サラリーマンというものは、たいへんだ。仕事をして成果を出さなければいけないのはもちろん、人間関係もうまくやっていかなければならない。
僕は、正式に会社に就職したことがない。そのため、あまり厳しい人間関係の中にいたことがない。小さな編集プロダクションにいたときも、上司とは仲が良く友だちのような感じだった(仕事はちゃんとしてましたよ)。
その後フリーになったので、人間関係のいざこざに巻き込まれたことはほとんどないと思う。「思う」というのは、僕が人間関係にあまり敏感ではないからかもしれないからだ。もしかしたら、僕が知らないところでいろいろ起こっていたのかもしれないが、基本一人で仕事をしているので、知らないだけなのかもしれない。
ストレスで長期休暇をしたサラリーマンは意外と多い
『仕事の80%は人間関係で決まる ムカつく上司とイラつく部下がいる職場が天国になる神業』(佐藤康行・著/ゴマブックス・刊)という本を読むと、職場での人間関係で悩んでいる人のオンパレードだ。
上司、同僚、部下……。立場の違う人間が集まっている職場では、何もないということはないだろうが、それにしてもたいへんそうだ。
厚生労働省が行っている「労働者健康状況調査」平成24年版によると、「メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業又は退職した労働者の状況」の調査では8.1%となっている。
また、5000人以上の事業所に限って言えば、92.3%とかなり高い割合となっている。それだけ、職場でストレスを抱えている人が多いということなのだろう。
人の心を理解することが必要
職場でストレスを感じる要因はいろいろあるだろう。仕事の成績が上がらない。上司や部下、同僚と折り合いが合わない。そもそも人付き合いが苦手な性格だ、などなど……。
職場での人間関係を円滑にするための秘訣が先ほどの『仕事の80%は人間関係で決まる ムカつく上司とイラつく部下がいる職場が天国になる神業』に端的に書かれている。
つまり、人の心がわかる人間にならなくては、何も始まらないのである。
(『仕事の80%は人間関係で決まる ムカつく上司とイラつく部下がいる職場が天国になる神業』より引用)
要は、「上司や同僚、部下が自分に何を求めているのか」を理解し、それを実行すれば、自然と人間関係がスムーズになり、仕事もうまくいくということらしい。
人間関係のストレスを軽減する3つの「処方箋」
この本では、人間関係のストレスでうつ状態になった人をサンプルに、どうしてそうなったのかの原因を突き止め、解決策を提示している。
大事なこととして、以下の3つを「処方箋」と称して掲げている。
「コミュニケーション」を徹底する
「相手の思い描くこと」に焦点を合わせる
どんなささいなことでも「紙に書く」(『仕事の80%は人間関係で決まる ムカつく上司とイラつく部下がいる職場が天国になる神業』より抜粋)
「コミュニケーション」とはいわゆる「ホウ・レン・ソウ」だ。仕事の基本ともいえる。もし、引き受けた仕事が期日までに終わりそうもないのなら、早めに相談するといったことだ。
「相手の思い描くこと」というのは、「仕事の内容を理解する」ということ。相手がどんな仕事を自分に求めているのかがわからなければ、仕事のしようがない。
「紙に書く」は、基本中の基本だろう。打ち合わせの内容はメモを取っておかなければ忘れてしまう。あとで相手と「言った言わない」論になったときも、証拠となる。
ほんの少しの勇気で人間関係が変わるかも?
どれも、仕事の現場では当たり前のことのようだが、これらを実践できていない場合、ストレスを感じてしまうようだ。
逆に考えれば、ちょっとだけ勇気を出して、わからないことを「わからないのでもう一度」と言えるようになれば、職場でのストレスはかなり軽減されるのだ。
「もっといい職場だったら」と考えているのならば、まずは自分から変わってみることも必要。ほんのちょっとしたことで、すべてがいい方向に進むかもしれない。
職場の人間関係で悩んでいる人がいたら、3つの処方箋を試してみてはいかがだろうか?
(文:三浦一紀)
【文献紹介】
仕事の80%は人間関係で決まる ムカつく上司とイラつく部下がいる職場が天国になる神業
著者:佐藤康行
出版社:ゴマブックス
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