人生は有限です。与えられた時間は限られています。現代社会では、お金と時間を切り離して考えることはできません。
『奴隷の時間 自由な時間』(ひろ さちや・著/朝日新聞出版・刊)という本があります。欲望の奴隷にならないための心がけを説いている1冊です。
「働く」だけが仕事ではない
仕事には二種類があります。
一つは、金を稼ぐための仕事です。
もう一つは、人間としての大事な仕事で、具体的に言えば「老いる仕事」「病む仕事」「死ぬ仕事」です。
(『奴隷の時間 自由な時間』から引用)
こちらの都合にお構いなくやってくるもの。それが「仕事」というものです。
「病気」や「老い」や「死」は、思いがけないタイミングでやってきます。金儲けがうまい人であっても、いざ病気になったり余命宣告をされたとき、ビジネスライクに要領良くやり過ごせるでしょうか? そんな人は、おそらく少数派でしょう。
一病息災。治る病気ならば、ネガティブに考えずに、乗り切れば成長できる仕事だと考えましょう。
わたしたちは、「死ぬ」という一世一代の大仕事をやりきるために、さまざまな経験をします。そのように考えれば、あらゆる困難もムダではないことが理解できます。
1日のうち、何時間を売るべきか?
わたしたちは二十四時間のうちの何時間かは売りに出さねばなりません。
(『奴隷の時間 自由な時間』から引用)
ほとんどの人は、時間を切り売りすることによって、生活の糧を得ています。費やした時間に対する見返り(報酬)は、人それぞれです。なかには、使い切れないほどお金を稼いでみせる人もいます。
先に述べたとおり、資産を増やすことだけが「仕事」ではありません。本書『奴隷の時間 自由な時間』の著者は、「いちばん愚かな人は、24時間の大部分を売り払ってしまった人だ」と述べています。欲張りな人は、いつまでも満ち足りることがないからです。
そのような生き方について、わかりやすいたとえ話があります。「人にはどれほどの土地がいるか」というロシア民話です。