自分に厳しい人がいます。そういう人は自分を卑下しがちです。「私なんて全然……」が口ぐせです。その逆に、自分に優しい人がいます。「今日はよく頑張ったね」と自分を褒めてあげられる人です。どちらのほうが運気が上がるかというと、自分に優しい人なのだそうです。
褒めことばは補給剤
私自身の話ですが、私は、27の年になるまで、自分にごほうびをあげたことがありませんでした。どんなに頑張っても、自分を褒めたり認めたりすることもなく、もっと次を目指さねばとさらに気持ちを奮い立たせていたのです。これは、私の親がそういう人で、たとえテストで学年1位を取っても「次も1位をキープするように」と言うだけで、褒めたりしない人だったためだと思うのです。つまり私は、自分を褒めることを知らずに育ったのです。
でもこれは、いつかは息切れを起こします。人生というフルマラソンを、褒め言葉という補給無しで走っているようなものだからです。私は27歳の時に、一旦、もう走れません……とグロッキー状態になり、一時的に引きこもってしまいました。この時に山のように本を読んだのですが、その中のどこかに「自分にごほうびをあげましょう。ずっと欲しかったものを買ってあげましょう」とあったのです。
ごほうびで心も喜ぶ
ずっと欲しかったもの。しばらく考えた末に、ドールハウスに思い至りました。子どもの頃からずっと欲しかったのに、人形の家を買ってはもらえなかったのです。大人になり、それを買うくらいのお金はあるのに「いまさら買っても」という思いがあり、躊躇していたのですが、思い切って大金をはたき、それを手に入れました。
どんな気持ちだったかというと、これがものすごく気持ちが良かったのです。今の自分だけでなく、小さな頃の自分の魂も一緒になって喜んでいるのがはっきりわかったんです。好きな位置に家具を並べるだけで、至福を味わえました。自分にエネルギーを与えるというのは、こういうことなのだなとその時初めて悟り、以来、私は、自分に色々なごほうびをあげるようになったのですが、それはかなり効果のある行動だったようなのです。
大切な「自画自賛力」
『折れない心を育てる 自画自賛力』(原田隆史・著/KADOKAWA/メディアファクトリー・刊)によると、自分のことをまず自分自身で褒めることがポイントなのだそうです。誰かが褒めてくれるのを待っているのでは時間がもったいないのだそうです。確かに、何かをやり遂げた時に、すぐさま自分を褒めてあげられるのは、自分以外にいません。
本の著者・原田隆史先生は、多くのスポーツマンを優勝や目標達成へと導いた指導者として有名ですが、自分に自信を持ち、セルフイメージを持つことで、夢は叶えやすくなるのだと断言し、「自信を持つと人は劇的に変わる」と言います。例えば女子サッカーの澤穂希選手は決勝前日に「(自分が優勝トロフィーを)掲げている姿が想像つく」と話していたそうですが「自分はできる」と信じられたからこそ、そうしたセルフイメージを思い浮かべられたのだそうです。
憧れの人のマネもパワーに
私たちは、頑張った自分自身にごほうびをあげることで、自分を可愛がり、さらに伸ばすことができるのでしょう。そうすることで心にプラスのパワーが満ちていくのです。「自分にごほうびだなんて、何をあげたらいいのか想像もつかない」と言う人が大勢いますが、そういう人に、本は「尊敬する人の真似をしてみてください」とアドバイスしています。
例えば尊敬する上司がいつもグリーン車を使っているのなら、グリーン車に乗ってみる。憧れのカリスマビジネスマンが通っている高級料理店があるなら、そこに思い切って行ってみるなどして、目指す人の世界を体感してみるとセルフイメージも高まっていくのだそうです。何かに頑張った時には、自分をより高めるために、ちょっと背伸びしたごほうびを自分にあげてみると、今までとはまた違う景色が見えてくるのかもしれません。
【書籍紹介】
折れない心を育てる 自画自賛力
著者:原田隆史
発行:KADOKAWA / メディアファクトリー
自分を認め、信じる力=「自画自賛力」こそが、成功の原動力である! 数多のビジネスマンを指導してきた著者が、1日5分からできる、記録と日誌を用いた「自己肯定感」メソッドを紹介。これでもう、あなたの心は決して折れない!