天才になるには「自己分析」が命
もっとも大切なのは、自らの長所や短所を客観的かつ冷静に見て、分析すること。なぜならば、1人の人間の才能はピンポイントであるからだと、あっちゃんは述べる。
たとえば、医者に向いているといっても、心臓外科医か精神科医ではまったく違う。心臓外科医の中でも、手術を行う技術に長けているのか、チームをまとめて手術自体を成功させる能力があるのか。芸人でいうならば、大喜利が得意なのかコントが最高に面白いのか、はたまた体を張った企画向きなのか、しゃべりで観客を魅了するタイプか。
こうして考えてみると、たとえ同じ職業であってもそれぞれ違った能力があり、活かせる場所が違うことに気づく。まずは、自分が何を得意とするか。どんな現場で生き生きとしているかを見つめ直してみよう。
また、その才能は、自分自身よりも他人の方が気づきやすい。自分では欠点だと思っていたものが、実は最強の武器だということもある。だからこそ、周囲の評価や今いる環境、時代のニーズをも鑑みて、綿密に自己分析すべきなのだ。
長所を伸ばし、短所は無視する
オリラジはリズムネタを得意としていて、音楽やダンスが最大の強み。一方で、「お笑い」で当たり前のように求められる漫才やコント、大喜利などはめっぽう苦手。だからこそ、不得意な従来のお笑いジャンルは早々に捨て、長所であるリズムネタを核にさまざまな挑戦をしてきたのだ。
と、あっちゃんは言う。つまり、「勝てるところで努力して勝負する」ということだ。結果、いまのオリエンタルラジオの地位がある。
確かに、苦手なことをいくら努力しても、そのジャンルで才能がある人にはなかなか近づけない。であれば、長所だけに絞って磨いていくほうが、成功への近道だろう。とはいえ、ただがむしゃらに頑張るだけではダメだ。繰り返しになるが、一に分析、二に分析。
「武勇伝」ネタや音楽ユニット「RADIO FISH」が受け入れられた背景には、その時代のニーズ、あらゆるお笑いネタの分析、成功者(即ちライバル)の強み、社会全体の流れなどを、実に詳細に分析し、自分たちの長所をどう表現していけばブレイクするかを試行錯誤した結果なのである。
本書の中では、他にも自分の才能を開花させるための戦略が数多く紹介されている。
「人は誰もが天才だ」という主張は、確かに正しい。ただし、その才能を輝かせるための多大なる努力があってこそ。常にトライアンドエラーを繰り返し、より高みを目指しているあっちゃんの姿は、多くの大人たちの背中を押してくれるだろう。私自身、仕事の方向性を再度考え直そうと前向きになれた。
ちなみに、「中田敦彦氏が飛び乗った瞬間に、特急列車のドアが閉まった!」とは、某バラエティ番組プロデューサー談。やっぱり「あっちゃん、かっこい~!」
【書籍紹介】
天才の証明
著者:中田敦彦
発行:日経BP
あなたには才能がある 私がそれを証明する。既存のルールに縛られるな。新しい視野と思考を手に入れろ。オリエンタルラジオ、RADIO FISHの司令塔による才能を開花させる「戦略」と「選択」