本・書籍
ビジネス
2018/7/25 6:00

【朝の1冊】クズエピソードばっかりなのになぜか働きたくなってしまう!――掟ポルシェ『男の! ヤバすぎバイト列伝』

みなさんはこれまでの人生、どれくらいのバイトをしてきましたか?

 

私は、スーパーの包装作業・お土産販売・コンビニ店員・家庭教師・古着屋・コンタクト販売員と、まあまあ多いかな? と思う数のバイトを経験してきました。どのバイトも私の血となり肉となり、バイト時には大変なことも多々ありましたが、思い返せば「やってよかった」と思うことばかり。そしてこの夏、3か月限定で保育園でプールの用務員さんのバイトを始めました。会社員を10年ほど経て、このバイトを始めたキッカケは大好きな掟ポルシェさんの最新刊『男の! ヤバすぎバイト列伝』(掟ポルシェ・著/リットーミュージック・刊)を読んだから!!!

 

とは言いすぎかもしれませんが(笑)、6月から個人事業主になりまして、今までのお仕事をしながら時間もできたので週3日ほどバイトを始めたのです。今の時代、安定的に会社員として働く方がいいかもしれません。でも人生は一度きり! 『男の! ヤバすぎバイト列伝』から働くことの意義、生きていくことの楽しさを教えてもらいましょう。

 

 

働くことを舐めすぎてる!!

私が岩手でコンビニバイトをしていた時の時給を伝えるとみんなに驚かれるのですが、2004年の時点で580円でした。もちろん、そこから少しずつ時給を上げてもらえましたが、東京にきて当たり前に”時給1000円”と書かれてあるバイト募集の張り紙を見て「やっぱり都会はすげぇ」と思ったのでした。

 

『男の! ヤバすぎバイト列伝』の著者である掟ポルシェさんも、地元・北海道で高校時代に初めて経験したバイトは日給300円だったそう。しかし、寒い日に夕刊を配るのが嫌だなぁ〜という思いから、雪の中に新聞を埋めて「クビ」になってしまったのです。

 

人生初バイトは、クビという形で終わった。だが、そこで反省するような俺ではない。「明日から朝遅くまで寝てられる! ラッキー!」ぐらいにしか思っていなかったので、以降25歳ぐらいまで依然としてナメた勤務態度でバイトに臨んだ。リアルにクズだった。

(『男の! ヤバすぎバイト列伝』より引用)

 

いやいやいや(笑)。

 

今だったら、炎上案件ですよね。Twitterで「バイト面倒だから雪の中に新聞埋めたわww」みたいに写真付きでツイートでもしたもんならテレビニュースになっちゃうくらいのレベル!! そんな、働くことを舐めきっていた掟さんですが、大学進学とともに東京へ上京し、さらに多くのバイトを経験するのでした。

 

 

ペンキ屋さんでのバイトがすごすぎて意味がわからない!

上京後、交通整理のバイトや、ここには書けないような”りんしょう”というボランティア(と言ってもお金をもらえます)をしていきながら、ペンキ屋さんのバイトにたどり着きます。果たしてどんなバイトだったのでしょうか?

 

「もんすごく我慢して朝6時半に出社して、もんすごく我慢して平日昼間にすーすーシンナー吸って、12時間ぐらいじっともんすごく我慢していれば1万4500円もらえるからまあしょうがねえかああそれにしても嫌だ本当に嫌だ」程度のナメた意識のもと、特に仕事も覚えようともせず、言われたことを最小限にこなす以外は職人のオヤジたちとも特に会話せず、故に口数も少なかった。

(『男の! ヤバすぎバイト列伝』より引用)

 

どれだけ我慢してんだ! というような一文ですが、タンクの中のペンキ塗り(どこにも空気の逃げ場がない場所でシンナーやら薬品が充満して倒れちゃうような場所!)をしたり、今では絶対使えないような薬品が入っているもので作業したりと、これまたテレビニュースで報道されて会社が倒産してしまうのではないか? というエピソードが多数。始めた当時は「こなすだけ」だったそうですが、シンナーを舐めて(!?)名前を当てられるおじさんや、全然仕事してくれないおじさんなど、一緒に働くバイト仲間が濃すぎてそのエピソードだけでも楽しめます。

 

 

クビになっても笑顔! 遅刻ばかりのイシグロくん

ペンキ屋さんのバイトにはおじさんばかりではなく、「出たい時に出勤すればOK」という制度だったため、若い人も多く来ていたそうです。今ではそんなフリーダムな職場はなかなか存在しないですし、自分都合でシフトを組むだけでも難しい時代ですが、当時はこんなにゆるいのにクビになっちゃう人もいたそうです。それが、遅刻を繰り返していたイシグロくん。

 

「イシグロ、クビになったって(笑)」

え! なんで!?  いや、心当たりはありすぎるけど!

「今朝遅刻したじゃん。イシグロ、事務所に来たの昼1時(笑)」

(『男の! ヤバすぎバイト列伝』より引用)

 

集合時間は朝6時半! もう午後の作業をちょっとして片付けるくらいしか出来ない時間! (笑)もちろんその場で「もう来なくていい」と言われてしまったそうなのですが、それでも「すいませんでした〜(笑)」と笑顔で反発することなく、辞めていったそうです。すごすぎる!!

 

ちなみにこのイシグロくん、ご存知の方もいるかもしれませんが、ヒップホップグループ「キミドリ」を立ち上げMCとして大活躍された方。私も大学時代によく聞いていたグループだったので、読んでいて思わず「えっ!」と大きな声を出してしまいました。今改めて聞くと、なんか変な感じです(笑)。

 

 

これだけクズエピソードを読んでいるのに…

ここまで読んだだけでも「なんてすごい人生なんだ」と思う人も多いと思うのですが、この後の掟さんもまだまだすごいです。出版社に就職するもすぐに辞めてしまったり、またペンキ屋さんへ出戻ったり、エロ本の編集をしたり、ビルの窓拭きのお仕事をしたり、どんどんバイトを重ねていきます。この本の帯には『バイトって素晴らしい! って本じゃねえからな!!!』と漫画家・東村アキコさんのコメントも寄せられていますが、最後まで読んでいくと、なぜか私自身も「働きたい」「いろんな業種を経験してみたい」と謎なポジティブパワーが湧いてきてしまったのです。

 

よく「好きを仕事に」なんて言われていますが、そんなことよりも目の前にある仕事を必死になってやっていたらどんな普通のことでも、どんなに当たり前のことでもキラキラ楽しくなるんだということを掟さんに教えてもらったように思います。

 

「これからどう働いていこう」「このままサラリーマンしていていいのかな?」と思っているビジネスマンにこそ、掟さんの生きる力、クズなのにかっこよく見えてしまう生き方を知ってほしいと思いました。ちょっと女性には手に取りにくい表紙かもしれませんが(笑)、勇気を持ってゲットしてください!!

 

 

【書籍紹介】

男の!ヤバすぎバイト列伝

著者:掟 ポルシェ
発行:リットーミュージック

ニューウェイブバンド”ロマンポルシェ。”のボーカル&説教担当、アイドルDJやライターとして(一部で)絶大な支持を誇るサブカル界の兄貴・掟ポルシェ。彼がナメた姿勢で取り組んできた自身のバイト体験を赤裸々に綴った連載(音楽エンタメサイト『耳マン』掲載)をまとめ、特別対談も収録した初の自叙伝的コラム! 掟ポルシェが全裸で書いた破天荒な生き様がここに!

kindlleストアで詳しく見る
楽天Koboで詳しく見る