ジャニーズを応援するなら、ぶっちゃけ男か女、どちらがオイシイ想いができるだろうか。これはかねてからの私の疑問である。いや、すでに答えは出ているのだけれど。
別に隠す必要もないので暴露するが、私はジャニヲタである。
まだ「オ」を「ヲ」と表記していなかった時代から、ジャニーズを見守り続けている。ヲタク、というよりもジャニーズ通という表現の方がしっくりくるかもしれない。
我がジャニーズ遍歴
思い起こせば、初めてジャニーズに触れたのは、幼稚園の頃だったか。隣に住むお姉さんの家に遊びに行くと、そのお姉さんは少年隊が歌っている番組を♡の眼差しで見つめていた。私はというと、華麗にダンスするヒガシを見て、くるくる踊る人だな~くらいにしか思っていなかったが。小学校に入ると、空前の光GENJIブーム。もれなく私も、かあくんにキャーキャー言っていたものだ。
そして中学生時代。ついに出会ってしまった。デビュー直後のSMAPに。とりわけ森くんにハートを射抜かれた私は、あっという間にSMAPに、そしてジャニーズの世界に足を突っ込んで抜けられなくなったのだ。
高校に入っても、その熱は増すばかり。KinKi KidsやV6、そして彼らの後ろで踊るジャニーズJr.たちにまで手を広げ、コンサートはもちろん、東京まで舞台を見に行ったり、地方公演に遠征したり。入り待ち、出待ちもしたっけなぁ。もちろん、マナーはしっかり守って。森くん脱退のときは、それこそ人生の終わりかというくらい落ち込んだ。以降、SMAPを応援し続けてはいたが、心にぽっかりと穴が開いた状態だった。もう、特定のタレントのうちわは持てない、そう思っていたのだ。それが、再び出会ってしまった。デビューして間もない頃の関ジャニ∞に。以来、エイター(関ジャニ∞のファンのことを指す)一本。今に至る。
男性ファンは注目されやすいんです
いけない、どうしてもジャニーズのこととなると止まらない。前置きが長くなってしまったが、圧倒的に私のような女性ファンが多いジャニーズ、しかし最近は男性や家族連れでコンサートに来ている人々を見かけるようになった。もちろん、グループによってその割合は違うが、女性ファンにとって、「男性やファミリー参戦率が高い」=「一般的な認知度が高いとみなし、喜ばしいこと」だと感じている。(はず。あくまでも個人的見解)
何よりも、男性がコンサートに参加していると、やっぱり目立つ。背も高いし、女性の中にポツンといる男性には同じ観客からでも目が行く。よって、メンバーからも注目されやすい。同性が応援してくれているとわかると、彼らはみな嬉しそうな表情をし、ステージ上からいろいろと構ってくれる。いわゆるファンサ(お手振り、指差し等ファンサービス)がもらいやすい。だから、男性と一緒にコンサートに行くと、隣にいるこちらまでオイシイ想いができる。何度思っただろうか、私が男だったらな、と。
ジャニーズを『学問』した、ジャニヲタ♂がいた
では実際、男性のジャニーズファンは、どんな想いで応援しているのだろう。(オイシイ想いができる有り難さを、ちゃんとわかってるのだろうか!)
アイドルを恋愛対象としてみている人もいなくはないだろうが、おそらくさほど多くはないだろう。自分もああなりたいという憧れ? それとも、同じ男として一種の仲間意識から? そんな中、ちょっと面白い本を見つけた。福博充著『東大院生。僕、ジャニ男(ヲ)タです。』 。ジャニーズを愛し、研究テーマにまでした東大院生の男性が記した、ジャニーズへの愛に溢れた一冊である。
友人(女性)に連れられて行った嵐のコンサートをきっかけに、どっぷりとジャニーズの魅力にハマっていった著者。彼の握手会やコンサート参戦歴も細かく記されていて、非常に興味深い。福氏は本書で「ステージ上のアイドルが歌う姿や姿勢、ダンスを鑑賞したい。でも、アイドルからは見られたくない。見たい、けど、見られたくない。」という複雑な心境を語っている。指差しをもらったときの快楽は何ものにもかえがたい。応援するうちわも持っている。にもかかわらず、彼らから注目されるのは、恥ずかしいのだそうだ。なんたる贅沢。せっかく、見てもらえるというのに。
ジャニーズあるあるは、男女共通
しかし、本書の中で共感できなかったのはその点くらいのもので、根本的には同じ想いで応援しているのだな、と感じた。多くのジャニヲタがそうであるように、まだ無名に近い頃から応援してきたアイドルが、徐々にスターへの階段を駆け上がり、いざ国民的大スターとなる、そんな過程を、時に親のように、時にマネージャーのように見守る。大きく育っていくお気に入りたちを見ながら、喜びと同時に一抹の寂しさも感じる。(さらに言えば、無事大スターの地位を確立したとき、そのアイドルから「卒業」していくヲタもまた、少なくない)
握手会やコンサートが始まる直前の胸の高鳴りの描写は、うんうん!と首が痛いくらい縦に振って読んだし、ディズニーランドに行った際のエピソードなんて、まさに「ジャニーズあるある」である。
たとえば、夢と希望の国・ディズニーランド。毎日行なわれるパレードでは、いろいろなキャラクターが登場する。そこで「いま、チップからお手ふりもらったー!!」とか、「ミッキーが投げCHUした!!」とかそんな会話をしてしまうのである。(中略)ディズニーランド以外にもたとえば、友人の子どもの運動会を見に行ったときである。思わず「✕✕ちゃん、こっちにお手ふりしてー!」などと勢いあまって叫んでしまう。
(『東大院生。僕、ジャニ男(ヲ)タです。』より引用)
恥ずかしがらず、ジャニヲタを公言しよう!
なんだ、ジャニーズに魅了される理由は、男も女も同じなのか。であれば、「ジャニーズ、興味あるけど、コンサート行ってみたいけど、男が行くのもな。恥ずかしいし、チケットの取り方もわからないし…」などと躊躇している男子がいたら、ぜひその気持ちをカミングアウトしてほしい。きっと、ジャニーズを愛する女子たちにあたたかく迎え入れられること間違いなし。もちろん、アイドル本人たちも嬉しいに違いない。さらにもう一歩踏み出して、積極的にコンサートに参戦しよう。ジャニ友たちは進んで同行してくれることだろう。私も周りにそのようなジャニ男タ予備軍がいたら、喜んで同行する。そして、一緒に行った私にも、ファンサのおこぼれをください!さあ、隠れジャニ男タ諸君、いまこそ立ち上がろう!
(文・水谷 花楓)
【文献紹介】
東大院生。僕、ジャニ男(ヲ)タです。
著者:福博充
出版社:アールズ出版
カウントダウンコンサートに参加して、「今年もまたジャニーズに始まった」と1月1日の日記で書き付ける。 修士論文もジャニーズ。 留学もジャニーズ。 おひとりさま観戦もジャニーズ。 知り合いから「もうヘンな生き物だから……」とまで呼ばれた、ジャニーズが好きで、好きでたまらない東大院生♂、怒涛のジャニーズ遍歴! ジャニーズ研究の顛末を書いた“補稿”&Column付き。