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2018/4/24 13:30

『世界遺産の街を歩こう』――家にいながら「世界遺産」をバーチャル・トリップしてみませんか?

世界遺産の街を歩こう』(学研パブリッシング・編/学研プラス・刊)は、街や地域全体が世界遺産に登録されている場所を49か所厳選し、紹介した本。もし、どこにも出掛けられず家でため息をついている方がいたら、ぜひおすすめしたい。美しい写真を眺めているだけで旅した気分に浸れること間違いなしの一冊だ。もちろん、これから旅に出掛ける方にはガイドブックとしても使える。

 

 

 

意外と知らない世界遺産の基本とは?

2017年の時点で、世界遺産総数は1073件。「祝!○○が世界遺産に登録!」というニュースが毎年のように飛び込んでくるが、そもそも「世界遺産って何?」と聞かれて、あなたはそれを明確に答えられるだろうか? 本書ではこの基本を詳しく解説している。

 

世界遺産誕生のきっかけとなったのが、1960年に着工されたエジプト・ナイル川のアスワン・ハイ・ダムの建設だ。これによってヌビア遺跡が水没する恐れがあったため、遺跡内のアブ・シンベル神殿を移築することとなった。その後、歴史的価値のある遺跡や建築物を、国際的な組織によって守ろうという機運が生まれたのだ。

(『世界遺産の街を歩こう』から引用)

 

世界遺産とは、自然と人類の歴史によって生み出され、過去から引き継がれ、次世代に受け継ぐべき貴重な文化財や自然環境のことを指す。1972年のUNESCO総会で採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づき、世界中の顕著で普遍的な価値のある文化遺産、自然遺産が選ばれることとなった。

 

ちなみに記念すべき世界遺産第1号は、アメリカのイエローストーン国立公園やエクアドルのガラパゴス諸島など12件だった。

 

 

街全体が世界遺産とは?

この本で厳選し紹介している世界遺産49件は、街やエリア全体が世界遺産として登録されているところだ。

 

「旧市街」、「歴史地区」、「古都」といった名称で呼ばれ、古くからの建物が密集している地域一体を指す。その地域のなかでも、特に重要とされる宮殿や寺院などの建物はリストのなかに記載されているが、ベンチや公衆トイレ、電話ボックスはどうかといえば、厳密な定義は成されていない。いずれにせよ、世界遺産の街では景観を壊すことがないようにさまざまな工夫が成されており、そうした努力の痕跡を見つけ出すのも、旅の楽しみの一つといえよう。

(『世界遺産の街を歩こう』から引用)

 

本書では、さらに世界遺産に登録されるための“登録基準”についても詳しく解説している。

何度でも行きたくなるヨーロッパの歴史散歩

本書ではヨーロッパで34件の世界遺産の街が紹介されているが、私が何度も訪れているにもかかわらず、また行きたいと思うのが、「北のヴェネツィア」と呼ばれるベルギーの“ブルージュ歴史地区”だ。

 

私たち家族は長年パリで暮らしていたが、日本からのお客が来るとパリ案内をしたあとは、必ずブルージュに連れて行った。パリから車で北に向かって2時間半走るとブルージュに着く。

 

ベルギーの北西部にあるこの街は「水の都」、「北のヴェネツィア」など、さまざまな異名で美しさを称えられる古都で、運河では白鳥が戯れるとてもロマンティックな街。連れて行った親族や友人たちは皆、ここが気に入り「わぁ~、素敵な街ね。さすが世界遺産」と言っていたものだ。

 

ブルージュの起源は、九世紀に初代フランドル伯のボードゥアン一世が築いた城塞とされる。切り妻屋根のフランドル地方特有の家々と、教会や鐘楼が建ち並び、街中には運河が流れている。そんな中世にタイムスリップしたような街並みは、「屋根のない美術館」とも称されている。

(『世界遺産の街を歩こう』から引用)

 

ブルージュでは観光用のボートに乗って街中を流れる運河をクルーズすると、この街の美しさを堪能できる。この他に厳選されているのが、北・西ヨーロッパ編では、イギリス・エディンバラ市街、フランス・パリのセーヌ河岸、スイス・ベルン旧市街、オーストリア・ウィーン歴史地区など8ヵ所。

 

南ヨーロッパ編では、バチカン市国、イタリア・ヴェネツィア、イタリア・フェレンツェ歴史地区、ギリシャ・コルフ旧市街、スペイン・古都トレド、スペイン・グラナダ、トルコ・イスタンブール歴史地区など18ヵ所。

 

東ヨーロッパ編では、チェコ・プラハ歴史地区、ハンガリー・ブダペストのドナウ河岸、ポーランド・ワルシャワ歴史地区、ロシア・サンクトぺテルブルグ歴史地区など8ヵ所。それぞれの街並みが、うっとりするような美しい写真とともに紹介されている。

 

 

アジア、中南米、アフリカの世界遺産の街も行ってみたい

私は”水”のあるところが好きなのかもしれない。アジア編のページをめくっていて「あっ、ここ素敵!行ってみたい」と思ったのが、中国の麗江旧市街だ。雲南省西北部の標高2400mに位置する麗江は、かつて少数民族ナシ族の王都として栄えた高原の都市。

 

旧市街には、水路や石畳が敷かれた通り、延々と連なるいぶし銀の瓦屋根の木造建築など、800年以上の時を経た今も当時の面影が残されており、ナシ族をはじめとして少数民族が昔ながらの暮らしを営んでいる。

(『世界遺産の街を歩こう』から引用)

 

アジアならではの情緒ある景観がとても美しい! アジア編ではこの他に、ネパール・カトマンズ谷、ベトナム・古都ホイアン、ウズベキスタン・ブハラ歴史地区など7ヵ所が選ばれている。

 

さらに中南米編では、メキシコ・メキシコシティ歴史地区、キューバ・オールド・ハバナ、ペルー・クスコ市街、ブラジル・サルヴァドール・デ・バイア歴史地区の4ヵ所。

 

アフリカ編では、モロッコ・マラケシ旧市街、チュニジア・チュニス旧市街、エジプト・カイロ歴史地区、マリ・ジェネン旧市街の4ヵ所が紹介されている。

 

さぁ、あなたならどこの世界遺産の街を歩きたいと思うだろうか? また、実際に訪ねることはできなくても、この本が私たちを日本にいながら世界遺産の街へと連れて行ってくれる。

 

 

【書籍紹介】

世界遺産の街を歩こう

著者:学研パブリッシング(編)
発行:学研プラス

世界遺産のなかで150カ所近くある歴史地区、旧市街、およびそれに相当する地域から、ヴェネツィア、フィレンツェ、ドゥブロヴニク、パリなど特に若い女性に人気のあるエリアを厳選!豊富なビジュアルでいながらにして世界遺産の街歩きが楽しめる!

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