本・書籍
ひみつシリーズ
2018/7/10 23:00

日本のトンネル技術は世界一ィィィ! あなたの知らないトンネルの世界――『トンネルのひみつ』

我々の生活のなかに浸透している「トンネル」。高速道路や新幹線などを利用すると、かなり多くのトンネルがあることに気づくだろう。

 

日本は、現在世界でも有数のトンネル技術を有している。日本は地盤が柔らかいところが多いため、なかなか効率よくトンネルが作れなかったようだ。

 

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日本はシールド工法の先進国

トンネルには大きく分けると、地中に掘るトンネルと、山の中に穴を開けるトンネルがある。日本は、地盤が柔らかいために地中のトンネルを掘るのが難しく、大きな事故も起きている。

 

しかし、現在の日本のトンネルの技術は世界でもトップレベルと言われている。特に、地中トンネルを掘るための「シールド工法」は、海外でも採用され、世界一の長さを誇る海底トンネル「英仏海峡トンネル」にも、日本のシールド工法およびシールドマシンが用いられている。

 

 

シールド工法のヒントはフナクイムシにあり

そんなシールド工法だが、考案をしたのはフランス人のブルネルというトンネル技師。1818年に特許を取得している。ブルネルは、とある二枚貝の生態からシールド工法を思いついたらしい。『トンネルのひみつ』(田川滋・漫画/YHB編集企画・構成/学研プラス・刊)によると、こう書かれている。

 

この方法を考えたのは、フランス人のブルネルという技師で、ブルネルは船の木材を食べて、そのあなにすむフナクイムシを見て、シールド工法を思いついたといわれているんだ。

(『トンネルのひみつ』より引用)

 

フナクイムシとは二枚貝の一種で、木材を食べて穴を掘り進めながら、自らの体液で穴の壁に膜を作り、穴を丈夫に保つ。それを応用したのがシールド工法なのだ。

 

 

世界一長い海底トンネルは4年で完成

ちなみに、日本の青函トンネル(全長53.85km、海底部23.3km)は開通までに調査を含め42年、工事だけでも24年かかっている。4度の異常出水が主な原因だ。

 

一方、海底部の総距離で世界一の長さを持つ英仏海峡トンネル(全長50.49km、海底部37.9km)は、工事期間は4年。海底の地盤が固かったため、かなり効率よく掘り進めることができたようだ。

 

トンネルを作るためには、技術だけではなく、地盤はとても重要であるということがよくわかる事例と言える。

 

 

トンネルの歴史を知ればイライラも減るかも?

現在日本、特に東京では、鉄道や高速道路を地下に建設するという流れになっている。我々は便利になっていいねと感じるだけかもしれないが、日本でスムーズにトンネルを作るというのは、実はかなり困難なことなのだ。長い間かけて、先人が築き上げた技術があってこそ、数々のトンネルが作られている。

 

そう考えると、普段の生活で何気なく使っているトンネルや地下道も、特別なものに感じられる。高速道路では渋滞スポットになっているところもあるが、トンネルの歴史や工法などに思いを馳せれば、イライラも解消されるかもしれない。

 

【書籍紹介】

トンネルのひみつ

著者:田川滋(漫画)、YHB編集企画(構成)
発行:学研プラス

トンネルには、山のトンネルや街のトンネルなど、いろんな種類があることを知ってる? みんなの暮らしを便利にしてくれるトンネルは、どんな機械を使って、どうやってつくるんだろう? この本を読めば、今まで知らなかったトンネルのことがよくわかるよ。

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