。

5:循環器系 機械に囲まれ、心も体も冷え切っている状態を改め、体中を温かい血液が巡っていると実感する努力をする。

 

どこでも試すことができるのが嬉しい

自分の身体に意識を集中させ、身体の中のつながりを感じてみるようにすれば、私たちを苦しめる疲労から抜け出せるという。特別な器具も、場所もいらない。極端なことを言えば、今いる夫の病室ですぐさま試すことができる。

 

「つながりを感じれば疲れはとれる」という言葉をおまじないのように唱えながら、早速、トライしてみよう。ふと気づいたら、肩の上を占拠していた重い石が消え、楽々と動く体を得ることができると信じ、疲労感から解き離れる努力をしたい。

 

(文・三浦暁子)

【文献紹介】

20170901_suzuki_10-1

「つながり」を感じれば疲れはとれる

著者:藤本靖

出版社:学研プラス

呼吸器、脳神経、消化器、筋骨格、循環器という5つの器官グループは、同じ系統どうしがうまく連携していないと、体に不具合が生じてしまう。本書ではこれらの「つながり」を正すための、目で見て意識するだけでも効果のあるノウハウ、ワークを豊富に紹介。

Kindleストアで詳しく見る
楽天Koboで詳しく見る
iBooksで詳しく見る
BookBeyondで詳しく見る