本・書籍
2018/4/11 13:30

『ル・ボラン 2018年2月号』――メルセデス・ベンツ、BMW、アウディの威信をかけた三つ巴バトル

“若者の車離れ現象”が声高に唱えられるようになったのは、いつ頃からだろうか。四元正弘氏(株式会社電通電通総研研究主席)の『「若者のクルマ離れ」に関する現状分析と打開可能性』というレポートによれば、2001~2011年の10年間で、20代男子の「自動車に関心がある」割合は71パーセントから42パーセントに急減している。

 

 

オペルで始まり、ジェミニで実現させたドイツ車へのあこがれ

こうした傾向、1980年代初めに免許を取った筆者は、ただただ信じられない。大学1年の夏までの毎日は、とにかく自分の車を1日も早く手に入れることだけをひたすら考えながら過ごした。

 

車両価格58万円、頭金20万円で手に入れた初めての車はいすゞジェミニクーペLSGだった。この車を選んだことには理由がある。ドイツの自動車メーカー、オペル社のカデットというモデルを基にデザインされていたからだ。筆者はこのカデットのラリータイプの外観が大好きだった。本物を買うには時間がかかりすぎてしまう。だから、とてもよく似たジェミニLSGで我慢することにした。そして、ドイツ車に対する憧れは、はっきりと自覚していた。

 

 

輸入台数ベスト3はドイツ車が独占

ベンツ、ポルシェ、BMW、そしてフォルクスワーゲン。ドイツは名車の生産国として名高い。質実剛健さを第一印象に挙げる人は多いだろうが、決してそれだけではない。たとえばベンツのAMGやBMWi8は、圧倒的なパフォーマンスを誇るスポーツカーだ。

 

筆者を含め、日本のドイツ車ファンはかなり多いようだ。日本自動車輸入組合が今年の1月11日に発表した資料によれば、ブランド別輸入台数1位はメルセデス・ベンツ(7,166台)、2位はBMW(5,482台)、3位はフォルクスワーゲン(4,153台)という並びになっている。2017年1年間だけで、ドイツ産の新車が17,000台も日本に入ってきた。さらに言うなら、4位のアウディ(3,055台)は、前年比10.2パーセント増という数字を記録している。

 

 

日本人はドイツ車が好き

ドイツ車と聞いて、まっさきに思い浮かべるイメージはなんだろう? ネットで検索をかけると、最も多くヒットするキーワードは“安全性”だ。アウトバーン(速度無制限、通行料無料の高速道路)を走る機会が多いドイツ車には、高速運転時での走行安定性やブレーキ性能、そしてもちろんエンジンの頑丈さが求められる。

 

加えて言うなら、ドイツ車の衝突安全基準は世界最高レベルにある。事故に遭った場合でも、車体が丈夫なので、被害を最小限に留められる。頑丈で安全。道具としての車に求めるものとしては十分だろう。これに、ドイツ車ならではの実用的なラグジュアリー感が加わるとなれば、選ばれて当然かもしれない。

ドイツ車プレミアムブランド御三家

メルセデス・ベンツ、BMW、アウディはドイツ車プレミアムブランド御三家と呼ばれている。同じ年齢で同じ時代に活躍したマドンナとプリンス、そしてマイケルみたいな関係に例えたくなる。

 

『ル・ボラン 2018年2月号』(ル・ボラン編集部/学研プラス・刊)の目玉は、“Showdown 2018”というタイトルの下に展開される、ドイツ・プレミアムブランドの威信をかけた三つ巴バトルという主旨の40ページ以上にわたる特集記事だ。三つのメーカーの全80車種が登場する。さすがに、見た目だけでもかなりゴージャス。

 

タイプ別対決も読み応え十分だ。BMW M6カブリオレ、メルセデスAMG GTロードスター、アウディR8スパイダーのオープンカー対決。メルセデス・ベンツGLA、アウディQ2、BMW X1の“アイドルSUV選抜総選挙”。そして、おそらく最も需要が高いと思われるミドルセダン対決はアウディA4、メルセデス・ベンツCクラス、そしてBMW3シリーズで繰り広げられる。

 

 

ドリームカー

どの1台をとっても、筆者にとってはすぐに買えるレベルの車ではない。特集記事を読んでいて、ジャニス・ジョプリンの『Mercedes Benz』というア・カペラの曲を思い出した。神さまに呼びかけて、ベンツやカラーテレビを買ってほしいとひたすら訴える内容だ。一説によれば、ジョプリンがベンツに乗ってドライブしていた時に思い浮かべたことを歌詞にしたという。

 

ベンツもBMWもアウディも、筆者にとっては間違いなくドリームカーだ。手に入れられる日が来るという確証も確信もない。ただ、ジェミニLSGを買った時の純粋な熱量は確実に甦ってきた。わんこを湘南に連れて行ってビーチで思い切り走らせたいし、イケアに行ってちょっと大き目の家具も買いたい。コストコでまとめ買いもしてみたい。

 

とりあえずは、この特集記事をもう一回熟読しながら妄想を膨らませることから始めるか。もちろん、『Mercedes Benz』を聞きながら。

 

 

【書籍紹介】

ル・ボラン 2018年2月号

著者:ル・ボラン編集部
発行:学研プラス

輸入車を軸にクルマやクルマ用品、ニュースなどをタイムリーに発信。ダイナミックなビジュアルとわかりやすい記事には定評があり、欧州車を中心とする現地取材企画は高い人気を誇る。

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