本・書籍
2015/6/26 0:00

東京から京都まで2370円で行く方法。

青春18きっぷという春夏冬の長期休み期間限定で発行される切符がある。JRの鈍行列車に1日乗り放題というすごい切符だ。1日24時間、どれだけ乗っても2370円である(途中乗降も自由。5枚綴りでの販売)。たとえば朝の6:07に東京駅を出発し、東海道線を乗り継いでいくと、14:43には京都に着いてしまう。それがたったの2370円でいいという激安っぷりだ。普通の運賃なら8210円なので、片道5840円、往復だと11680円もオトクである。「おとなの青春18きっぷの旅 得ワザ&口コミガイド」では、この切符を利用しての日本各地でのさまざまな楽しみかたを伝授してくれている。

 

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 夜行バスと夜行電車の違い

 

今では東京から京都に安く行きたい場合、夜行バスを利用する人が多い。東京駅を23時に出れば、朝6時前に京都に着く。数千円で、寝ている間に着けてしまうのだ。早割などでは2000円台で乗車できる場合もある。でも、車酔いをする人、バスで眠ることができない人、お手洗いが近い人などは、不安があり、バス便を躊躇してしまうだろう。

 

ちなみにJRでも期間限定で、青春18きっぷの運行期間中などに、東京から大垣に向かう「ムーンライトながら号」が走っている。これだと東京を23:10に発車し、大垣から東海道線を乗り継げば、8時前には京都に着ける。切符代2370円に座席指定券520円と23:10から24:00までの前日分、東京〜小田原間の運賃1490円をプラスすると合計で4380円。実は私、大学時代にこのタイプの夜行を使い、18きっぷで京都に行ったことがあるし、高校1年の時は昼間に18きっぷで京都に旅している。どれだけ私は京都を目指せばいいのだろう。

 

 

なぜだか京都、行きたい。

 

「そうだ京都、行こう。」というJRの美しいCMが流れ始めたのは1993年。私はその前の1986年から京都に旅しているので、CMに踊らされているわけではない。ただ京都が好きなのだ。最初のうちは太秦映画村や新京極で遊びたかったが、だんだん美術館に行くようになり、そしてもちろん色々なお寺も巡った。新婚旅行まで京都だったし、結婚相手は京都大学卒で同じく京都好きだった(離婚しちゃったけれど)。前世占いで「あなたは平安時代に貴族に和歌を教えていました」と言われたことがあるけれど、それが本当なら私の魂みたいなものが京の都に戻りたがっているのだろうか!?

 

今年の春は娘と行き、四条河原町の裏通りのカフェや錦市場を見て回り、京都国際マンガミュージアムでマンガを読みふけった。時間がなかったので新幹線で行ってしまったけれど、時間があったら18切符で行っていたと思う。娘もすっかり京都が気に入って今度はいつ行くのとうるさい。なんて落ち着く街だったのだろう、と、現地でおぼえた「ごま豆腐のわさび醤油がけ」を家で食べながら恋しがっている。我が家の場合それが京都のようなのだけど、人には何度でも行きたいお気に入りの場所があると思う。そしてそこに格安で行けるのなら、有り難い話だ。

 

 

中高年も鈍行でじっくり移動

 

この青春18きっぷ、もともとは時間に自由な若者が利用することが多かったらしいが、最近は利用客の60%が中高年世代なのだという。確かに私の周りの若い子達は、夜行バスを利用することが多い。JRの夜行列車の本数も少なくなったし、夜行バスの料金も安くなったこともあるのだろう。中高年世代の利用方法もさまざまだろうけれど、私の知ってる60代は、応援している歌手のコンサートに行くためにこの切符を活用し、頑張って追いかけている。

 

18きっぷの旅は、とにかく乗車時間が長い。私は高校1年生の時に甲府から京都まで向かい、延々と緑が続く車窓を眺めて「日本って、広いんだなあ……!」とため息を何度もついていた。でも、ようよう京都に辿り着いた時の感激、あれは鈍行でなければ味わえないものだった。夜行だと真っ暗なので、移動した実感がないし、経由する名古屋などの街の景色を楽しむこともできない。やはり昼間に移動をするほうが鈍行旅の良さを味わえるはずだ。

 

 

鈍行で福岡や秋田まで!?

 

以前、私の友人の女性は、東京駅を23時台に出る夜行に乗り、翌日の23時過ぎに佐賀の実家に到着した。たった1日で九州まで鈍行で行ったのだからすごい。24時間乗り続けてお尻がかなり痛くなったけれど、どうしても帰省したかったので頑張ってしまったそうだ。乗り続ければ驚くほどの距離を移動できるこの切符の秘めた力は大きい。

 

東京から始発に乗って行ける限界は南は福岡、北は秋田らしい。そこまで辿り着くためのルートも、本で親切に、しかも色々な方法をレクチャーしていてとても参考になる。次に18きっぷを使うとしたら、娘の今のうるささからしてやはり京都になると思うけれど、私としては、前述のムーンライトながら号を乗り継げばお昼頃には金沢にも着くので、そちらもぜひ目指してみたい。

 

ちなみに新宿から私の故郷・山梨まではホリデー快速ビューやまなし号という2階建ての期間限定電車が走っている。2階席に乗ると富士山も見えて楽しいし、東京から日帰りもできて、かなりオトクなので、青春18きっぷで、ぜひ!

 

(※本に載っている時刻等は変更になっている場合もあるので、必ず最新の時刻表で確認しましょう
 ※青春青春18きっぷの値段は、書籍発売当時の値段になります。)

 

 

(文・内藤みか)

 

 

【文献紹介】

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おとなの青春18きっぷの旅 得ワザ&口コミガイド
著者:学研パブリッシング(編・著)
出版社:学研パブリッシング

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